CHOCOLATE SOLDIERS 10 - Valentine's Day 2016 -2016-06-05 Sun 00:08
こんにちは、ももこです。
バレンタインSS第10話 ……ていうか、これ前半後半で間に合うのかな(^_^;) 余りに長かったらもう一話分追加かもです…ごめんなさい(>_<) 多分、皆様が気になる本題は後半になると思います。 ティファの心情も表現弱いところあると思うので、後半書くついでに前半も見直したいと思います(^_^;) 今の連休中にUP出来るように頑張ります(*・`ω´・)ゞ 今日は朝から咳が酷く病院行ってクスリ貰ってきたんですが……解熱のお薬くれなかった……熱は自力で何とかしろという事ですか(´;ω;`)?? それではまた来ますね! 拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*) 【Warning!】バレンタインSS10話です。DC後設定のティファ視点。最初から最後までティファ泣きっぱなしです(汗) 『ねえ、ティファ。あなたに一つだけ、お願いがあるの。わたしの我が儘、きいてくれるかな?』 春の陽だまりのようなその場所で、貴女は旅の間良く見せたその愛らしい仕草で私に語りかけた。 ───そんなの……もちろんだよ。 胸を締め付けるような切なさに、溢れる涙を堪え返せば、途端に花のような笑顔を見せる貴女。 良かった、と、華奢な身体一杯に私を抱き締めてくれた。 『あなたにしか、出来ないの』 柔らかな抱擁の中、そう言って。 『ティファ。いつか話した、わたしの願い。覚えてる?』 ───あなたの……願い? 腕に抱かれたまま返す私に貴女は、それを私が教えたカクテルの名前と共に耳元でそっと囁いた。 『どうか、一度だけ叶えさせて』 抱擁を解き、見つめる私の涙を優しく拭う。 『あなたと一緒に……この気持ち、彼に伝えたい』 ───うんっ……うん、分かった……エアリス……!! 拭った先から溢れて止まらなくなった涙に、困った子ね、と微笑みながら髪を結ぶリボンを解いて私の左手を取る貴女。 きゅっと、小指の付け根に柔らかく結ばれた桃色の裾がふわりと舞う。 それを愛おしそうに見つめて、ふっと微笑う翡翠の煌き。 柔らかに絡まる、二人の小指の先。 『二人だけの、約束、ね』 軽やかに片眼を弾きながら、貴女は輝く陽だまりの中へとけていった。 CHOCOLATE SOLDIERS 10 クラウドの口からはっきりと聞いたのは、これが初めてかもしれない。 「俺は……、エアリスが、好きだったよ」 その瞬間、頭の奥がジンと痺れた。 呼吸も、心臓でさえも。 私の全ての時間がその一拍に動きを止めた。 見開いたまま、閉じられない瞼。 彼から落とされる直接の言葉───ショックだった。 彼を愛する、一人の女として。 ………でも。 ───ああ、やっぱり。 そんな風に、どこか冷静に納得している自分もいた。 私へ向けられる彼の気持ちは信じてる。 でも───もし。 もし、エアリスが私達と共に、今もこの世界で微笑んでいたのなら。 (エアリス……) 記憶の中の、彼女の笑顔が甦る。 その笑顔の隣にある、穏やかな彼の眼差しと共に。 (クラウド……) 彼の気持ちは……本当は彼女にこそ向けられるべきものだった……? 今、こうしてクラウドの腕に抱かれているのは………本当は、私ではなく───………。 「……そっ…か……」 彼の肩に顔を伏せたまま、やっと声を絞り出す。 掠れたそれは、少し震えていた。 視界が、だんだんとぼやけてくる。 熱い水がその縁で球を作り、溢れ出そうとしている。 ───クラウドとエアリス。 本当は、ずっと前から"そうかもしれない"って……思ってた。 ……だけど、これではっきりした。 「っ」 不意に、固まったままの身体から力が抜けた。 「…!」 沈み込む身体に反応して、支える彼の腕に力が籠る。 しっかりと抱きとめられたまま、けれどお互いの表情はまだ見せない……見せられない。 背を丸めたまま、ぎゅっと彼の肩に目元を埋める。 瞼の表面がじんわりと温かいものに濡れていく。 自分の中で、たくさんの感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い、弾ける。 二人への深い想い、憧憬、憐憫、嫉妬……そして罪悪感。 玉虫色のそれらの感情が、出口を求めて身体の中をぐるぐる回る。 「ティファ」 呼ぶ声と共に、彼の鼻先が髪に触れる。 「……ごめんなさい…もう少しだけ……このままでいさせて……」 「……、………」 感情の整理が追い付かないまま、今、あなたに向ける顔なんて作れない。 だからお願い、もう少しだけ待って。 願いを指先に乗せ、彼の服をきゅうっと握った。 伏せる頭の上、小さく漏らされる吐息が髪を揺らす。 「……、……」 それから数秒───躊躇うように、もう一度ゆっくりと動き出す大きな掌。 いつか、パパにしてもらったような優しい手つきで柔らかに髪を梳く。 けれど、その優しさが、今は胸の奥に小さな痛みを走らせる。 「………」 「………」 それから、しばらく。 お互いの息遣いとピアノの旋律、時計の秒針だけが音を刻む。 そして、彼の腕の中、大分気持ちも落ち着いてきた。 掌をその肩に、ゆっくりと顔を起こす。 「…ティファ?」 クラウドが呼ぶ。 「……うん」 それに小さく頷いて答えると、指先が頬に触れた。 こっちを向いてと促すように、彼のそれが肌を滑る。 瞬き一つ、顔を上げた。 目線の先、交わるのは、力強い光を湛えたサファイアブルー。 その真ん中に映るのは、泣き腫らした女の顔。 それはお世辞にも、好きな人に見せられるものではなかったけれど。 それでも、真っ直ぐに私を見つめてくれるあなたの瞳は、とても綺麗だと思った。 ───ああ、やっぱり好きだな。 心から想う。 どんな彼でも……やっぱり私はクラウドが好き。 エアリスも好き。 二人とも、大好き……二人とも、愛してる。 だから、もう、泣くのは止めよう。 そして、"彼女の願い"を叶えよう。 「クラウド」 彼の肩に手を置き、腰を抱かれながら、カウンターの上に置かれたグラスに指を滑らせた。 その先を、碧い瞳が追う。 「エアリスからあなたへ」 彼女の代わりに、もう一度彼に贈る。 「受け取ってくれる?」 指を離し、微笑んで彼を見た。 一連の流れを追っていた彼の瞳は、じっとそこに向けられていた。 「……なあ、ティファ」 ゆっくりと彼が動き、目線が交わる。 静かな、けれど力強い眼差しが再び私を捉えた。 海の色に泳ぐ私は、やっぱり少しだけ泣いていた。 「なに?」 折った指の先で目元を拭う。 離れたそれが元の位置に戻る頃、彼の唇がゆっくりと開かれた。 「ティファは……俺の事、どう思ってる?」 「え…?」 彼の言葉に、知れず心臓がどくりと跳ねる。 咄嗟に片手を胸の上に置き、その鼓動を抑えながら彼を見た。 (クラウド…?) 表情こそ変わらないけれど、その眼差しは柔らかく、包み込むような温かさを滲ませている。 「え…っと……」 彼の言葉の真意を掴めないまま、向けられる穏やかさに戸惑う。 「クラウド…?」 困惑に声を揺らし彼を見れば、同じように彼も眉を下げ、困ったような笑みを浮かべた。 「別に難しく考える事は無いんだ。ただ……」 「………」 「ティファは俺の事、どう思っているのか確かめたくなった」 直接的なクラウドの言葉に思わず顔が熱くなる。 真っ直ぐに向けられるその眼差しも相まって、まともに彼の顔を見られなくなる。 それでも、その先にある答えを聞くまでは外さないだろう彼特有の拘束は、嫌と言う程知っている。 「ティファ?」 「……………好き」 殊更優しい声音で促され、やっとその一言を口にすれば、その口角にまた新たな弧が描かれた。 「…んっ」 彼の唇が濡れた頬に触れる。 竦めた肩を抱かれ、そのまま不安定な姿勢を抱き直されて、完全に彼の膝の上に身体が座った。 「ク、クラウド」 「ん」 幾分高くなった目線の先で、満足そうに微笑う彼を見る。 「ね、ねえ。これじゃ飲みにくいよ…」 「大丈夫。片手で飲める」 「そうじゃなくて私が……」 空いた片手でグラスを持ち上げるふりをするクラウドに、恥ずかしさも相まってそうじゃないと身体を揺らして抗議する。 「ティファ。危ないからじっとしてくれ」 「もうっ」 膝の上で不安定になる重心を支えるクラウドの溜め息が上がる。 それに釈然としないながらも、しょうがなく大人しく彼の首に片腕を廻して身体を預けた。 目線のすぐ下には可笑しそうにくつくつと声を抑えるクラウド。 それを黙って見ていると、不意にその表情が変化した。 静かに見上げるその先で私を映す、碧い瞳が瞬いた。 「なあ、ティファ」 「何?」 「マリンの事、好きか?」 突然、娘の名前を口にする彼。 「え…マリン?」 「答えてくれ。ティファにとって、マリンは?」 「もちろん……好きよ?」 返す言葉に彼が頷く。 「じゃあデンゼルは?」 「同じよ。好き。とても素直で良い子だと思ってるわ。だけど…何?何かの謎かけ?」 問いかけに首を傾げる私に、クラウドはただ静かに口角を上げるだけで。 それからまた同じようなやり取りが何度か続いた。 「仲間は?ユフィやバレット、他の皆」 「…皆同じだわ。好き」 「父さんと母さん……村の人達」 「……好き」 クラウドの言葉に返す私の答えはどれも同じ。 仲間や友人、家族は誰もが皆、私にとってかけがえのない大切な人達だもの。 そして………。 「エアリス」 「───……っ」 彼女の名前に、胸が震えた。 胸の中心に手を当て、彼女の姿を今一度想う。 「好き……っ!」 「…ティファ」 吐息のようなクラウドの声が、ふわりと頬に掛かる。 「クラウド…」 見つめるその先、緩やかに弧を描く彼の唇。 碧い瞳が微笑んだ。 「俺も……同じだ」 Next... ![]() |
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