2016-05-23(Mon)

CHOCOLATE SOLDIERS Only When I Sleep - Valentine's Day 2016 -

こんにちは、ももこです。

バレンタインSS10話の前に、幕間のお話をUPします。
次で完結にしたかったので、長くなりそうな部分を番外として先に書いちゃいました(^_^;)
クラウドの真意を期待されていた方、すみません(>_<)
今までと比べて雰囲気で察してくれ系の電波な感じですが、それでもこれもこのSSを書く上で必要な部分なのであります。
ティファとエアリス、妄想の中だけでも正々堂々と恋のライバルしてほしかったんです。
本編では結局、ティファもエアリスもクラウドに対する恋心はお互いに明確に触れていないと思うので……ティファは性格その他で誰にも本心を言えなかっただろうし、エアリスは言わなくても言動で大体察しがつくでしょうけど、なんだかんだでお互い様子を窺ったまま一方がフェードアウトしちゃうので、残された方もそりゃスッキリしないよねと思いました(^_^;)
自己満足丸出しな内容ですが、後悔はしてない……うん(´ω`)
本編でエアリス外れてしまうタイミング、Ⅶの恋愛観を深めるという点で凄く絶妙だったと思います。
そして、20年近く経った今でもヒロイン論争が収まらない原因の一つかなと思います(^_^;)
ちなみに、今回の副題はアイルランドのバンド「ザ・コアーズ」より曲名をお借りしました。
「Only When I Sleep (夢の中で抱きしめて)」です。

それではまた来ますね!
次こそバレンタイン完結頑張る(>_<)
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)

【Warning!】バレンタインSS幕間小話です。ティファ視点。懐かしい旅の途中、バレンタイン話で盛り上がった後のティファとエアリス。お互いに恋のライバル宣言しちゃう二人。ティファとエアリスしか出てこないのでCPはエアティです。今までUPしたバレンタインSSの『』の部分(ティファの過去夢の部分……1話3話9話)を繋げて読むと分かりやすいかもしれません。続きます。





『そういえば、ティファ』
『何?』
『ティファは、バレンタイン、あげないの?』
『あげるって、誰に?』
『決まってる、でしょ?ク・ラ・ウ・ド』
『なっ…!』

突然出た彼の名前に、思わず素っ頓狂な声が零れた。

『な、何でいきなりクラウドが出てくるの!私は、そんな…』
『あれ~?だって、ティファ、クラウドのこと』
『ち、違うわよ!クラウドはただの幼馴染だって前にも言ったじゃない』
『ホントに~?』
『本当です!』
『な~んか、あやしい~』
『もうっ!やめてよ、エアリス!』

ドキドキと大きく鳴る心臓の音を胸に手を当てて隠し、あからさまに疑うような、それでいて面白そうに細めるエアリスの視線から逃れた。

『ふふふっ。ゴメン、ね?』
『からかうのは無しよ。いい?』
『はぁい』

私に文句を言われても尚、可笑しそうにくすくすと笑うエアリス。
そんな彼女を横目に、思い切り熱くなった顔を手うちわで煽ぐ。

(もうエアリスったら……いきなり何言い出すのよ)

『そもそも、もし仮に私が彼に気があるとしたら、エアリスが困るんじゃない?』
『どうして?』
『だって……』

───エアリスが好きなのは、クラウドなんでしょう?

言いかけて、止めた。
彼の名前を言葉にすれば……ちくちくと刺し込む胸の痛みがより増す気がして。
それよりも、妙に居たたまれないこの状況から早く抜け出したかった。

『そんな事、もういいじゃない。それよりも、急がないと皆に置いていかれちゃうわ』
『あっ、大変』

エアリスと話すのに夢中になっている間に、前を行く彼らから随分距離が開いてしまった。
話を切り上げるチャンスに、足早に彼女を促す。

大きく歩幅を広げ、彼女より身体が一歩分前に出た時。

『ねえ、ティファ。わたし、困らないよ?』
『え?』

すぐ後ろから聴こえた声に、早めた足を止める。
振り向けば、そこには立ち止まったまま、真っ直ぐに私を見つめる翡翠の瞳が静かに煌めいていた。

『ライバル、ティファだったら、困らない』
『エアリス…?』

キラキラと輝く木漏れ日を背中に受けて立つ彼女。
輝くような眩しさに眼を細める。

『エア……』



さあっと、一陣の風が通り抜けた。

さざめく緑の光の中、彼女が見せたその微笑みは。

まるで、"最後"に見た"あの時"のように、美しく瞼に焼き付いた。



『ねえ、ティファ』


『わたし、クラウドが好き』



さわさわと鳴る梢のせせらぎ。
その中を渡る、彼女の言葉。
どこか切ないその響きは、心の中にすとんと落ちた。

『うん……知ってる』

『ティファ、は?』

少しだけ首を傾げ、翡翠の瞳を輝かせる彼女。
旅の中でいつも見せた愛らしい仕草。

素直に言葉が零れた。



『………好き』





その瞬間、まるで大輪の花が咲くように、彼女が笑顔で一杯になる。





『じゃあ、わたし達、ライバル、だね』

『…うん』

『恋の、ライバル』

『…うん』

『わたし、負けないんだから、ね』

『……私だって』

『でも、もし負けちゃったら、あなたの事、全力で応援しちゃうんだから』

『……っ、私も───……』






───ああ、行ってしまうのだと思った。





───彼女は……もう。







『あっ、大変!早く行かなきゃ。みんな、待ってる』

彼女が指すその向こう、かつて旅を共にした、懐かしい仲間達の姿。
そして、その一番向こうに見えるのは───。


『さあ、ティファ。クラウド、待ってる』

『……エアリス……!』


その名を口にして、一瞬で霞みゆく視界。

溢れる涙が頬を伝う。



───あなたも、一緒に。



言えないその一言が、こんなにも悔しくて……苦しくて。


『…っ、エアリス…っ』

『やだ、ティファ。なに、泣いてるの?』

『っ…だって……、ううん、何でも…ないよ…』


覆う掌から零れ落ちる、幾つもの雫。

それを吸い取るように、柔らかな腕の中に包まれる。



『エアリス……』

『ん~?な~に?』

『大好き……』

『私も!ティファ、だ~い好き!ほら、こうして、抱きついちゃうんだから~』

『やだ、…エアリスったら…』

『ふふっ』



こんな時でも私を気遣い、明るくおどけて言うエアリスを、心の底から愛しいと思う。

あなたのその心の強さ、いつか私も手に入れたい。



手を伸ばし、ありったけの想いを込めて抱き締めた。


『また、会えるよね?』

『うん』


そよぐ風に、彼女の香りを胸いっぱいに深く吸い込む。


『ありがとう……エアリス』


『また、ね』



とん、と、背中を押す掌。





『ティファ~!がんばって~!』





軽やかな彼女の声を追い風に、愛しい彼の元へ駈け出した。



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