CHOCOLATE SOLDIERS 7 - Valentine's Day 2016 -2016-05-02 Mon 22:45
こんにちは、ももこです。
バレンタインSS7話UPします。 今回で終わらせようと思っていたんですが、あれよあれよと言う間にどんどん話が進んで行って、結局もう一話分書く事になりました(^_^;) なので、次回もまた続きます……すみません(>_<) でもそろそろバレンタインのバレンタインたる核心の部分にあるので、もう少しだけお付き合い頂けたらと思います(^_^;) バレンタインから何か月経ってるんだ!というツッコミはご容赦下さいませ(ノ_<) 今回はバレンタイン~ニブルヘイム編~とでも言いますか、なぜかエアリスから少し離れてクラティの過去に戻ります。 クラウドママ初めて書いたけど、あんな感じで良かったかな…?? ニブルヘイム時代のクラウドは結構我が儘で子供っぽい所もあったんじゃないかと。 同世代の子供たちの前では大人ぶってカッコつけていても、やっぱり子供ですから母親の前では歳相応だったんじゃないかな?? そして自分の失態を、よりによって自分の好きな女の子にばらされるという不憫な子……(笑) 本当は作中でティファ(大人)に突っ込ませようかと思ったんですが、流石にそれはクラウドが可哀想だと思い、未だティファの胸の内にしまわれているという状態です(^^) いつかクラウドと喧嘩したら、精神的大ダメージを与えてくれる大変有効な攻撃アイテムになる事でしょう(^^) ………ティファはそんな事しないですね(^_^;) 少年クラウドについてはパンツ泥棒以外にも色々とやらかしたと思うので、いつかクラティの過去話で書きたいと思います(*^^)v それではまた来ますね! 拍手&閲覧&アンケートへのご協力ありがとうございました(^^) 明日はティファのお誕生日ですね!! サイトとしても何かお祝いしたいですが、遅筆の私の事なので多分遅れてお祝いになると思います(^_^;) クラティ好き&ティファ好きな皆様のお祝いをこっそり堪能したいと思います(*^^)v 【Warning!】バレンタインSS7話です。DC後設定のティファ視点。今回は過去のニブルヘイムが出てきます。クラウドがミッドガルへ旅立った後のティファ&クラウドママです。クラウドの好きな料理について、ガールズ(?)トーク炸裂です。続きます。 CHOCOLATE SOLDIERS 7 いつもの賑わいを隠し、最小限に灯りが落とされ静まる店内。 その空間を柔らかなピアノの音色と穏やかに回るファンの影が包み込む。 それに伴奏するように、ポコポコと小さく泡の弾ける音。 静かに煮立つ鍋からは、ふんわりとしたミルクの香りが湯気と共に食欲をそそっている。 「よし……いいかな?」 そろそろ頃合いだろうか。 手にしたお玉で一匙掬い小皿へ盛る。 少しずつ舌に乗せ、良く含んでからこくりと飲み込んだ。 まろやかで濃厚なミルクの甘味と素材から出る旨味が程よく調和した、優しくてどこか懐かしい味。 「……ん、ばっちり」 我ながら良い出来だと頬が緩まる。 これが彼の好きな味。 少女の頃、彼のお母さんから教わった味。 クラウドがソルジャーを目指し村を旅立って、一人きりになってしまったおば様。 彼を見送るおば様の後ろ姿、とても寂しそうだったのを今でも覚えている。 私もママがいなかったから……良くおば様の所へ行ってお手伝いしたり、お茶を御馳走になったりしていた。 クラウドの事も良く話してくれた……。 『あの子、他の子より背が伸びなくてね。ティファちゃんより低いんだよ。あれでソルジャーになろうってんだから、本当に大丈夫なのか心配でね。だから好き嫌い無くしなって、いつも口酸っぱく言ってるんだけど、あの子頑固だろ?だから……』 私が知らない彼の事を、たくさん話してくれたおば様。 小言も多かったけど、それは離れて暮らす息子を心から想っていたからだと分かった。 だって……クラウドの事を話すおば様の顔、いつもとても嬉しそうだったもの。 私も、そんなおば様と話すのがとても楽しかった。 『そうだ、ティファちゃん。シチューは好き?』 『はい。良くパパと作ります』 『そう、偉いわね。うちの息子は料理なんて全く出来ないから……って、いやね、ちょっと作り過ぎちゃってね。良かったら食べていかない?』 『わあ、ぜひ!ちょうどお腹が空いていたの』 『それは良かった。じゃあちょっと待ってて。今温めるからね』 『はい。…あ、じゃあ私もお手伝いします』 『悪いわね、ありがとう。じゃあそこにお皿並べてくれる?』 『はい!』 お鍋を火にかけるおば様の隣で棚から大きめのお皿を二枚引出す。 それを後ろのテーブルに並べていると、背中からクスリと笑う声が聴こえた。 『おば様?』 振り向くと、お玉を回しながら口元を片手で覆う姿。 『どうしたんですか?』 『…ああ、いやね、ちょっと思い出しちゃって。今年のバレンタインの話なんだけどね』 『バレンタイン?』 『あの子…クラウドがね、"なんで今日シチューじゃないんだ!"って。いつもバレンタインにはあの子の好きなシチューだって決めていたんだけど、すっかり忘れててね。そしたらあの子、思いっきり拗ねちゃって』 『えっ…、クラウドが?』 『"もういい!母さんの嘘つき!"……って。それきり、部屋に閉じこもってしまってね』 『ええっ』 あの、クラウドが? 普段無口でクールな印象が強かった彼の意外な一面を聞いて驚きを隠せない私に、おば様が苦笑いを浮かべて火を止めた。 『あの子、好き嫌い多かったけど、このシチューならいつだって残さず食べてくれたんだよ。"やっぱり母さんのシチューは一番美味い"って。普段はそんな事、全然言わないのにね』 『そうなんだ…』 『今度ニブルヘイムに帰って来たら、あの時のお詫びにね、またシチューをたくさん作ってあげようと思ってるの』 お鍋をテーブルに置き、お玉でお皿に盛りつけながらとても嬉しそうに微笑うおば様。 おば様とクラウドの普段のやり取りを想像しながら、私は何だかくすぐったい気分になってお皿を受け取った。 『いただきます』 『はいどうぞ、召し上がれ』 おば様と向かい合ってスプーンを口に運ぶ。 (美味しい…!これがおば様の味…) 普段、自分の家で作るのとは違う味。 素朴だけれど、とても甘くて優しい味……。 (…クラウドが、好きな…) 『ティファちゃん?どうしたの?口に合わなかったかい?』 『あっ…、違うの!すごく美味しくて…』 『そう、良かった』 安心したように笑うおば様。 そこにクラウドの面影が見えて、一人顔が熱くなった。 (私にも作れるかな…) 『あの…おば様』 『ん?何だい?』 『このシチューの作り方、私にも教えて頂けますか?』 いきなりの私のお願いに、一瞬きょとんと眼を瞠るおば様。 けれどすぐに元の優しい笑顔に戻った。 『別に良いけど……何だい?もしかして、今度からティファちゃんがあの子の為にこれ作ってくれるのかい?』 『えっ!?ち、違いますっ!私、そんな…』 『あははは。嘘よ、冗談。ティファちゃんみたいな可愛い子、うちの息子には勿体無いよ』 『そんな…クラウドは…』 『…ふふ。まあそれはそうと、これ食べ終わったら早速レシピ教えてあげるからね』 『あ、ありがとうございます…』 『上手く作れるようになったら、あの子に試食してもらおうか?』 『~~~おば様っ』 『あはは』 おば様の冗談に真っ赤な顔をした私。 あの時は思いっきり否定してしまったけれど。 本当は………。 (クラウドが好きなら、作ってみようかな) 本当は、そう思ったの。 ……おば様には、もしかしたら見透かされていたのかもしれないけれど───……。 「……もうエッジに着いたかな」 カウンター内にある休憩用の小さなスツールに腰を下ろしながら窓を見る。 そこはすでに闇に覆われ、小さな星がキラキラと輝いていた。 「……」 壁に掛けてある時計を見れば、時刻は19時になろうとしていた。 今朝彼が言い置いた帰宅時間はあと一時間先。 でも………。 「………」 眼を閉じ、耳を澄ます。 お客がいない店内は殊の外静かで。 だから、その音もすぐに分かった。 鍋の火を止めたのを確認し、厚手のストールを羽織って外へと続くドアを開けた。 途端に冷たい外気が全身を覆い、肌に触れて身震いする。 カランと鳴るベルを背にドアを閉めた。 夜であっても人通りはそれなりに多く、邪魔にならないように背中をドアに付けて立ち、辺りを見回す。 星明りの中、行き交う雑踏の中でその人を待った。 数分後、見慣れた影がゆっくりと見えてきた。 人の波を縫い、十分な質量を持つ大きなバイクを押しながら、その表情は幾分疲れているようでもあったけれど。 「……クラウド」 自然と頬が緩まる。 路地の中ほどに立ち、片手を小さく上げて彼へ向いた。 「…ティファ!」 最初は驚いたように瞠られた碧眼。 けれどすぐに優しく緩まり、押し歩く速度が上がる。 私も待ちきれずに踏み出し、やがて数歩歩いた先で彼の腕に捉われた。 「お帰りなさい、クラウド」 「ただいま」 軽い抱擁を受けながら言葉を交わす。 「お疲れ様。早かったのね」 「ああ、飛ばしてきた。ティファこそ……店は?」 抱擁を解き、クラウドが店の方へ眼を向けた。 怪訝な表情でドアに掛けられた"臨時休業"の札を見る。 「ん…、今日はお休みにしたの。ほら、マリンやデンゼルもいないし、私一人だと手が回らないかもしれないから……。それに」 「それに?」 「クラウドが…早く帰ってくるかも、…って、思ったし……」 「……期待通り?」 「……うん」 「ティファの期待に応えられて良かった。……ご褒美は?」 そう言いながら口角を上げ、おもむろに近くなる彼の瞳にドキリとする。 けれどすぐに行き交う人達の目線が集まりだした事に気が付いて。 「それは中に入ってからよ」 目の前に迫った端正な顔から無理やり目線を外し、腕をすり抜け踵を返した。 熱くなった顔を見られないように、急いでドアへと向かう。 「おい」 「中で待ってる。だから早く来て」 後ろで盛大な溜め息が聴こえたけれど、わざと聴こえないふりをして店に入った。 店内に入りほっとしたのも束の間。 「準備しなくちゃ」 置いてけぼりにされた彼は、きっとすぐにやって来るに違いない。 その前に鍋を温め直して、パンとサラダを準備して……。 コンロに火を灯し、オーブンの中にあるパンの焼け具合を確かめる。 冷蔵庫からレタスやトマト、バジルなど数種類の野菜と作り置いたドレッシングソースを取り出して、手際よく野菜を切り分け小皿に盛りつけた。 その間にせっかくのシチューが焦げないようにお玉でかき混ぜる事も忘れない。 もう一度味見をし、口の中の温度を確かめる。 「うん、良し」 火を止め、皿に盛りつけようとした時。 「ティファ」 呼ばれる声に振り向けば、裏口から入ってきたクラウドがキッチンの入り口から覗いていた。 「今ちょうど出来たところなの。すぐ用意するから座って待ってて」 「いや、俺も手伝うよ」 言いながら、既に普段着に着替え終えた彼が入ってくる。 長袖のパーカーとジーンズ、上下黒で統一されたそれは、いつも仕事に出かける時とは違って幾分彼を幼く見せる。 「どれ?」 隣に並んだ彼が袖を捲り、シンクの中で手を洗う。 「ありがとう。…じゃあ、このサラダ、テーブルに運んでくれる?」 「分かった。今夜はシチュー?」 「うん。クラウド好きでしょ?」 「ん…まあ、な」 照れたように頬を掻きながらも素直に手伝ってくれる彼に顔が綻んだ。 きっと、ニブルヘイムにいた頃の彼もこんな風におば様のお手伝いをしていたに違いない。 『普段はあんなぶっきらぼうなんだけど、家の手伝いは割とやってくれたんだよ。今のティファちゃんみたいにお皿出してくれたりね。自分の好きな料理の時は特にね……今思えば、早く食べたかっただけかもしれないけどねぇ』 記憶の中にあるおば様の言葉とシンクロする彼の後ろ姿。 「…ふふっ」 「ティファ?」 思わず漏れてしまった声にクラウドが怪訝な顔で振り向いた。 「ごめん。何でもないの。あ、これもお願い」 「?…ああ」 そんな彼に焼きたてのパンを盛ったバスケットを渡しながら、温かな湯気の立つシチューを大きめの皿に盛りつけた。 「いただきます」 「…いただきます」 店内に置かれた窓際のテーブルへ、二人向かい合い手を合わせる。 普段はカウンターで食事する彼も、こうしてお店が休みの時や家族で過ごしている時はテーブルが良いと言ってくれる。 ……私も同じ。 その方が、家族らしい。 心を込めて作った食事を美味しそうに食べてくれる彼をそっと眺めながら……思う。 「どう?」 「ん、美味いよ」 休まずスプーンを口に運ぶ彼。 普段のクールな彼と違って、子供っぽいその仕草が何だか可笑しい。 ふと、クラウドの口元に笑みが見えた。 「クラウド?どうかした?」 「ん?ああ…違うんだ。ちょっと昔を思い出して」 穏やかな笑みを浮かべ、スプーンを見つめる碧い瞳。 低く落とされた店の灯りにゆるりと揺らめく。 「……懐かしい味がするんだ。ティファのは」 「懐かしい?」 「俺の母さんが作ってくれたのに似てるなって。……昔に、な」 「………」 「最後に食べたのは……ニブルヘイムに派遣された時だ。もう食べられないと思っていたから、初めてティファのシチューを食べた時は驚いたよ」 「……そう、なんだ」 「……うん」 静かに……穏やかに。 想い出に浸るように言う彼に、胸の奥が締め付けられる。 (───ねえ、クラウド。これ、あなたのお母さんのシチューだよ) 本当は、口に出して伝えれば良かったのかもしれない。 だけど……。 「母さんのも美味かったけど……ティファのはもっと美味いよ」 最後の一口をスプーンに乗せながら微笑うクラウドの声がとても優しくて。 「うん……ありがとう」 震えそうになる声を抑えながら、私も微笑った。 二人きりの食事が終わり、それからまた二人で後片付けをした。 今日は二人分だから洗い物もすぐに終わる。 拭き上げた皿を棚に戻しテーブル席の方を見た。 「ティファ、終わった」 テーブルを拭き終わった布巾を片手にクラウドが告げる。 「ありがとう。こっちも終わったわ」 布巾を彼から受け取り漂白剤の中に入れる。 「ごめんね、帰ってきたばっかりなのに手伝わせちゃって」 「気にするなよ。俺が好きでやってるんだし」 「うん」 シンクで手を洗うクラウドにタオルを差し出しながら感謝する。 「そういえば、今日の朝食もありがとう。サンドウィッチ、凄く美味しかったよ」 「良かった。あれ、焼き過ぎてなかったか?」 「ううん、大丈夫。少しくらい焦げ目がついていたって問題ないわ」 彼が今朝用意してくれたサンドウィッチは、バターを塗ったパンに焼いたベーコンとレタスを挟んだだけのシンプルなもの。 普段料理しない彼が一生懸命作ってくれたんだもの……本当に美味しかった。 「また作ってくれる?」 隣で手を拭う彼を見上げる。 一瞬小さく瞠り、けれどすぐに嬉しそうに細まる碧い瞳。 「ああ。…俺で良ければ」 「……クラウドが良いのよ」 「……、…ティファ」 指先が温かな掌に包まれる。 ちゅ…、と唇に彼が触れた。 「頑張るよ」 「うん……楽しみにしてるね」 「ん」 絡まる指先に、二人で微笑い合った。 「クラウド、シャワー入る?」 「ん?いや…まだ良いよ。ティファは?」 「私は寝る前に入ろうと思って……」 言いながら壁掛けの時計を見れば、針は20時を少し廻ったばかり。 ………大人がベッドに入るには、まだ早い時間。 「………」 「………」 静かにピアノが鳴る店内にふとした沈黙が訪れる。 ちら、と彼の方を見れば、どこか落ち着かなさそうに碧い眼を泳がせている。 (………) ふと、自分の心臓の音に耳を傾けてみた。 トクトクと鳴るその音は、普段よりずっと速い。 ………彼と二人きりで意識してる? もちろん、それもある。 でも………多分、それだけじゃない。 今夜───"彼女"との約束を果たしたいと思うから。 「……ねえ、クラウド。少し、飲まない……?」 Next... ![]() |
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