Your Heart 102016-07-19 Tue 01:07
こんにちは、ももこです。
三連休最後を使って何とか書き上げた本編SS10話UPします。 今月の連休はこれでお終いなので、出来るだけ更新したいと思いまして、何時になくハイペースなUPです(^_^;) 今回はちょっと閲覧注意です。 理由は下記の注意事項をお読み下さいませ。 ……虫とか好きですか?? 表現はきつくないですが、最初から最後まで虫いっぱい出てきますのであしからず(^_^;) あと、ちょくちょくクラエアっぽい表現もあるので苦手な方は要注意です……本編前半だと、どうしても私の中ではこんな感じになってしまうんですよ(>_<) クラティに至る過程が萌え!!なんです+゚。*(*´∀`*)*。゚+ 次回はクラティ行けるかな?? 甘々とはまだいかない自信は物凄くありますが、それでも良いよという奇特な方は(いるのかな??)お楽しみに~(*^^)v それではまた来ますね! クラ誕の追加アンケートについて、今日明日中にUPしたいと思いますので、協力しても良いよという方はもう少々お待ち下さい(^^) 拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*) 【Warning!】本編SS10話です。ティファ視点。今回は要注意が幾つかあります。①虫がいっぱい出てきます。表現はきつくないですが接触とか苦手な方はご注意下さい。②クラエアっぽい表現があります。このサイトお馴染みですが苦手な方はご注意下さい。③ティファがちょっと暗いです。そして流血です。元気なティファじゃなきゃ許せない方はご注意下さい。④マテリアについてオリジナル設定があります。そんなの許せない!という方はご注意下さい。以上、それらを踏まえた上でご覧下さい(^^)続きます。 Your Heart 10 「いっけぇーっ!」 ユフィの手から離れた手裏剣が大きな弧を描き空を飛び交う敵を次々と切り裂いていく。 「へっへー!どんなもんだい!」 空中でくるくると回転しつつ刃を手に戻しながら、危なげなく片足で着地する。 それと同時に、今度は懐からボムのかけらを取り出しそれを頭上へと投げつけた。 大きな爆発音を上げて空中で爆ぜるそれ。 「やっり~」 無残に黒く焦げたモンスターの残骸がバラバラと雨のように地上に落ちていく。 それを器用に避けながらガッツポーズで嬉しそうに飛び跳ねるユフィにクラウドが睨んだ。 「おい、油断するなよ」 「うっさいなー。分かってるよっ!」 岩を一つ挟み、その向こうでモンスターを薙ぐクラウドとエアリス。 大きな刃をモンスターと共に軽々と一閃する彼の言葉に文句を言いつつ、再び手裏剣を遠くに飛ばした。 「ユフィ、あなたは飛んでいるやつらをお願い!私はこれでこいつらを何とかするわ!」 そんな彼らの会話を聞きながら、縦横無尽に武器を扱う少女を背に、草むらで奇声を上げ続ける異形達を見据える。 ざわざわと地を這う足斬草の群れ。 彼らが発する不快な声を無理矢理意識の外へ追いやりながら、手元のグローブに嵌められたマテリアを胸に掲げた。 それは、エアリスと同じ炎のマテリア。 炎を嫌うモンスターが多数徘徊するエリアに向かうのだからと、出発前にクラウドから渡されていた。 「オッケー!まっかせときっ」 意識の傍らで軽快な了承の言葉を聞く。 それと同時に一気にマテリアを発動させた。 「…ファイア!」 マテリアがぱあっと輝き、グローブ全体を鮮やかな色が包み込む。 そこから放たれた光が瞬時に燃え盛る炎と化し、地上で奇声を上げ続けるそれらを舐め上げた。 「…っ」 けれど、魔力の素質がエアリス程高くない私の炎では、相手の体力を削ぐ程度の威力しか出せない。 ブスブスと黒い煙を身体に纏わせながら、未だ蠢くそれらに舌打ちする。 「このっ!」 動きを鈍らせつつ襲いかかるモンスターを鋭い蹴りを繰り出して仕留めていく。 「はあっ」 最後の一匹が終わり、大きく息を吐いて前を見れば、先程モンスターが現れた穴の奥にまた新たな影が数匹蠢いているのが見えた。 (まだいるの?これじゃ埒があかない…!) 一体ずつでは大したこと無い相手とはいえ、何時まで経っても終わらない攻防に流石に嫌気が差してくる。 ぞろぞろと際限なく現れるモンスター達。 このままでは先に自分たちの体力が尽きかねない。 (回復アイテムだって残り少ないのに…) 嫌な焦りを感じつつ、幾度もの衝撃で緩んできたグローブをきつく嵌め直した。 良く見ると所々に血が滲んでいる。 赤や黒に汚れたそれは、モンスターのものであったり、自分のものでもある。 「……」 意識した途端、ぷんと漂う生臭い戦場の臭い。 「やだ…臭いな……私」 自分が放つ臭いに顔を顰めた。 (同じ女なのに……彼女とは大違いね……) 記憶の中の甘い匂いに、思わず自嘲してしまう。 「………」 ちらりと岩の向こうに眼を向けた。 無防備な背中を預けるように、大きな木の幹の下で詠唱を続けるエアリス。 そんな彼女を庇いながら、それでも流れるような動きと正確さで次々とモンスターを斬り落としていくクラウド。 「…ファイラ!」 エアリスが彼の背中を狙うモンスターに魔法を放つ。 一瞬で燃え尽くされるそれ。 「助かった、エアリス」 「ううん。わたしこそ、守ってくれてありがと」 息の合った攻守と交わされる自然な会話。 「クラウド、前!」 「…ちっ!」 振り向きざま、両断されるモンスターの身体。 どす黒い体液が溢れ、飛び散ったそれが彼の両腕と扱う剣をどろりと濡らす。 「クラウド、だいじょぶ?血が…」 「気にするな。それよりまだ来るぞ。援護してくれ」 「う、うん」 エアリスから血の臭いを遠ざけるように、クラウドが前へ飛び出した。 そんな彼の背中を見送る彼女の瞳はとても優しくて美しい。 そしてまた、鮮やかな草花が生い茂る木の下へと戻っていく。 (………) ……きっと、彼女の周りだけ元の草の青さを保っているのは、こういった血生臭い場に馴れていないエアリスへの、クラウドなりの気遣いなんだろう。 ………彼女の香りがいつも変わらず清らかなのは、きっと彼のお蔭なんだろう。 (………) ───何だろう。 ───何だか胸の辺りがざわざわする。 (嫌な感じ……) 自分の身体が放つ血の臭いが一際強くなった気がして、思わず顔を腕で拭った。 けれど、すぐに無駄な事だと理解する。 (いいじゃない、別に。ティファ、あなた一体何を気にしてるの?) 彼女と自分は立場が違う。 彼女は古代種とはいえただの女の子だ。 そして私は………。 (レジスタンスで………人殺しなのよ) 「…っ」 今まで何度してきたか分からない自覚。 現実を目の当たりにするそれに、彼らと波打つ自分の心から目線を外しグローブを握り締めた。 「ティファ、後ろ!」 「!」 不意にユフィの声が聞こえて振り向けば、いつの間にか穴から這い出してきた個体がすぐ目の前まで迫っていた。 すぐさま飛び退いて距離を取り、手元のマテリアを確認する。 個人が持つMPの残量はマテリアの色調によって確認出来る。 多いほど濃く、少ない程薄く、最後には透明に変わっていく。 マテリアは未だ濃い緑色に保たれていた。 (よし。…まだいける!) 「…ファイラ!」 先程よりも大きな火柱が上がり、前方一面を炎の海に変える。 ギャアギャアと断末魔を上げながら炎に包まれていくモンスター達。 それでもまだ地中に隠れ身を潜める彼らに向かって続けざまに二度三度と炎を繰り出した。 「ティファ!無茶するな!」 クラウドの声が後ろから聴こえた。 それでも、聴こえないふりをして炎を大きくさせていく。 「…ファイア!…ファイラ!」 自分を軸に円を描く形で炎の壁を形成する。 その向こうにいるクラウド達の姿も隠れるくらいの高さもある。 これで地上を這う敵は私に近付けない。 自分自身も炎に飲み込まれかねない危険な方法だけれど、今はそんな事気にしていられない。 「…っ」 炎の熱に当てられて剥き出しの肌がちりちりと痛む。 けれど、それを気にしないようにして空に向かってグローブを掲げた。 「ユフィ!」 空中を馳せるユフィを呼ぶ。 「ティファ!?何やってんの!?」 下ろした瞳を大きく見開き驚くユフィ。 そんな彼女に向かって薄く口角を上げた。 「今から魔法であなたを援護するわ!」 言いながら、彼女のすぐ後ろに迫った怪奇虫を炎の矢で撃ち落とした。 「で、でも」 「私なら大丈夫だから」 口角をより引き上げて彼女に向ける。 「う、うん。分かったよ」 普段の彼女からは余り想像出来ない、酷く動揺した表情で頷くユフィ。 そんな彼女に少しの躊躇いが生まれたけれど。 「…ファイア!」 それでも、今は私に出来る事をしなければ。 (無理矢理ついてきたんだもの。皆の力にならなきゃ…!) 「…ファイア!…っ、ファイラ!」 空を飛び交う怪奇虫に向かい放たれる炎の矢。 獲物を追尾しながら当たった瞬間爆発する。 飛行能力はあるけれど、身体の大きな彼らへの命中率は思ったより高く、そのほとんどを撃墜していった。 「ティファ、やるじゃん!」 「任せておいて」 撃ち損ねた個体をユフィの手裏剣が追従し息の根を止めていく。 空を駆るユフィの刃と地上から繰り出す私の炎。 次々とモンスターを撃ち落としていくそれは、まるでさっき見た彼らのよう。 (大丈夫…いけるわ…!) つきんと走った小さな痛みを受け流し、目の前の光景に笑みを零した。 「…ファイア!…ファイ…っ!?」 突然、マテリアの光が消えた。 「ティファ!」 それと同時に上がる、ユフィの悲鳴。 「…あぁっ!」 直後に走る、背中への衝撃と痛み。 「な、何…っ!?」 眼の前を大きな塊が通り過ぎた。 地面に触れて消えていく。 既視感のあるそれ。 (マジックハンマー!?) 知覚した途端、それはすでに私の身体から力を奪い、背中へ張り付くモンスターへと消えていた。 もぞもぞと背中で蠢く足斬草。 「いやっ」 生理的な嫌悪を抱かせるその感触に、思わず悲鳴が出た。 (気持ち悪い…!) 必死にモンスターを振り払い、踵を落として絶命させる。 直後、背中に走る激痛に膝を着いた。 背中を強く噛まれたらしい。 震える指を背中に廻すと、ぬるりと濡れた感触があった。 指を見れば、べっとりと血に塗れていた。 「…、……」 じくじくとした痛みに身体を丸めながら周りを見渡す。 燃え盛る炎の内側、私が立つそのすぐ後ろの地面にぽっかりと穴が開いていた。 (迂闊…!) 私が魔法に意識を向けている間に地中から潜り込んだのだろう。 穴の向こうに違う気配も感じる。 (最悪だわ……) ぐるりと、周りを燃え盛る炎を見上げた。 やけに高く見えるそれ。 ついさっきまで城壁のように私を守ってくれた炎が、今は恐ろしい牢獄のように思えた。 「ティファ!」 ユフィが敵を振り払いながら走ってくるのが炎の隙間から見えた。 けれど炎の壁の手前まで来た時、足元の地面から大量の怪奇虫が現れて彼女を阻んだ。 「うわっ!なんだよこいつら!あっちいけ~っ!」 「ユフィ!」 足元からもぞもぞと這い上がってくるモンスターを振り払おうと、懸命にもがくユフィの姿に悲鳴が上がる。 「待ってて…今、助けるから…!」 背中の痛みに耐えながら立ち上がる。 サイドバッグへ手を伸ばし、ポーションを取り出した。 けれど、栓を開けようとした瞬間、指から力が抜けて中身を零してしまった。 「っ」 (大丈夫…確かもう一つあったはず…) 舌打ちしながら、痛みと出血に朦朧となる意識を奮い立たせる。 もう一度サイドバッグの中に指を入れた。 その時、地面の穴から黒い影が這い出てきたのが見えた。 足斬草が二匹、こちらに向かって爛々と光る大きな目と黒々とした口を開けて私を見ていた。 全身から血の気がざっと引いていくのが分かる。 「うそ…」 嫌な予感に呟いた自分の声が酷く掠れている。 震える足でじりじりと後ろに下がった。 けれど、燃え上がる炎の熱に傷付いた背中を舐められ、その痛みについに地面へしゃがみ込んでしまった。 自由に動かない身体へ忍び寄る気配に恐怖を覚える。 「い、いや……」 どうにもならない状況を悟り、それから逃れようと耳を塞ぎ、ぎゅぅっと強く眼を閉じた。 直後、鼓膜を破るような奇声が傷ついた身体に響き渡った。 「いやああっ!クラウド!助けてクラウド…っ!!」 Next... ![]() |
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