七つ星 -NANATSUBOSHI-

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CHOCOLATE SOLDIERS 8 - Valentine's Day 2016 -

こんにちは、ももこです。

バレンタインSS8話ようやっとUPします(^_^;)
遅くなってすみません(>_<)
カクテルについて色々調べていたら時間が…(^_^;)
そして、今回もまた終われませんでした~~~いつまで続くんだよ~~~。゚(゚´Д`゚)゚。
展開が物凄く遅いのと、余計なもの詰め込んじゃうからなんだろうとは分かってるんですが……短く纏めるというスキルが皆無らしいです(^_^;)
良い加減もうあと1、2話で終わりたい(>_<)
こんなだらだらと続くお話、付いてきて下さる方がいらっしゃるか物凄く不安であります……ドキドキ((((;´・ω・`)))
見直す時間が無かったので、変な言い回しとかあったらすみません(>_<)
近いうちに見直して修正します!
次回からまたエアリス絡みのシリアス展開始まりますが、クラティの絆はダイヤモンドより固く結ばれているのでそこらへんはご安心下さいませ(^_^;)
クラウドのバーテン姿、一度見てみたいものです(*´~`*)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)

【Warning!】バレンタインSS8話です。DC後のティファ視点。今回はティファがクラウドの為にバーテンします。クラウドはそんなティファにメロメロの釘付けです(笑)後半シリアス調復活です。続きます。







ブランデー   20ml



ドライ・ベルモット   20ml



クレーム・ド・カカオ   20ml



オレンジ・ビター   2dash





シェークして、カクテル・グラスに注ぐ。





CHOCOLATE SOLDIERS 8





優しいピアノの音色が包む店内のカウンター。
その一番奥の、壁際のスツールにクラウドが腰かける。
ここでお店を始めた当時から、いつもそこが彼の定位置。
朝起きてきた時、仕事から帰ってきた時、お風呂上がりの時。
お店の営業時間に関係なく、彼はいつもそこを自分の場所と決めているよう。

以前、子供達が彼に聞いていたのを思い出す。

『ねえクラウド。クラウドは、どうしていつもおんなじところに座るの?』

他愛無い問いかけの言葉。
けれど彼は、それに少しだけ驚いたように眼を瞠り、それから店内を回る私の方を窺うようにしてから子供達に何か耳打ちした。

………私には知られたくなかったの?

でも、残念。
あなたは知らないだろうけれど、本当は。

後で、子供達がこっそり教えてくれたのよ?


『ティファには内緒って言われたんだけど、こっそり教えてやるよ!な、マリン!』
『うん!あのね、クラウド、お店で悪さする人がいないか見張ってるんだって。あそこが一番よく見えるんだって。それからね、あそこからだと……』

デンゼルとマリン、二人で笑いながら頷き合って……それから。

『いくぞマリン』
『うん!』
『…せ~の!』


『ティファが、いっぱい、見えるんだって!』


………あの後、いつものようにその場所を離れないあなたの顔を見るのがどれだけ恥ずかしかったか。
あなたの姿が視界に入る度、その綺麗な碧い瞳を意識しちゃうんだから……。

でも、それもあなたは知らないもの……仕方ない、よね?

今だって───ほら。



「何笑ってるんだ?」

カウンター越しに声が聴こえて、記憶の淵から呼び戻される。
想い出の中にある子供達の言葉に、自然と気持ちが出ていたみたい。
シェーカーを振る手を止めて目線を流せば、不思議そうに私を見つめているクラウドがいた。

「ううん、何でもない。ちょっと思い出し笑い」
「何だよ、気になるな」
「クラウドが気にする事じゃないのよ。お客さんの面白いお話。…本当よ?」
「……ふうん」

腕を組み、あからさまに気にしている風なクラウドを横目に、手元のグラスに出来たお酒を注いでいく。

私はジンをベースにしたカクテル"PRECIOUS HEART(プレシャス・ハート)"。
甘口で飲みやすく、パッソアの柑橘とクレーム・ド・ペシェの桃の香りがとても心地良いオレンジ色のショート・カクテル。
最後にオレンジとレモンの皮を重ねて作った小さなハートをグラスの縁に飾って出来上がり。

「器用だな」
「え?」
「それ」
「…ハート?」
「ん。良くそんな細かい包丁履き出来るなと思って見てた」

グラスの縁にちょこんと鎮座するハートを眺めながら、クラウドが感嘆の溜め息を零す。
私は仕事として普段からこなしている作業だけれど、それに思いがけない言葉を貰って何だか胸がくすぐったい。

「そう…かな?」
「ああ。少なくとも俺には無理そうだ」

手に持つペティ・ナイフを目線で指し、大げさに肩を竦めるクラウド。
そんな彼に、照れ隠しの苦笑で返す。

「そんな事…クラウドだって刃物は得意じゃない。いつもあんなに大きな剣を器用に扱ってるわ」
「あれは……違うだろ。いや、確かに刃物だけど…」

私の冗談に難しい顔をしながらも律儀に返す彼に、今度は本当の苦笑が零れた。


ごめんね、クラウド。
やっぱり私、少し緊張しているみたい。
こんな冗談で、波打つ心を落ち着かせようとしてる。


これは今日の為の特別なカクテル。


今日……この日、どうしてもあなたに伝えたいから。



"PRECIOUS HEART"
"大切な想い"





「それはティファのだろ?…見るからに甘そうだ」

出来上がったカクテルを眺めながらクラウドが言う。

「うん。クラウドのは別。今作るわ」
「何?いつもの?」

クラウドが飲むのは、いつも決まって辛口でアルコール度数が強いもの。
彼曰く、甘くて度数の低いものはソフトドリンクと同じみたい。
だから彼が嗜むのは決まって"ウィスキー・オン・ザ・ロック"やウォッカをビールで割った"ヨーシュ"、ほぼドライ・ジンだけの"ジン&ビターズ"とか……比較的お酒の強い私も滅多に飲まない強いものばかり。
それでも殆ど酔わないのは、彼の飲み方が上手いのか、ただアルコールに強い体質なのか。
旅の間、良くシドやバレットと酒盛りをしていたけれど、彼らが酔い潰れて寝てしまった後もクラウドだけは最後までケロリとしていたっけ……。

だから、今夜のお酒はそんな彼には甘過ぎるのかもしれない。

だけど……今夜はこれでなくちゃ駄目なの。


「いつものとは違うの。でも、きっと気に入ると思うわ」

笑顔で返しながら、氷を流したシェーカーに材料を入れていく。

ブランデー
ドライ・ベルモット
クレーム・ド・カカオ
オレンジ・ビター

全ての材料を入れ終えたら、ボディに蓋をして両手でしっかりと持ち直す。
右手の親指をトップに、左手の親指はボディの肩に。
中指を底に当てて、それからリズム良く振る。
穏やかな空間に響き渡る、シェーク特有の力強い高い音。
その間もボディに当てた指の先に集中する事を忘れちゃ駄目。
そこから中身の冷え具合を確認しないと。

……そろそろ頃合いかな。

指先に触る霜がその時を告げるのを確認し、動きを止めた。
グラスの脚を片手で抑え、ストレーナーから静かに中身を流していく。

「……格好良いな」

最後の一滴が滴り落ちるのを確認した時、ふっと聴こえた低い声に手が止まった。

「え?」

シェーカーを離し、前を見る。
そこにはカウンターの上に肘を着き、組んだ両手を口元に当て、こちらを見ながら穏やかに微笑っている彼の姿。

「いつも見てるけど、ティファのそれ、格好良いよな」
「それって……シェークの事?」
「ん」

頷きながら片腕を上げて私の真似をする。
ほんの少し真似しただけなのに、やけに様に見える。

彼がたまに仕事が休みの時にお店を手伝ってくれたりするけれど……それはあくまで皿洗いのようなの裏方ばかりで、お酒を作ってもらった事は今まで無かった。
もし……クラウドがここでシェーカーを握ったら……。

(きっと……格好いい……よね)

彼のバーテン姿を想い描いて、その姿に一人顔が熱くなった。
ティファ?、と呼ばれてドキリとする。

「じ、じゃあクラウドもやってみる?コツさえ掴めばそんなに難しくないよ」
「俺でも出来る?」
「うん。良かったら今度クラウドが休みの時に教えてあげる」
「良いのか?」
「私で良ければ、ね」

軽く眼を瞠るクラウドに小さくウィンクを飛ばして頷いた。
それを受け取るように彼の口角が上がり、次第に表情も綻んでいく。

「ああ、むしろ頼むよ」
「OK。上手く出来たらお店に出すのも良いかもね」
「店か…そうだな」

言葉にしながら、ふと彼の瞳が遠くを泳いだ。
それからすぐにまた弛み出すその口元。

瞬き一つ、クラウドの碧い瞳が私を映す。

「それも良いな。……いつかは一緒に、か」
「あ……」

静かに零された言葉と向けられる微笑みの意味する所を理解した途端、一気に恥ずかしさが込み上げてきた。
咄嗟に目線を下げて再び熱くなる頬を彼から外す。

「べ、別に、そう言う意味で言った訳じゃ…」
「俺は良いと思ってるけど」

しどろもどろに言葉を選ぶ私に、きっぱりとした彼の声が重なる。
その声音に顔を上げれば、変わらず穏やかな彼の、けれどどこまでも真剣な眼差しとぶつかった。
じっと見つめてくる強い瞳に、いよいよもって心臓が高鳴ってしまう。

「う、うん、分かった……」
「ん」

小さな答えにクラウドが満足そうに微笑みながら頷いた。


───いつか、一緒に。


いつか来るかもしれない未来、彼と迎えるその時を思い浮かべる。


(うん……私も)


あなたと一緒なら、それも良いかもね。






「よしっ…と」

グラスから滴る雫を布巾で軽く拭う。

「出来た?」
「うん」
「じゃあこっちにおいで。一緒に飲もう」

クラウドが隣のスツールを引き出し、顎を引いて座れと促した。
けれど、それを首を振って軽く制す。

「ちょっと待って」

あなたの隣に行く前に。


………最後に一つだけ、まだやる事があるの。



カウンターの上に乗せられた、二つのグラスを挟みながら彼に向き合う。

「……ねえ、クラウド」
「ん?」
「今日、何月何日?」
「今日?」

私の質問に、クラウドがジーンズのポケットから携帯電話を取り出した。
そのタッチパネルを指でスライドさせながら確認する。

「2月…14日?」
「さて、何の日でしょう」

画面を見つめる彼に問う。

「ああ…バレンタインだろ?配達中に何度も菓子売りの人だかりを見てきたから」

画面を閉じたそれを元の場所へ戻しながら、もう一度彼の瞳が私を見る。
けれどすぐに逸らされて、口元を手で覆ってしまった。
改めて彼を見れば、視線をちらと向けながら、その顔は少しだけ赤い。

「クラウド?」
「………」

こちらを窺うように視線を不安定に彷徨わせる彼。
やがて、じっと見つめる私に観念したのか、はあと溜め息を吐いて口元から手を離した。
一瞬目線が合う。
すぐに逸らされたその先で、ぽつりと零される言葉を鼓膜が拾う。

「……期待しても、いいんだよな?」

まるで囁きのような小さな声に彼を見れば、カウンターに肘を着き視線はそっぽを向いたまま。
けれど、その顔はさっきよりも明らかに赤くなっていて……。

(もう……)

素直じゃない彼の照れ隠しに、頬が自然と綻んだ。


───期待って、何を?

なんて聞かなくたって、クラウドの言いたい事は大体解ってる。

だって、去年もその前も……ずっと同じだったもの。


「……いいよ」

店内に小さく響く答えの言葉。
眼の前にある長い指先がピクリと一瞬震える。
それからすぐに向けられる驚いた顔。
けれどすぐに柔らかく緩んでいくあなたの瞳がとても嬉しい。

「クラウド、顔赤いよ」
「……見ないでくれ」

言いながら、再び口元を覆うようにして向こうを向く彼を可愛い、なんて心の中で思いつつ。

(………)

ふっと小さく息を吐いた。

指先を彼のグラスにそぅっと当てる。

腕に巻いたリボンを解き、出来たばかりのカクテル・グラスの脚に巻き付けた。

「ティファ?」
「最後の仕上げよ」

不思議そうに眼を瞠る彼に返しながら、巻いたそれを固く結ぶ。
最後にふんわりと蝶の形に結び、完成させた。


「……はい、出来上がり」

先に出来上がっていた自分のグラスと共に、クラウドの前へそれを置く。
途端、彼の瞳が大きく瞬いた。

「……」

綺麗な琥珀色の透明な液体。
照明を受けてキラキラと輝き揺らめくそれを、じっと見つめる碧い瞳。
そんな彼を静かに見つめながら、カウンターを抜け、その隣へと身を寄せた。
手元のグラスを手に取り、華やかな香りのするオレンジ色の液体を指先でゆるりと回す。
さざめいた一滴が円を描くその縁でポンと跳ねる。
可愛らしい王冠を作るそれを彼のグラスへ優しく当てた。
カチンと小さく鳴る音色を聴きながら、芳醇なそれを一口含む。

「……ねえ、クラウド。今年は……もう一つ、違う形であげたいんだけど……いいかな?」
「違う形?…どういう意味だ?」
「………これを、あなたに」

振り向く彼の視線から目を外し、指先でリボンを飾ったグラスを彼の前に近付けた。

「これは…?」

戸惑いを隠さないクラウドの声。
グラスに触れる指先がピクリと跳ねた。
そこに強い視線を感じて緊張する。
揺れる瞳が、私と眼の前のグラス───"彼女"のグラスへと注がれているのが、はっきりと解るから。


そこから指を離し、もう一度自分のグラスを一口含む。
緊張で乾く喉を潤すように、ゆっくりと嚥下した。
静かに流れる清涼感に、ほぅっと小さな息が零れた。

「クラウドも知ってると思うけど……ミッドガルのバレンタインって、ニブルヘイムと全然違うよね」
「………」
「女の子にとって、今日は本当に特別なの」
「……ティファ?」

見つめてくるクラウドを見やる。
相変わらず、戸惑いの色を濃く浮かべるその瞳。



……当然だよね。


いきなり、こんな事。


……でも。



それでも、"彼女"と交わした大切な約束があるの。




「あのね…クラウド。私、昨夜……"彼女"に会ったの」
「彼女?」




「───エアリスよ」



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