七つ星 -NANATSUBOSHI-

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SWEET DISTANCE 3 - Cloud Birthday 2016 -

こんにちは、ももこです。

遅くなりましたが、クラ誕SS3話UPします。
今回もオールキャラでお送りします……おい、いつクラティになるんだよ(^_^;)
いや、少しだけクラティ要素は入ってます……入れたつもりです(^_^;)
今回はいつにも増して軽めのテイストで書いたつもりですが、上手く表現出来てなかったらすみません(>_<)
本当はこの回想シーンはこの回で終わらせようと思ったんですが、書いてみたら予想以上に長くなってしまって泣く泣く途中で切りました。
残りの回想後半部分については半分位書き終わっているので、調子が良いうちに完成させて次話としてUPしたいと思います(^^)
余談ですが、ティファって動物好きだと思います……確か、BCだったかで白い猫飼ってなかったっけ??
私の勝手なイメージですが、普段ナナキと一緒にお散歩とかお昼寝とかしてそう(^^)
ちなみに、クラウドは犬派かな~と思います。
性格が犬っぽい人は猫好き、性格が猫っぽい人は犬好きが多いと、どこかで読んだ気がします……本当かな??
ちなみに……私は鳥好きです(*^^)v

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)

【Warning!】クラ誕SS第3話です。クラウド視点。今回はシリアス半分、おふざけ半分、クラティ成分は極少量という感じです。でもクラティはあるつもり……主にクラウド→ティファですが。ナナキの扱いが酷いです……ナナキファンの方すみません(>_<)続きます。





「……っ」

その扉を開いた瞬間、強い光が真正面から刺し込んできた。

眩しさに眼を眇める。

次いで、全身に強い空気の流れがぶつかってきて、足元からぶわりと捲り上げられた。

「うわっ…っ」

一瞬、視界と息が詰まり、急いで掌を顔に当てて呼吸を確保する。

開いた扉の内側へと、勢いを乗せて流れていく大量の空気。

轟々と唸りを上げるそれに押し戻されそうになりながら、閉まる扉を背にようやく一歩を踏み出した。





SWEET DISTANCE 3





「……うっ……」

飛空艇の甲板の上。
転落防止の柵の手摺に掴まり、不規則に揺れる床にふらつく足元を支えながら一歩ずつ艇の先端に向かって歩く。
込み上げる吐き気を歯を食いしばって何とか堪え、ようやく辿り着いた一番見晴らしの良いそこに凭れるように寄りかかれば、幾分胸の不快感が和らぐ感じがしてゆっくりと息を吸い込んだ。

「っ……、はあ……」

眼を瞑り、吸い込んだ空気を静かに吐き出しながら、ずるずると柵を背に滑らせた。
そのまま床に座り込む。

(くそ……こんなのまで思い出さなくても良かったのにな……)

ぐつぐつと煮え立つような悪寒を胃の底から感じる。
先程我慢出来ずに戻した胃液が喉の粘膜を焼いてひりひりと痛んだ。
持ってきたボトルの水を口の中に流し込む。
身体の中心をすうっと通る清涼感が心地いい。

「……はあ……」

幾分楽になったそれに、やっと重たい頭を上向かせた。
同様に、力の入らない瞼を無理矢理開けば、涙の滲む視界が鮮やかな色に染まった。

蒼く澄んだ空と地平線に湧き立つ白い雲、雄大な山々。
草原の真上だろうか、下を見れば野生動物の群れが大地を駆けていく姿が見える。
その向こうには小さな集落があり、農村だろうか、ぽつぽつと田畑が広がっている。
それらを脅かすメテオは、飛空艇の影に隠れていて今は視界に映らない。
一見すれば、今までと変わらない美しく長閑(のどか)な田舎の風景。
沈んだ気持ちを洗うような、清涼な景色がそこにあった。

………けれど、今は呑気に眺められる気分じゃない。

「……くそっ」

再び込み上げる悪寒に舌打ちをする。


「……冗談じゃない」



───こんな時に"船酔い"だなんて。



「………」

ふと、つい一時間程前の光景が頭に浮かんだ。











改めて団結を誓い、活気溢れる作戦室。
向けられる幾つもの明るい表情に、照れ臭さを感じつつ自分も顔の筋肉を緩めた。
口角を上げ、けれどやはり申し訳なさは隠せないまま、恨み言一つ言わず俺を受け入れてくれた仲間達と言葉を交わしていた。

「ありがとう……皆。俺は……」
「なーに辛気臭い顔してやがる!仲間だろ~が!男が細かい事気にすんな!」

トレードマークの煙草を咥え、シドが勢い良く背中を叩いた。

「っ…ああ、そうだな……」
「おうよっ!」

思いのほか大きい衝撃に、軽く咳払いしつつ苦笑で返す。

「そうだよ!クラウド!」
「…ぐっ!?」

そうしているうちに、今度は後ろからナナキがどんと飛びついてきた。
前足が背中のど真ん中を直撃し、前方につんのめる。

「うおっ!?危ねえ!」
「…くっ!」

危うく正面にいるシドの煙草に鼻先を押し付けらせそうになりながら、たたらを踏んで何とか堪えた。
流石に注意しようと後ろを振り返る。

「こら、ナナキ、危ない……っ、うわっ!」

瞬間、生暖かく濡れた感触が皮膚に滑った。
驚きに、つい大きな声が上がる。

「オイラだって最初は早く大人になりたくて背伸びしてたんだし、お互いさまだよ~」

そんな俺を知ってか知らずか、ナナキが眼を輝かせ長い舌で顔中をべろべろと、まるで飼い主を見つけた犬のように舐め回してきた。
不意打ちをまともに食らい、大型の獣特有の大量の唾液が顔中に塗される。

「っぷ、ちょっ、止めろって!」
「へへ~」

慌てて抗議の声を上げるも、はっ、はっ、と尻尾を振りながら楽しそうに抱き着いてくるナナキ。
何とか押しのけようと顔を逸らした瞬間、塗りたくられた唾液が発する生臭さが鼻腔を強烈に刺激した。

(っ、何だ!?この臭い…)

普段は人間と同じように独自の方法で歯を磨くナナキがここまで強烈な臭いを発するのは珍しい。

(こいつ……何か食ったのか?)

余りの臭いに先程一緒にいたティファを見る。
覆い被さる巨体の向こうでヴィンセントやバレットと談笑している彼女の手には、ナナキの大好物であるビーフジャーキー(……という名のモンスターの燻製)が入った袋が握られていた。

(……あれか)

動物好きのティファはナナキに甘い。
もしかしたら、ナナキをペットのように可愛がっているのかもしれない。
ナナキも、世話をしてくれるティファに良く懐いている……まるで本当の飼い主と犬のように。

(いや、だからと言って今あげる必要はないだろ)

ティファに悪気が無いのは分かっているけれど、思わず心の中で突っ込んでしまう。

「ナナキ、分かった。分かったからもう離れてくれ」

相変わらず舌を伸ばしてくる巨体を片腕で押し戻しつつ、唾液を拭き取った。
その時、ユフィが横から茶々を入れてきた。

「そうそう!アタシもアンタの豹変ぶりにはびっくらこいたわ~。コスモキャニオン入った途端『じっちゃ~ん、ただいま~♪』だもん。二重人格かと思ったよ」

俺達の遣り取りを聞いていたのか、可笑しそうに白い歯を見せながらニシシと笑う。

「も、もうそれはやめてよ、ユフィ」
「『じっちゃ~ん、オイラ寂しかったよ~』だって~。さっきまで『私に気安く話しかけるな』とか言っちゃってたくせにさ。マジウケるよね~」
「うう~…」

ナナキの制止を他所に、次々と物真似をして煽るユフィ。

「ユフィの意地悪!あったまに来た!こうしてやる~!」
「うわっ!何だよ、ちょっ…アンタ口臭っ!!こっち来んな!」

そう言うやいなや、俺の身体から巨体を退かせ、勢い良くユフィに向かって覆い被さった。
強烈な臭いを放つ舌先を少女の顔目掛けてしきりに伸ばす。
けれど、流石はニンジャと言うべきか。

「へへ~ん、残念。こっちだよー」
「まて~ユフィ~」

その類稀な素早さに、ナナキの健脚もすんなりと少女を捕まえられない。
寸での所でするりと躱していく。
それでもナナキだって諦めないというように、追いかけっこはヒートアップしていく。
………そうして、今度はナナキとユフィの攻防が始まった。


「助かった……」

図らずもようやく解放され、ほっと安堵の溜め息を吐く。
それでも肌に張り付いた生臭さからは解放されず、顔中がべたべたとして気持ち悪い。
このままでは、と、何か拭うものはないかと辺りを見回す。

「クラウド?どうしたの?」

それに気が付いたティファが近寄ってきた。

「あ、ああ…なあティファ、何か拭くもの無いか?」

手に持つビーフジャーキーの袋は敢えて見ない振りをして尋ねる。

「拭くもの?ハンカチでもいい?」

そう言って、スカートのポケットから明らかに洗い立ての真っ白なハンカチを取り出した。

「……いや、出来れば汚れても良いものがいいんだ」

………流石にティファお気に入りのそれを使う訳にはいかない。
軽く首を振って断ると、そう?とハンカチを仕舞い辺りを見渡した。

「私もこの船に乗るの最近だから、どこに何があるか勝手が分からないのよね……そうだ、ちょっと待ってて」

そう言うと、部屋の隅に置いてある自分の荷物の中から一枚のタオルを取り出して持って来てくれた。

「はい。これなら汚れても大丈夫よ」
「悪い」
「ううん」

タオルを受け取り、汚れた顔に当てる。
その瞬間、ふわりと華やかな花の匂いがした。
思わず顔をタオルから離し、まじまじと見てしまう。

「どうしたの?」
「…香水?甘い匂いがする」
「ううん。柔軟剤よ」
「柔軟剤?」
「そう。お洗濯の時に入れると生地が柔らかくなって香りも付くの。今街でその香りが流行ってるんだって……良い香りでしょ?」

にこりと、まるでその香りのような笑顔を見せるティファにどきりと心臓が鳴る。

「あ、ああ」

ふわふわと落ち着かない胸の騒ぎを覚えつつ、それを誤魔化すようにごしごしと汚れを擦った。


「おい、クラウド!」

花の香りに包まれながら、汚れをあらかた落としたその時、向こうで話をしていたバレットに呼ばれた。

「何だ?」

タオルを首に掛けながら顔を上げる。

「この後の事なんだけどよ。神羅のスパイさんがお前に話があるそうだぜ」
「ケットが?」

バレットがクイと目線で差す方を見れば、ケット・シーが何とも複雑な表情でバレットを見ていた。
ティファと共に二人の元へ集まる。
ケット・シーを正面に、俺、ティファ、バレットの三人で向き合った。

「なんやこの感じ、神羅対アバランチって感じで落ち着かんのやけど……」
「そうか?オレは別に気にならないぜ」
「そうよ、気にし過ぎよ」
「………」

にこやかな笑顔を見せるティファとは対照的に、神羅に対しては未だ良い感情を見せないバレットが凄んだ表情をケットに向ける。
明らかにたじろいでいる猫のぬいぐるみに向かい、俺も口を開いた。

「で?何だ、ケット?話って」
「あ、あのな、クラウドさん。クラウドさんはまだ知らんかもやけど……ボクらな、ヒュージマテリア作戦の途中ですのや」
「ヒュージマテリア……」


ヒュージマテリア作戦。
俺が自我を失っている間に行われていた神羅のメテオ破壊作戦。
各地の魔晄炉に安置されている精神エネルギーの塊である巨大なマテリアを集め、兵器としてメテオに対抗させるつもりらしい。
どんな方法かは知らないが、それでメテオを破壊できるかどうかは五分五分……やってみなければ判らない。
だが、もしも失敗した時は、マテリアに宿る膨大な知識は永遠に失われ、メテオも防ぐ事は絶望的だと───。


「……その事はもう聞いてる。貴重なエネルギーを一か八かの賭けに利用するなんて馬鹿げてる。失敗したらそれこそ終わりだ」
「クラウドさん……」
「わ、私がクラウドに話したの。神羅からマテリアを守る為に皆で頑張ってるって……。皆で集まる前に知っておいた方が良いと思って……」

勝手な事をしてごめんなさい、と、俺の隣でテイファが緊張した面持ちで呟いた。

ミディールでライフストリームの中から助け出され目覚めた後、これまでのいきさつをティファから聞かされていた。
俺の体調を気遣ってか、その物言いはとても柔らかなものだったけれど……それでも大事な所は隠さず教えてくれた。


黒マテリアがセフィロスの手に渡ってしまった事。
メテオがこの星を破壊してしまう事。
残された時間はほんの僅かである事。
メテオを破壊する為に神羅が動いている事。
ヒュージマテリアを守らなければならない事。


「ティファがちゃんと全部教えてくれたよ。だから大体は解っているつもりだ」

隣で所在無げに目線を彷徨わせるティファにそっと目配せをし、心配ないと合図を送る。
それを受けて、ほっとしたように頬を緩める彼女。
やはり緊張していたのか、息を吐く瞬間、細い肩が微かに震えたのが分かった。
ピクリと、指先が跳ねるように動く。
けれど……結局、それ以上動かす事は出来なかった。

(……、……)

心の中に、何とも言えないもどかしさが溢れる。


「ほんなら話は早いですわ。助かります、ティファさん」
「う、ううん」

そんな俺達の心中を知ってか知らずか、ケット・シーの明るい声が響いた。

「ほんじゃ、早速ですけど"ジュノン"に"海底魔晄炉"ってありますのや」
「海底魔晄炉?」
「はい。文字通り海の底にある魔晄炉です。 ボクの知ってる限り、あとはあそこが残ってるだけですねん」

コレル、コンドルフォートの魔晄炉にあったマテリアは既に俺達の元にある。
ニブルヘイムのマテリアだけは神羅の手に渡ってしまったけれど、まだ取り返すチャンスはあるはずだ。
今はケット・シーの言うとおり、ジュノンのマテリアを手に入れるのが最優先だ。

「よし、分かった。ジュノンに行こう。ケット、案内を頼めるか?」
「まかしといてや!神羅の名に懸けて皆さんを海底までご案内致します~」
「おう、頼むぜ。神羅のスパイさんよ!」
「なんや棘のある言い方やな~。まあええわ。……ってなわけで、行きましょか!」
「よろしくね、ケット」


ケット・シーの提案で、奇しくも次の行先はすんなり決まった。
飛空艇を手に入れた今、世界中どこへだって飛んで行ける。


───ここからが、本当の正念場だ。


(………)


空に浮かぶメテオを見つめる。


(俺は自分をに完全に取り戻した……もう、お前の操り人形なんかじゃない)

(俺は俺の意志でお前の野望を阻止してみせる)


(……待ってろよ、セフィロス……!)


かつての憧れ、そして今は最大の敵である銀色を握りつぶすように、ぎり、と拳を握り締めた。




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