七つ星 -NANATSUBOSHI-

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CHOCOLATE SOLDIERS 11 - Valentine's Day 2016 -

こんにちは、ももこです。

バレンタインSS11話、前半だけですがUPします。

以前に10話後半としてUPしたものの修正版になります。
ここまででもかなりの追加になりました……疲れた(^_^;)
このままいけば、後半はもっと過酷な追加修正になりそうだ……(ω |||)
キャラの気持ちを表現するって、本当に大変ですね(^_^;)
それが読み手にちゃんと伝わればいいんだけど、そうじゃないと思うから毎回毎回修正の嵐なんだなあ。゚(゚´Д`゚)゚。
今回はエアリス←クラウド発言への言及というよりは、クラウドの過去に対する独白みたいなものです。
本題は後半にて、今度こそ頑張ります(*・`ω´・)ゞ
その代わりといってはアレですが、クラティちょい甘をプラスしておいたので宜しければお召し上がり下さいませ(*^^)v

さて、今週末は茨城に泊まり出張ですよ~…三日間みっちり研修だから大変だなあ(>_<)
クラティ研修だったら喜んで飛んで行くんですけどね(^_^;)
それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
あ、あと、25000HITもありがとうございました!
拙い作品ばかりで恐縮ですが、それでも足を運んで下さる方に心から感謝申し上げます(*^_^*)

【Warning!】バレンタインSS11話です。DC後設定のティファ視点。またしても前半のみUPです…すみません(>_<)前半はエアリス要素は薄目でクラティちょい甘をちょこんと置いてみました。あと子供っぽい旦那様とか(笑)後半はエアリス関連復活の予定です。続きます。6月23日後半UPしました。






"Love"


愛するということ。


大切に想う心。



想う愛。


信じる愛。


親しむ愛。


護る愛。


敬う愛。


慈しむ愛。


愛する愛。




ねえ、クラウド。



あなたの"愛"は、何?





CHOCOLATE SOLDIERS 11





「俺も同じなんだ……ティファ」

まるで凪いだ湖面のように、クラウドの声は静かに響いた。
魔晄の輝きは普段の鋭さを隠し、ライトの温かな光を浴びて緩やかに輝いていた。

「同じ…?」

ああ、と返す彼を見つめる。

口元から微かな吐息を零し、彼の視線が外れる。
自由に跳ねる奔放な髪の毛束に隠れ、その表情は見えなかったけれど。
緩く結ばれた口元は、そのままの穏やかさで言葉を紡いだ。

「ティファやマリン、デンゼル」
「え?」
「ザックス、エアリス……母さん。仲間の皆、世話になった人達」
「……」
「俺が今こうしていられるのも、皆が俺を支えてくれたからだ。俺一人だったらきっと……生きてここにいないんだろうって思うんだ」
「クラウド……」

遠くを見つめるような、彼の声。
私はただ、その声に耳を傾ける。

「二年前……カダージュ達との戦いの時、あいつに言われたんだ」
「あいつ?」
「セフィロス。俺の"最も大切なもの"は何かって……それを奪いたいとあいつは言った」

今でも鮮明に思い出す。

闇のような黒雲を纏い、私達の前に現れたかつての英雄───セフィロス。
真っ黒な片翼を背負い、かつて私達の故郷と大切な人達の命を奪った長大な刀を天に翳し、対峙するクラウドへ兇刃を振り上げた。

「セフィロスの力は圧倒的で……」

見守る飛空艇の中。
私の眼に焼き付いた光景。
私の全てが軋む音を、その時聴いた。

悪魔のような切っ先が───彼の身体を貫いていた。

「…っ」

ブルリと、身体に震えが走る。
触れる彼の温度がやけに冷たく感じて、彼の身体に廻す腕に力を込めた。

「……正直、もう駄目だと思った。その時、一瞬だったけど浮かんだんだ。今まで俺に起きた出来事……関わった人達。もちろんティファや子供達も。走馬灯…って言うのかな。そういうの、信じてなかったけど……本当にあるんだなって……思った」
「……うん」
「でも…」

見つめるその先で、彼の唇が僅かに持ち上がる。

「その時解ったんだ」
「何?」
「俺にとって大切なのは、今までの人生全てだ。辛い過去も、失敗した過去も、今の俺があるのは今までの人生があるからで……全ての物が大切で、全ての人が大切なんだって……」
「クラウド……」
「だから、それをあいつに奪われる訳にはいかなかった」

崩れた瓦礫に拡がる血溜まり。
その中に沈む、彼の身体。

けれど……そんな絶望の中で、彼は射す光をその手に掴んだ。

「うん…そうだね……」

頬に触れる、彼の金色。
しなやかに揺れるそれに唇を埋め、キスを贈る。
それから、ぎゅっと、彼の身体を抱き締めた。
込み上げる熱を、隠すように。


クラウド。

あなたが今、ここにいて、こうして触れ合える事………こんなにも嬉しくて、愛おしいの。

あなたを失わなくて、本当に良かった………。



「ティファ?」
「……ううん、何でもないの……続けて?」

揺れそうになる声を息を深く吐き抑える。
クラウドが窺うように角度を上げるのを、首を振って続きを促した。

「……俺にとって"大切なもの"は"護りたいもの"と同じだ」
「護りたいもの…」
「今まで俺を支えてくれた人達……家族や仲間」
「家族や仲間…」
「ティファが……その……"好き"だと思うものと、大して変わらないし……俺も、そう思ってる」
「それって……私達?」
「ああ」

頷くクラウドの言葉に顔を起こし、彼を見た。
かち合う、二つの瞳。

「つまり……"好き"って、事?皆を……クラウドも?」
「……ユフィ達には言うなよ。後が面倒だからな」

ふいと目線を逸らし、照れくさそうに頬を掻きながら、それでも否定しないクラウド。

「ふふっ」

そんな彼に思わず笑みが零れた。
クラウドが振り向き、ぎょっとしたように眼を瞠る。

「何でそこで笑うんだ」
「ごめんなさい。だって、クラウド、素直じゃないから」

口元に手を当て声を抑えると、彼の眉がぴくりと跳ねて顔を顰めた。

「なんだよそれ。……言わなきゃよかった」

文句を言いながらクラウドがそっぽを向く。
それでも、僅かに紅潮している耳が、それを彼なりの照れ隠しだと教えてくれる。

不器用で口下手な彼が一生懸命言葉を繋いでくれた……私達の為に。

「クラウド…」

湧き上がる愛しさに任せ、ふわりと彼の身体を抱き締める。
ピクリと跳ねる肩に頬を預け、赤い耳元に唇を寄せた。

「ありがとう……私達をそんな風に想ってくれて。……凄く嬉しかった」
「……ん」

囁く言葉にクラウドが吐息と共に小さく頷く。
腰に廻されていた彼の腕が背中に廻り、それから肩を抱き寄せる。
抱き合うようにして、肌と肌が触れ合い甘やかに擽る。

「私も好き……私もあなたを護りたいよ……クラウド」
「ティファ…」

そっと、クラウドの鼻先が触れる。

「───」

閉じた瞼の傍らで。
二つの吐息が、静かに溶けていく。



(───………)

薄く開いた視界の先に、きらりと光る彼女のグラスが映り込む。

(エアリス……)

カウンターに置かれたままのそれに、ちくりと胸に痛みが刺した。


「………」


触れたそれが途切れる。
顔を浮かせ彼を見れば、碧く輝く瞳の中に強い何かが見えた気がした。

クラウドの手が、初めて眼の前のグラスに伸びる。
指先が、彼女のリボンに触れた。

「………」

リボンの裾を巻き込みながら、きゅ、と握られる指先。
それを見つめながら、彼の言葉を静かに待つ。

「……一つ言っておきたい事があるんだ」
「…何?」

小さく、吐息を切る音───それから。


「俺にとって……"その"形は、一つだけじゃない」


───まるで、夢の中にいるような。
そんな風に、どこか遠くを馳せるクラウドの瞳。

………ううん、違う。

きっと……ここにはいない、彼女を見つめているのだと思う。


(……、………)

ツキン、ツキン、と。
胸の中で鼓動が沁みる。
それは、小さな小さな漣となって、私の奥深くに行き渡る。

痛くない訳がない。

辛くない訳がない。


それでも───私は。


彼の……クラウドの全てに、触れたい。


触れて、見て、確かめて。


そして………共に分かち合いたい。



「……いいよ。教えて……あなたの気持ち、もっと知りたい」

そっと、クラウドの肩に頭を預ける。
ぴたりと寄り添うようにして眼を閉じれば、彼の掌が肩を抱き寄せこめかみを唇が触れた。
羽根のようなそれが途切れた時、クラウドの唇が小さく動いた。

「あの旅の中で、俺は……元ソルジャーの肩書でアバランチに雇われた」

───クラウドの言葉に、懐かしい旅の記憶が甦る。
クラウド、バレット、私……ナナキ、シド、ケット・シー、ユフィ、ヴィンセント………そして、エアリス。
それぞれがそれぞれの目的を持ち、同じ目標へと共に旅した。

「ソルジャーに任務失敗の文字は無い。どんな状況下でも冷静に判断し完遂し成果を上げる事、それ以外に選択肢は無い。どんな些細なミスも許されない。クラス1stともなれば尚更だ。失敗して無様な姿や弱みを他人に見せる訳にはいかないと思ってた。1stとしての誇りやプライドを傷つけるのは……嫌だった。………勿論、それは俺の創り出した幻想で………実際はソルジャーでもないただの一般兵で、皆を引っ張っていけるような実力も無かったんだけどな。……でも、あの時は本気でそう思い込んでいたんだ」

旅の中、リーダーとして皆を纏める為に尽力する彼の姿を思い出す。
アバランチのメンバー以外、ほぼ初対面だった私達。
年齢も性格も経歴も全く違う私達を纏め、守り、常に先頭を行く彼にかかるプレッシャー。
………今思えば、それは一体どれ程のものだったろう。

「正直、俺自身、あの頃の自分に少しも不安が無かった訳じゃない。……それでも、誰にも弱音を吐く訳にはいかなかった。……弱音なんて吐ける相手もいないと思ってた」

ジェノバ細胞による記憶障害、幻聴、精神不安、セフィロス、リユニオン……そして、彼に対する私の猜疑……。
私達の知らない間に、彼の精神はギリギリの所まで擦り減り疲れていたのかもしれない。

そんな時、太陽のような彼女の明るさ、花のような癒しの笑顔、柔らかな包容力は、どれだけ彼の心の救いになった事だろう。


「………エアリスは」

彼の指先が、そっとリボンを撫でる。

「そんな俺にいつも声を掛けてくれた」


───クラウド、元気ないけど、だいじょぶ?疲れてるなら、休んだほうがいいよ、ね?

───ねえ、見て、クラウド!虹が出てる。いいこと、ありそう。

───だいじょぶ、だいじょぶ!きっと、うまくいくよ……ね、クラウド。


「エアリスが笑うと……不思議と気持ちが軽くなった。ささくれ立った感情が引いていくのが、自分でも解るんだ……不思議な感じだった」

彼の瞳が想い出に浸るように優しく細まる。


───笑って、クラウド。


クラウドの隣で、彼女の笑顔が花開く。
それは、頑なな彼の心をいとも簡単に溶かしていく。
彼女に向ける彼の微笑みが、それを証明するように穏やかに揺れている。

「……安心感っていうのかな。俺が彼女を守る立場なのに、傍にいると逆に守られているようで……落ち着いた」
「安心感……」

クラウドの言葉を反芻しながら、想い出す。


───ティファ、だいじょぶ!ティファには、私がついてるんだから。心配、いりません!

───あれ~?なんだか、お顔が、暗いよ?せっかくの美人さんが、台無し、ね。

───ほら、ティファ。笑顔、笑顔!


弾けるような明るさと屈託のない言葉で、エアリスはいつだって私達を温かく包み込んでくれた。
あの細く小さな身体の中に、一体どれ程の想いが込められていたのだろう。

「分かるよ……クラウド。私も……同じだったから」
「……ん」

今更ながら、彼女の存在が私達にとってどれ程尊く大切なものだったのかを思い知らされた気がした。


「俺にとって、エアリスは………甘えられる存在、だったんだと思う」
「甘えられる存在……」
「ん。なんて言えばいいか……例えば、まるで……その……」
「……クラウド?」

不意に言い淀むクラウドに顔を向ければ、口元に手を当てこちらを窺う彼と眼が合った。

「どうしたの?」
「……笑うなよ?」
「笑わないよ」

言葉の意味する所が分からずそのまま顔を向けていると、観念したように手を離して溜め息を一つ吐いた。
ほんのりと、顔が赤い。

「………、………母さんみたいだと、思ってた」
「……おば様?……エアリスが?」

思いがけない彼の言葉に瞠目する。
クラウドがそれに少し慌てたように首を振った。

「勿論、本当に母親だなんて思ってない。……ただ、そんな風に甘えさせてくれるような気がしていたってだけで……おい、笑うなよ」
「ごめんなさい」

ばつが悪そうに眼を泳がせるクラウドを見ながら、彼の言わんとするところが大体解ってきて、思わず苦笑してしまう。

「要するに……"癒し"だったのね。クラウドにとってエアリスは……」
「癒し……そうかもな……」
「うん。解るよ……私も同じだもの。エアリスは……私にとってもママと同じで凄くあったかかった。彼女の言葉に何度救われてきたか、数え切れないくらい……」
「……ああ」
「……ねえ、クラウド」

クラウドの言葉に、ふと、今まで心の奥底に沈めていたものを聞いてみたくなった。
今まで勇気が無くて、確かめられなかったもの。

「あの時……二年前、あなたが教会にいたのは……もしかして……?」
「ティファ…」

"二年前"、"教会"という言葉に、クラウドの表情が僅かに揺らぐ。
お互いに、触れるのを避けてきたそれ。
それでも、その答えを今だったら聞ける気がした。
彼の口が開くのを、じっと待つ。

「……あそこに行けば、いつか彼女に逢えると思った。自分の罪、星痕の痛み、家族から逃げ出した情けない現実……何もかも、眼の前の全てが怖くなって……彼女に縋った。ティファや家族、仲間には……弱った惨めな自分を見せたくなかった。でも、彼女なら……こんな俺でも、何も言わず迎えてくれると思った」
「クラウド…」

小さな呼吸を挟み、最後まで言葉にしてくれた彼に瞼の裏側が熱くなる。
ぎゅっと肩を抱かれ、ぽたりと零れた一粒が彼の首筋を小さく濡らした。

「ごめん……カッコ悪いな、俺」
「ううん……そんな事ない。私の方こそ、ごめんなさい……辛かったでしょう?」
「気にしなくていい。……いつか話そうと思っていたから丁度良かった」
「うん……」

辛い過去を告白し、それでも微笑ってくれる彼を心から愛しいと思う。
涙の味がするそこに、溢れた想いで唇を落とした。

「……彼女は来てくれた?」

私の問いに、クラウドが静かに笑んで頷いた。

「……カダージュが現れたあの日、教会で」
「そっか……うん。やっぱり、エアリスはクラウドの事ずっと見守ってくれてるんだね……」
「……ああ、そうだな」

クラウドとエアリス、二人の間には………きっと、私には触れる事の出来ない絆があるのだと思う。
解っていても………やっぱりそれを少し寂しく思ってしまう。

「羨ましいな……」
「え?」
「エアリスが羨ましいって思ったの。私もクラウドのカッコ悪い所たくさん見たいのに、全然見せてくれないんだもの。……妬けちゃう」

濡れた頬を指の先で拭いながら、軽く彼に拗ねてみる。
眼を合わせた彼は少し戸惑っているようだったけれど、すぐにまた穏やかな笑みを浮かべてくれた。
それからまた、さっきと同じ言葉を紡ぐ。

「……なあ、ティファ」
「何?」
「俺、エアリスが好きだったよ」
「…うん。もう知ってる」
「でも、ティファはまだその意味を解ってないと思うんだ」
「…どういう事?」

言葉を否定するクラウドの口調がやけにはっきりと聞こえて、思わず顔を上げて彼と真正面から向き合った。
そこに見た碧い双眼。
それは深く強く光を集め、吸い込まれそうな錯覚に眼を眩ませる。


「エアリスは……俺にとって大切な仲間で、護りたいもので……特別な存在だった。彼女がいればいつも温かな気持ちになったし……苛立った気持ちは癒された。……何より、他の誰よりも安心して甘える事が出来た。彼女がいてくれたから、俺はあの旅を乗り越えてこれたし、星痕も克服出来た。今こうして俺が生きていられるのは……彼女の存在があったからだ」
「……、……」
「エアリスには感謝してるんだ。今でも時々こうして彼女の事を想う時があるよ。でも……」

不意に、彼が言葉を切る。

二つの碧が、私を捉える。

静かな光が、煌いた。


「彼女への"それ"はティファとは全く違う」
「……!」
「彼女は大切な存在だった。でも、ティファに対しての"それ"とは意味が違うんだ………解るか?」
「……クラウド……」


「俺はエアリスを護りたいと思った。……何よりも特別な仲間として」


「そしてティファは……」





「誰よりも幸せにしたいと思ってる。───俺自身の手で」


「…っ、クラウド…っ…!」






「だから……これは受け取れない」


クラウドの指先がカウンターのグラスに触れる。


彼女のリボンを掌に掬い、そっと離した。


「……解るだろ?」


「…っ、あ…」



涙が一筋、頬を伝う。








「ティファ」









「───愛してる」








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