2016-04-18(Mon)

CHOCOLATE SOLDIERS 6 - Valentine's Day 2016 -

こんにちは、ももこです。

バレンタインSS六話、UPします。

今回は初のエアリス視点でした。
難しかったですが、私が一番書きたかった事の一端がやっとここで描写する事が出来たのでほっとしてます(*^_^*)
実はこのバレンタイン話、クラティのラブラブともう一つ、エアリスの恋心も書きたかったんです。
エアリスは本編途中で離脱してしまう悲劇のヒロインですが、そこまでのエアリスの想いや生き方は、クラティを応援しているこのサイトであってもちゃんと受け止めてあげたかったです。
もちろん、私の個人的観点からの受け止め方になりますが、エアリスにも幸せになってほしいんですよ……ホントに(´;ω;`)
エアリスの心情部分はまだまだ表現しきれなかった感があるので、近いうちに見直して加筆すると思います。
エアリス難しかった……キャライメージを壊さない事を祈るばかりです(>_<)
ティファに託されたエアリスのお願いや夢の内容は次話で書きたいと思います。
次で終わる予定……だけど、上手く纏まるか少し不安です(^_^;)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)

【Warning!】バレンタインSS六話です。DC後設定のティファ視点。今回に限り、モノローグはエアリス視点でお送りします。後半はティファ視点になりますのでご注意下さい。エアリスの恋心とクラティちょいラブです。続きます。






透き通るように繊細な、けれど力強い意志を秘めた、あなたの瞳。


綺麗な紅茶色をしたその眼差しは、いつだって目の前の彼を追いかけてた。


それは、どこか不安げに揺らめいて、どうしていつもそんな風に彼を見るのか、とても不思議だった。


でも、ある時、気が付いたの。


彼を映すその瞳に、私と同じ感情が秘められていることに。


いつか、あなたに聞いたことがある。


『ねえ、ティファ。ティファって、クラウドのこと、好きなの?』


ワザと冗談めかしてそう言ったら、あなた、顔を真っ赤にして慌てた。


『そんなことないわ。彼とはただの幼馴染よ』


……って。


ふふっ。


誤魔化してもダメよ、ティファ。


そんなこと言ったって、わたしには全部お見通し、なんだから。


わたしが彼と一緒にいると、必ず目を逸らすでしょう。


あなた、そのときの自分の顔、見たことあるかな?


とても切なそうに、諦めたように微笑って……小さく俯くの。


わたし、そんなあなたを見る度、歯痒いなあって、思ってた。


自分の気持ちを誤魔化してまで、あなたは何に怯えていたの?


あなたはもう少し、自分に素直になった方がいいって、いつも思ってたんだよ?


あなたみたいな素敵な子、恋しないなんて、勿体無いって。


わたしに遠慮してるなら、それは間違ってる。


わたしはわたし、あなたはあなた。


それぞれの気持ちで、全うしなくちゃ、ね?


だからわたし、全力で彼にぶつかって、伝えたいと思った。


例え、それが届かなくても。


後悔だけは………もう二度と、したくなかったから。


それに、わたしだって、あなたに遠慮なんて、しないんだから。


あなたにだって………してほしくなかったよ。




……だから、あなたが彼と一緒にわたしの所へ来てくれたこと、とても嬉しかった。


やっと、あなたの本心を見ることが出来たと思った。


あなたをそうさせたのは……やっぱり、クラウドのお蔭、かな?


彼を見つめるあなたの瞳、今までで一番輝いてた。


あなたを見つめる、彼の瞳も……。


おめでとう、ティファ。


……クラウドも。


わたしの大好きなあなた達だから、いつまでも笑顔でいてほしい。


ティファ、自分を責めないで……わたしのこと、もう気にしなくていいんだよ。


わたしは、自分の人生に後悔なんかしていない。


彼を好きになったこと。


あなたと親友になれたこと。


あなた達と、離れてしまったこと。


全部わたしが自分で選んで、決めて、納得したこと。


例え結果がどうであっても、誰のせいでもないんだよ。


それを選んだのは私の意志だから。


だから……ね、ティファ。


あなたも、自分で選んだこの恋を、否定なんかしないでほしい。


自分で選んだ幸せを、どうか大切に。


クラウド、ティファを泣かせたら、わたしが承知しないんだから!




───どうか、幸せに。




二人なら、大丈夫って………私、信じてるから、ね?











それから………ティファ。



あなたに一つだけ、お願いがあるの。



わたしの我が儘、きいてくれるかな?



あなたにしか、出来ないの。



いつか話した、わたしの願い。



どうか、一度だけ叶えさせて。










あなたと一緒に………この気持ち、彼に伝えたい。










CHOCOLATE SOLDIERS 6





「………、……」

心地良い温もりに微睡み(まどろみ)ながら、ゆっくりと瞼を開けた。
視界の端に柔らかな影が揺らめく。

「……」

その影を、茫洋とした意識の中、ゆるりと追う。
見渡すそこは季節特有の朝の冷え込みに覆われて、剥き出しの肌に冷たく触れる。
けれど、窓際から差し込む陽射しは柔らかく、カーテンを透ける木漏れ日が硝子の向こうにキラキラと美しい影を揺らめかせていた。

「………」

優しいその流れに溜め息が零れる。
一度深く目を瞑り、それから冷たさから逃れるように、肌を包む温もりへと摺り寄せた。
滑らかな感触が横たわる半身に触れる。
なだらかに上下する彫刻のような上半身に腕を回し、そっと抱き寄せるようにして互いの温度を高くする。
剥き出しの脚を彼のそれに絡め、逞しい胸へと顔を埋めた。
そのまま彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んで、身体中を愛しさで満たす。
そうしているうちに、無意識に動く彼の腕に捉われていつの間にか拘束されてしまった。
顔を上げてその主を見上げれば、その双眸はまだしっかりと閉じる瞼に覆われたまま。

「……、……」

しっとりとした彼の温もりが触れる肌に心地良い。
深く深く息を吐きながら、ゆっくりと目を瞑る。


そうすれば、鮮やかに蘇ってくるのは、さっき視た夢の残滓。


どこまでも美しい、花のような笑顔と共に記憶の淵で咲き誇る。


大好きな彼女の、ささやかな願いと共に心に刻む。



「……うん。……分かった……」


───エアリス………。



消える事の無い夢の名残に熱くなる瞼を伏せて、彼女の名を吐息に乗せた。


彼女が結んだ小指のリボンに口付ける。


温かな涙が一粒零れ、頬を伝う。


ぽたりと落ちたその先で、彼女の微笑む声を聴いた。







「…う、ん……」

頭の上から小さな呻きが聴こえ、拘束する腕がピクリと動く。
目線を上げれば、端正な眉を寄せ、重そうに瞼を持ち上げる瞳が長い睫毛の間から覗いていた。

「おはよう、クラウド」
「…………おはよう」

碧い魔晄の輝きの中、ふらふらと覚束なく彷徨う焦点。
ボサボサに乱れた金の髪をガシガシと乱暴に手櫛で掻き、小さく欠伸をする無防備な彼の姿に苦笑する。

「良く眠れた?」
「ん……」
「クラウド?」
「……ティファが……いたからな……」
「…もうっ」

いつかどこかで聞いた台詞を、真面目な顔で恥ずかしげもなく言われながら抱き寄せられ、再び彼の胸へ埋められる。
まるで抱き枕のようにぎゅっと込められ、今度こそきつく拘束されてしまった。

「クラウド、苦しいよ」
「ん~…」

広い背中に回した掌を拳に変えて、曖昧に返す彼にささやかな抗議を贈ると、頭の上からクツクツと抑えた笑いが聴こえてきた。


「…今、何時?」

そろそろ眠気が取れてきた頃だろうか。
さっきよりはっきりとした声色のクラウドに促され、ベッドサイドに置いてあるデジタル時計に目を向けた。
ついでに、その横にある卓上カレンダーも確認する。
今日の日付は……。

「6時27分」
「…分かった」
「……ねえ、クラウド」
「ん?」
「今日は……遅くなる?」

いつものように帰りの時間を確認する。

「今日の予定は近場だし数も多くないから、そんなに遅くはならないと思う。20時までには」
「うん、分かった」
「子供達は明日まで?」
「うん。明日のお昼にバレットがここまで送ってくれるって」
「………なら、今日は尚更早く帰って来ないとな」
「どうして?」
「ティファを一人にしておけないだろ」
「……私、子供じゃないよ?」
「俺より歳下だ」
「……」
「……冗談。俺が、………傍にいたいんだ」
「クラウド…」
「……飛んで帰ってくる」

優しい声音と共に、彼の唇が瞼の際を優しく掠める。

「うん……待ってる」

彼の腕に抱かれ、温かな掌で髪を幾度となく撫でられた。
幸せな気持ちのまま瞼を閉じれば、次第にぼんやりとしてくる意識にまた身体の力が抜けてしまう。


………どれくらいそうしていただろう。


「……そろそろ行くよ」

いつの間にかふわふわと覚束なくなった感覚の中、ぽつりと呟かれる声。

「ん…、もうそんな時間…?」
「……残念だけど」

気だるげな響きが鼓膜を揺らす。
名残惜しそうに髪の毛を撫でながら、小さく溜め息を吐く彼に心の中で苦笑する。

「じゃあ……私も起きなきゃ……朝ごはん……」

心地よい微睡みから無理やり意識を浮上させて、彼の腕に乗せた頭を浮かせた。

……否、浮かそうとして。

「ティファはもう少し寝ていたらいい。……疲れてるだろうから」

昨夜の余韻を囁く唇がこめかみに触れ、やんわりと制止された。
ちゅ、と離れた隙に顔を上げて彼を見る。

「で、でも……」
「大丈夫。適当に自分で作るよ。昼は外で済ます」
「ごめんね…」
「ティファが謝る事じゃない。……元はと言えば」

───俺の所為だし。

抱き締められたまま、色付く痕を辿る囁き。
ぽっと頬が熱くなる。
けれどすぐに、彼の優しさに満たされて頬が緩まる。

「うん…、ありがとう」
「朝飯、ティファの分も作っておくか?」
「いいの?」
「任せておけ。味の保証は出来ないけどな」
「…ふふ」

思いがけない彼の提案に、こくりと頷く。
腕の中で、嬉しそうに微笑う碧い瞳を見た。


抱き締められていた腕の力がふわりと緩まり、シーツにそっと横たえられた。
彼の温もりが遠ざかる。
そっと瞼を閉じれば昨夜の名残か、再びぼやけてくる意識。
それでも出来るだけ長く傍にいたい……いてほしい……。

衣擦れの音を聴きながら彼の気配を探る。
カチャカチャと、金属が擦れる音が鼓膜を鳴らした。

「クラウド…」

もうすぐ愛しい気配が無くなってしまう寂しさに、つい彼の名を呼んだ。

「ティファ?」

足音が近付いてきて、ベッドの縁でぴたりと止まる。
彼の息遣いを近くに感じ、その安心感に頬が綻んだ。

瞼を持ち上げる。

そこに映るのは、やっぱり私の大好きなあなたの瞳。

「言ってらっしゃい。……気を付けてね」
「ああ…行ってくるよ」

瞬きの間に寄せられる、微かな息遣い。

「ん……」

唇に温かな吐息が触れた。


その温もりを子守唄の代わりに、二人分のシーツを引き寄せる。


ほのかに香る彼の匂いに包まれながら、静かに意識を手放した。



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