2016-08-15(Mon)

Your Heart 13

こんにちは、ももこです。

本編SS13話、やっと出来たのでUPします。
長らくお待たせしましたが、今回からエアリス視点で、かつ、また時間軸が過去に戻って進みます(^_^;)
ザックス絡みなのでCCの内容をふんだんに含んだ内容となってます。
CC、数年前にプレイしクリア二回くらいしかしていないのでもう一度プレイし直したいんですけど、時間無くて分厚いガイドブックとにらめっこしながら書きました(^_^;)
書いてみると、ザクエアって本当に切なくて涙が出る……ザックス、お前はなんてカッコ良い男なんだ~~~。゚(゚´Д`゚)゚。
何気にⅦシリーズで一番男気があり老若男女問わず惚れられるのって、ダントツでザックスだと思います…!!
それでも私はヘタレの癖にカッコつけで変態なチョコボ頭を何よりも愛しちゃってるので……君は二番目だ、ごめんよザックス(>_<)
エアリス視点、書きやすくて楽しいです(^^)
ティファもエアリスも、女の子として感情移入しやすいので、キーを打つ指が進む進む(*^^)v
本当はもう少し書きたかったんですが、取りあえずキリの良い所で収めました。
この勢いのまま、出来るだけ日を開けずに続きを書きたいです(^^)
おっと、その前にクラ誕書かねば…!!
クラ誕のUPはもう少々お待ち下さいませ(^_^;)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(^^)
前回UPしたエアリス関連の考察に拍手下さった方々も本当にありがとうございました!
内容が内容なだけに受け入れて下さる方がいるか心配していましたが、ぽちぽち頂いて感無量です…!!
また、コメント下さった方も本当にありがとうございました(*^_^*)
コメントは滅多に貰えないので凄く嬉しかったです(* ´ ▽ ` *)
頂いたお言葉を胸に、イラストの制作も頑張りますね(*^^)v

【Warning!】本編SS第13話です。今回からエアリス視点に変わります。そして、本編の他CCも絡んでの内容となってます。時間軸は前半→現在、後半→過去となってます。CPは主にザクエアになります。キャラ、CPに抵抗のある方はご注意下さい。続きます。





遥か向こうの山裾へと、燃えるような夕陽が沈んでいく。
空を見上げれば、赤く照らされていた雲は徐々に暗色へと影を落とし、代わりにキラキラと輝く銀色の粒がうっすらと姿を現していた。
先程よりも明らかに濃い影に染まる下草を足早に踏みしめながら、額に浮かぶ汗を拭い前を向く。

「二人とも、もう少し急いでくれ」

わたし達の少し前を行くクラウドが、背中越しに顔だけをこちらへ向けて声を掛けた。

「う、うん。ごめんなさい」

明らかに大きく開いてしまった彼との距離に、答えつつ可能な限り踏み出す一歩を大きくする。
けれど、更に歩調を速めた彼との距離は開いていくばかりで。

「ちょっと!もう少しこっちにも気を遣ってよね。こっちはアンタみたいな特別仕様じゃないんだっつーの!」

わたしに歩調を合わせてくれていたんだろう。
隣を行くユフィが庇うように声を上げた。

「いいんだよ、ユフィ。わたし、だいじょぶだから」
「でもさ」
「だいじょぶ、だいじょぶ!ね?」

心配そうに見つめるユフィを笑顔で制し、強く前を向いた。

「全く。無理して倒れないでよね~」

呆れたように軽口を言いながら、それでも手を取って引っ張ってくれる。
その力強い励ましに感謝を述べて、殆ど駆け足になりながら彼を追った。

普段からペースの違うわたしに合わせてくれる彼が、こんなにも急ぐのも無理はない。

彼の両腕には、深く傷付いた彼女が抱えられているのだから。


(クラウド……)

とくりと、小さく心に波紋が広がる。
彼と出逢ってから、その波紋は度々わたしの心を揺さぶった。

急ぐためのそれとは違う、苦しくなる呼吸にその先の一点を見つめる。

特徴的に跳ねる髪に、背負う大剣。

遠くから零れ落ちる光に融ける輪郭が、記憶の中の"彼"に重なる。

(……ザックス……)

その瞬間、これまで何度も感じた既視感が眼の前を覆った。

ふわりと身体が浮く感覚に眼を閉じる。

そうして次に開いた時、この既視感の原点……クラウドと初めて出逢ったあの場所に、わたしの心は飛んでいた。





Your Heart 13





その日は近くで何かあったのか、八番街の喧騒はいつにも増して慌ただしかった。
不思議に思いながら、いつもの路地裏に入る。
高いビルとビルの隙間に佇む、暗くて狭い道。
そこは駅前の大通りに出るための近道で、花売りのわたしは、いつもそこを通り抜けていた。
本当は、夜に一人でこんなところを歩くなんて、お母さんに知られたら叱られちゃうんだろうけど。

街灯もまばらな細い道。
薄明りの中、花の入った籠を下げ、その奥の一点を目指して進む。

『…?』

ふと、ある一角が仄かに明るくなっているのに気が付いた。
ぼんやりとした街灯に紛れ、不思議な色に染まっている。
近付いてみた。

『わあ、きれい…』

翡翠色の、透明な輝き。
それは幾つもの光の粒となって、ふわふわと路地の亀裂から溢れていた。

『魔晄…ううん。ライフストリーム、ね』

それは幼い頃、本当の母から聞いた言葉。

ライフストリーム。
生きとし生けるもの全ての生命の源。
わたしたちの原点であり、終わりの姿。
わたしもいつか死んでしまったら、この光の粒になって世界中を巡り、また生まれ変わるのだという。

『……』

不思議な光に見惚れるまま、その場にしゃがんだ。
光が眼の前で弾け、キラキラと舞う。

そうやってしばらく眺めていると。

『…?』

光の粒が空気に溶ける刹那、不意に頭の中に音が響いた。

『え?なあに?』

それは、ごく稀に教会の花畑で響くものに似ていた。
けれど、よく聴き取れずに首を傾げる。
ライフストリームに溶けた生命の意識(こえ)。
古代種にしか聴く事の出来ないそれを、わたしは幼い頃から度々聴いていた。

わたしも───古代種の血を引く人間だから。

『…ダメ。やっぱりもう、聴こえない』

古代種の血を引くと言っても、わたしは母と違って純粋じゃない。
彼らの声に応える事は出来なかった。

───でも。

『こんな近くで聴こえたの、初めて……』

久しぶりに聴いたその声に、なぜか懐かしさを感じた。
それは胸の奥にじんわりと暖かく、そして締め付けるような切なさを感じさせた。
そっと、光の粒に指先を触れてみる。
触れた途端、ぽうっと輝き、収束するそれ。
同時に、流れ込んでくる微かな意識。

『あ…っ』

驚いて手を引いた。
ドキンと、心臓が小さく跳ねる。
跳ねたそこから広がる波紋は、いつか知った胸の痛みに良く似ていた。

『……ックス……?』

ぽつりと、言葉が零れる。

久しぶりに喉を震わす、彼の名前。

『…っ』

意識した途端、胸の痛みが強くなった。
きゅっと、触れた先を掌で包み込み、すぐに首を振って否定する。

『ううん。彼なわけ、ない』

彼がこんなところにいるはずがない。

だって、彼はわたしに約束してくれたもの。


逢いに来てくれるって………。



───ザックス。

神羅のソルジャー、クラス1st。

六年前、伍番街スラムの教会。
空から降ってきた………わたしの初恋。
目覚めていきなり"天使?"って聞かれて、びっくりしたっけ。



───わたし、エアリス。君、降ってきたの。びっくり。

───あんたが助けてくれたんだ。

───別に~。もしも~しって言ってただけ。

───ハハハハハッ……。本当にありがとう、エアリス。俺、ザックス。なんかお礼しなくちゃな。

───いいよ、いいよ。

───そうはいかない。な、デート一回ってのは?



出逢ってから彼が突然私の前から姿を消してしまうまでの一年と少しの間、わたしは……彼に恋してた。

───ううん。

本当は……今だって、ずっと彼に恋してる。

彼と最後に話したのは、五年前。
ニブルヘイムという遠く離れた村に出張があると言って出掛けた先へ電話した。

それから………彼とは一度も逢えていない。



───もしも~し。

───エアリス!?

───やっと通じた!

───ああ。なぁ悪いけど……今取り込み中なんだ。後で電話する。

───ううん、しなくていいから……。

───わかった。逢いに行く。

───待ってる。

───うん、約束だ。





ねえ、ザックス。

約束って、守るためにあるんだよ。

いつ、帰ってくるの?

作ってくれたワゴン、壊れちゃった。

早く直して、また、一緒にお花売ろう?

ねえ、今、どこにいるの?

逢いたい……あなたに逢いたいよ。





『ザックス……』

眼を瞑り、その奥に思い浮かべれば、すぐに手が届きそうなのに。

そう思う度、現実に引き戻された時の落胆が大きいのは、嫌という程知っているから。


『うん……よし!お仕事、お仕事!』

パッと目を開け、笑顔を作る。

気持ちの切り替えが早く出来るのは、こういう時とても助かる特技だと思う。


懐かしい光の溢れ出すそこから勢いよく立ち上がり、向きを変えて歩き出す。
もう、後ろは振り返らない。
そうして、いつもの大通りへと抜けた。

途端、忙しなく迫りくる人の波が押し寄せる。

『あっ』

強い衝撃に身体がよろけ、そのまま尻もちを着いてしまった。

『ん、もう!危ないなあ』

謝りもせず立ち去っていった背中に小さく文句を言いつつ、はっとして手元に眼をやる。
幸い、売り物の花は無事だった。

でも……。

籠の中身を落とさないよう、ゆっくりと立ち上がり、服に付いた埃を払う。
そうして、今度は周りをぐるりと見渡してみた。

眼の前を通り過ぎる人の波。
今日はいつにも増して、その流れが速すぎる。
皆、何かを叫びながら忙しなく走り回っていて、立っているわたしになんて眼もくれていない。

ふうっと、溜め息を吐く。

(これじゃ、お花、売れないなあ)

何があったか知らないけれど……今日は諦めて、もう帰ろうかな。

そう思って歩き出そうとした時、奥の階段から一際目を引く鮮やかな色が現れた。



Next...Your Heart 14


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