七つ星 -NANATSUBOSHI-

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CHOCOLATE SOLDIERS 9 - Valentine's Day 2016 -

こんにちは、ももこです。

バレンタインSS9話UPします。
少し短いので後で追筆する可能性もありますが、取りあえず今はこれで上げときます。
このバレンタイン話を書こうと思い立って、途中いろいろと余計なエピソードなんかも入れちゃいましたが、ここからが本当に書きたかった所です。
エアリスについて、クラウドはACで救われましたが、じゃあティファはどうなんだろうと思いました。
クラウドと結ばれるにしても、ヒロインの一人であるエアリスの存在抜きには語れないんじゃないかと……私的に、ティファにもエアリスにもすっきりしてもらいたかったので、バレンタインという本来であればラブラブ極まりないお題でも敢えてやってみようと思った次第です(^_^;)
結果、やっぱり暗い感じになってしまいましたが、これが当サイトの仕様なのでどうかその辺はご了承下さいませ(>_<)
「重い?だって仕方ないよ。管理人の趣味なんだもん」……です(^_^;)
次で最終話に持っていければ良いなと思ってます。

それではまた来ますね!
いつも見に来て下さってる皆様に心からの感謝を(*・`ω´・)ゞ

【Warning!】バレンタインSS9話です。DC後設定のティファ視点。今回は前半エアリス→クラウド仕様の過去エアティ、後半はティファ→エアリス仕様の現在クラティです。全体的に暗くて重めです。苦手な方はご注意下さい。短めなので後で追筆する可能性有ります。続きます。5月21日追筆しました。クラウド→エアリス要素あります!苦手な方、今回は本当にお気を付け下さい(>_<)でも根柢はクラティなんです…クラウドの爆弾発言については次回詳しく描写します!






『でも、クラウド、チョコ食べてくれるかな?』
『え?』
『甘いの、苦手なんだって。前、言ってたの』

不意に、隣で笑うエアリスが思い出したように呟いた。
困ったようなエアリスの言葉に、そういえば、とクラウドの味の好みを思い出す。
基本的に甘いものが苦手な彼に、チョコレートを贈っても喜んでくれるのか。

『でも、エアリスの手作りなら良いんじゃない?男の人って、そういうの好きなんでしょ?』

スラムで聞きかじった程度の知識だったけれど、彼女の助けになるならと提案する。

『そうなんだけど…、でも』
『?』
『どうせなら、彼の好きなもの、あげようかなって』
『好きなもの?』
『…お酒、とか。いつも飲んでるし、きっと、好きなんだろうなあって』
『チョコじゃなくてもいいの?』
『うん。ミッドガルの主流はチョコだけど、ニブルヘイム式でも、素敵じゃない?』

そう言って屈託なく笑うエアリス。
そんな彼女に驚きつつ、柔軟な彼女らしいと苦笑する。
だから私も、彼女に贈るアドバイスをもう一つ。

『だったら、良いお酒があるわ』
『なあに?』
『チョコレート味のカクテルよ』
『そんなの、あるの!?』
『うん。配合も簡単だから、後で作り方教えてあげるね』
『でも、難しそう。わたしに、出来る?』
『大丈夫。バレンタインまでまだ時間あるし材料は簡単に調達できるから、宿のキッチンを貸してもらいましょう』
『ありがと、ティファ。大好き!』
『うん…私も』

二人で手を叩き合い、笑う。

『ねえ、ティファ。そのカクテル、なんて名前?』
『知りたい?』
『も~、な~に?もったいぶらないの!』
『ふふ。じゃあ、耳を貸して』
『はい、どうぞ』

エアリスがひょいと顔を近付ける。

『あのね……』



柔らかに擽る優しい香りを受けながら、その名前を口にした。





CHOCOLATE SOLDIERS 9





「エアリス?昨夜会ったって……どういう事だ?」

店内に戸惑いを含んだクラウドの声が響く。

「夢の中なんだけどね。でも……」

ちらりと左手の小指を見る。
そこにまだ残る、微かな感触。
彼女のリボンの、柔らかな。

「ううん。きっと、夢じゃない。エアリスは此処に来た」
「……」
「クラウドだって言ってたでしょ?私達に会いに来るかもって」
「それは…、……」

口を閉ざす彼を見つめながら、カウンターの上で握られたその手に触れた。
ピクリと、指が跳ねる。

「ティファ…?」
「ごめんね。いきなりこんな事言い出して。……でも、どうしても、今、クラウドに聞いてほしいの」
「……」

揺れる碧い視線と交差する中、少しの沈黙が訪れる。

不意に、触れる彼の手の甲が指の先からするりと外れた。
コトリと、指先が冷たい板に落ちる。
けれどすぐに、彼の温かな掌に包まれた。
柔らかに絡まる、二人のそれ。

「いいよ、言って。大事な事なんだろ?」
「クラウド……」

優しい彼の響きに、小さく頷いた。



あの旅で命を落としたエアリス。
私にとって、彼女は親友であり、姉であり……憧れだった。
それは今でも、これからもずっと変わらない。
私の大切な彼女。

そんな彼女が恋をした、その相手は……。


「……エアリスね、あの旅でクラウドの事よく話してたの」

脳裏に、彼の隣で鈴のように微笑う彼女が甦る。


───飛空艇、カッコいいね!クラウド、いつか、乗せてくれるかな?

───ティファ、クラウド知らない?買い物、行く約束してたのに、もう!…あ!クラウド、見つけた!

───危なかったあ。クラウド、守ってくれて、ありがと、ね。


「あなたの事話す時、あなたの隣にいる時、とても幸せそうだった…」

彼女の名前を口にする度、まるで昨日の事のように浮かぶ姿に胸が熱くなった。
きゅ、と指先に力が籠る。

「エッジが襲われた時、私も彼女の気配を感じたわ」

クラウドの戦いを見守る飛空艇の中で、感じた彼女の心。


───ティファ、心配しないで。クラウドは、大丈夫。

───今度は、わたしが……彼を守る番。


「私達を…そして、あなたを救いたかったのよ」

「彼女にとって、何よりも大切だから」


忘らるる都、水の祭壇で一人祈るエアリス。

その瞳にあなたをを映した彼女の、美しい微笑みは今でも決して忘れられない。


───来てくれた、ね。ありがとう、クラウド………。


「───」

胸の熱が喉に競り上がってくる。
痺れるような痛みに、息が詰まって呼吸が震える。


「……クラウド。エアリスは……」
「ティファ」

絡まる指先を強く引かれ、スツールから腰が浮いた。
ぐらりと傾く視界に、滲む碧。
それが彼の瞳だと分かった途端、視界が遮られた。
とさりと、彼の胸に身体が埋まる。

「泣くなよ……」
「……ごめんなさい……」

耳元で、静かに聴こえるクラウドの声。
力強く抱きとめられ、髪を何度も梳く掌に、込み上げるものが止まらなくなる。

「……クラウド、私ね……」
「うん」
「エアリスが……本当に好きだったの…」
「うん」
「彼女の恋を応援しようって、ずっと思ってた……」

クラウドの手が止まる。
ぴたりと寄り添う彼の顔が僅かに動いて隙間が出来た。

「……今も、そう思ってる?」
「………」

空いたそこに落とされる言葉に、ふるふると首を振った。
肩に伏せる頭を、掌が再び撫でる。

「…あなたの事が…もっと好きになっていって………どうしようもなかったの……」
「……うん」
「あなたのプロポーズを受けた時、心の底から幸せだと思った……」
「……ティファ……」
「でもね、本当は……心のどこかで、ずっと」

握り締めた掌に力を込める。


「彼女の気持ちを知っておきながら、一人だけ幸せを掴もうとするこんな私は………許されないって……思ってたの……」


今までひた隠しにしてきた気持ちを、彼に告白した。
髪を梳く掌が再び止まる。

「………」
「………」

ゆったりとした旋律だけが流れるそこに、互いに言葉は無く。
止まったままの掌と髪に感じる静かな呼吸。

(……ごめんね……)

何も言わないクラウドに、言ってしまった後悔がじわじわと広がっていく。
彼が今、どんな顔をしているのか……何を思っているのか。
臆病な私は、顔を上げる勇気もない。
握った掌に汗が滲む。


「……だから、これを?」

ぎゅっと瞼を閉じた時、クラウドが口を開いた。

「このグラス。このリボン、エアリスのだろ」
「……うん」

そっと瞼を開き、けれど顔は彼の肩に伏せたまま頷いた。

「前に……あの旅で、エアリスがね、言ってたの。次のバレンタインに、好きな人にチョコあげるんだって……」
「……」
「クラウド、甘いの……苦手でしょ?だから、クラウドが好きなお酒なら、喜んでくれるかもって……二人で決めたの。でも……」


そうする前に、エアリスはいなくなってしまった。

彼女の恋は、あの時のまま、永遠に止まってしまった。


「エアリスの気持ち、ずっと心に残ってた…。あなたに伝えるべきか悩んで……でも、彼女の死にあんなに苦しんでるあなたを見ていたら……どうしても出来なくて……」
「……」
「それに……」
「……それに?」

耳元で囁く低い声音。
懐かしい光景が脳裏に浮かぶ。

クラウドとエアリス───並んで歩く後ろ姿。
いつも私の一歩前を行く二人の横顔。


いつも、どんな時でも明るく軽やかに微笑う彼女。
それを隣で映すあなたの瞳はいつだって穏やかで…そしてとても優しかった。
あなたは過去の自分を幻想の中で生きていたと言ったけれど………それでもきっと、彼女の笑顔にあなたの心は救われていたんだわ。
だからここで暮らすようになってからも、彼女を失った後悔を自分一人で背負い込んでしまう程に、あなたの心の中で彼女はずっと生き続けていた。


「あなたの気持ちは……決して疑ったりしていない。本当よ」
「……解ってる」
「でも、時々……考えてしまうの」
「……何?」


クラウドの声が遠くに聴こえる。


滲む目元に記憶が揺れる。



「もし、あの時……エアリスを失わなかったら……」




「もし、あなたが彼女の気持ちを知っていたら……」






「……私達……」






「……なあ、ティファ」

詰まる言葉に被さるように、クラウドが口を開いた。
静かだけれど確かな響きで名前を呼ばれてはっとする。
顔を上げようと身じろぎするも、頭の後ろに添えられた彼の掌に抑えられ、叶わなかった。

「クラウド…?」

彼の首筋に頬を寄せたまま、答える。
耳元で小さな呼吸が一つ聴こえた。





「俺は……」







「エアリスが、好きだったよ」



Next...CHOCOLATE SOLDIERS - Only When I Sleep -


Season - Valentine’s Day 2016 - | コメント:0 |
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