2016-09-27(Tue)

SWEET DISTANCE 4 - Cloud Birthday 2016 -

こんにちは、ももこです。

クラ誕SS4話UPします。
………回想シーン終わりませんでした………書けば書くほど長くなるよ……どうしよう(>_<)
今回は回想中編という事で、次回で回想終わらせてお話を進めたいと思います。
そして早くこのもどかしい距離を縮めてあげたい(〃ノωノ)
でもこの調子だとバレンタインより長くなりそうな気がする……今年中に終われるかなあ(^_^;)
今回はクラウドが自覚し始めます……でもまだ覚束ない感じかな??
お互い意識し合ってる感じが上手く出せてたら良いな(^^)
そして、今回はクラティの他にシドが出張ってます。
シド(特にⅦ)好きなんです~何をやっても許されそうな無茶っぷりが良い(*^^)v
仲間内でも一番頼りになるような気がする……AC以降はシエラさんと共にクラティの良き相談役になってそう。
特に夫婦間での問題とか、気兼ねなく相談出来るのこの二人くらいな気がする(^_^;)
クラティに子供が出来た時とか、マタニティしてる間のティファの不安とか、子育て論とか、クラウド夜の悩み相談とか、恥かしくて口に出来ないような事も相談出来ちゃう……そんな妄想滾ります(〃ノωノ)
いつかクラティのマタニティ日記書いてみたいなあ(*^_^*)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)

【Warning!】クラ誕SS4話です。クラウド視点。今回は前半シド&クラウド、後半クラティといった構成です。前回に引き続き時間軸は回想です。気持ちを自覚し始める二人とそれを見守る悪い大人。続きます。






SWEET DISTANCE 4





「……よし」

ぐっと腹に力を込めて頷き、禍々しく地上を見下ろすメテオから目線を離す。

「クラウド……行くのね?」
「ああ」

隣で心配そうに見つめるティファに柔らかく返し、前を向いた。
ぐるりと部屋を見渡す。

「………」

仲間達はまだ全員この作戦室内に残り、それぞれに談笑し合ったり休んだりしている。
さっきまで駆けまわっていた年少組も飽きたのか疲れたのか、ユフィは椅子に座り、ナナキは床に寝そべりながらそれぞれのスタイルで寛いでいた。

その中で、飛空艇のクルーと話しているシドを見つけた。

「ちょっとシドと話してくる」
「うん。じゃあ私、何か飲み物淹れてこようか?」
「ああ、頼むよ。俺は…」
「濃いめのブラックでしょ?シドは砂糖無しのミルク入りね」

そう言って小さく微笑むティファの手が、はい貸して、と首に掛けていたタオルをするりと受け取る。

「仕事増やして悪いな」
「良いのよ。気にしないで」

パチンと片眼を弾くと、そのまま備え付けの給湯室へと入っていった。
その背中に流石だな、と苦笑しつつ、向こうにいるシドの元へ足を踏み出した。


「シド、ちょっといいか」
「あ~ん?なんでえ」

傍にいたクルーに目線で詫びながら声を掛ける。

「ここからジュノンまで、あとどのくらいで着く?」
「ジュノン?」
「ああ。ケットからの情報なんだが、最後のヒュージマテリアがジュノンにあるそうだ」
「ヒュージマテリアが?」
「ああ」

驚くシドに頷くと、おもむろに腕を組んで難しい顔になった。

「でもよ、ジュノンに魔晄炉なんて聞いた事ねえぞ?」
「海底に建設された魔晄炉があるらしい。今からそこに行きたいんだが……」
「海底ねえ……ケッ、そいつぁオレ様の専門外だな。よし、ちょっと待ってろい!」

そう言って、傍にいたクルーに時間と距離を計算するよう指示を出した。

今現在、俺達はミディールの麓に停泊している。
ジュノンまで大陸を超えるが、直線距離にすればそう遠くないはずだ。

「モタモタしてんじゃねえぞ!敵(あちら)さんは待っちゃくれねえからな!」
「はいっ!」

指示を受けたクルーが足早に部屋を後にする。
その後ろ姿を見送りながら、ふと隣にいるシドを見た。

乱暴な物言いだけれどしっかりとしたリーダーシップを執るシド。
この飛空艇に集まったクルーは皆、艇長であるシドを慕って神羅を抜けたのだという。

神羅を抜ける───それはすなわち、社会から抹殺される危険と隣り合わせになるという事だ。
神羅は裏切り者を許さない。
どんな事情であれ、神羅に刃向かう連中にはそれなりの制裁が下される───軍に従事していた頃幾度となく聞かされていた。
実際、その通りになっているのを目の当たりにした事もある。

それでも………ここにいるクルー達は、俺達を……シドを信じて神羅と戦おうとしている。

「………」
「あん?何だよ。オレ様の顔になんか付いてるか?」
「……いや、何でもない」

小さく息を零し、首を振る。

「この艇の指揮、全部シドがやってるんだろ?……大変じゃないのか?」
「ケッ!大変なのはたりめ~よ!それでもやんなきゃならねえ。オレ様以外の誰がこのハイウィンドを仕切れるってんだ?」
「……そうだな」

ざっと見ただけでも十数人はいるであろうこの艇のクルー達。
まだ艇内を全て案内された訳ではないし……見た目よりずっと大きな艇だ、実際はもっと多くのクルーが乗り込んでいるかもしれない。
これだけの数の人望を集めるこの男の懐の深さには……正直、驚かされる。
俺とティファが抜けている間も、代わりに皆を引っ張ってくれていたと聞いた。

(………)

………シドのような人間こそが、本来なら纏め役に相応しいのかもしれない。

「それでもアレだ、お前らの手綱を引っ張るよか全然楽だけどな」
「え?」
「ここのやつらはみ~んな大人しいからな。言えばハイハイってすぐにやるしよ。どっかの誰かさん達みたいに一癖もふた癖もある連中とは比べモンならないくらい楽だぜ」
「………」
「だからよ。お前やティファがいなくなってリーダー任された時は正直キツかったぜ。良く今までバラバラになんなかったもんだってな」
「……、それは……」

シドの言葉にどう返して良いか言い淀んでいると、眼の前で煙草を盛大にふかした。
大きな煙が渦を巻きながら昇っていく。
それから一拍おいて、その手が俺の肩にどんと置かれた。

「だから、まあ、そういう事なんだよな」
「シド?」

意図が解らずその表情を見据えれば、鋭い視線がニヤリと大きな弧を描き煌いた。

「これからも任せたぜ。リーダーさんよ!」
「……!」

肩に置かれた掌がその上で勢い良くポンと跳ねた。

その瞬間、やられたなと心の中で苦笑する。

まるで心の中を覗かれていたような、それを言い当てられたような、何とも言えない気恥ずかしさが胸に広がる。
それを隠すように肩を竦め、大げさに溜め息を吐いた。

「ああ。迷惑をかけた分、しっかりと役割はこなすさ」
「何だよ、そのメーワクってのはよ。誰もンなコト思ってねえよ。やっぱオメー、みみっちいヤツだなあオイ!」
「そりゃ、あんたに比べればな」
「ケッ」

言い合いながら、互いに口角を上げて認め合った。


「なあに?二人とも楽しそうね」
「ティファ」
「よう、姉ちゃん」

すぐ後ろから声がして振り向けば、ティファが三人分のカップをトレイに乗せて立っていた。

「お、気が利くじゃねえか。悪りいな」
「ううん。はい、シドはこれ。熱いから気を付けてね」

目敏く自分用のカップを見つけたシドが手を出すと、ティファが取っ手をくるりと廻して差し出した。
ふんわりと湯気が立ち、香ばしいコーヒーの香りが鼻腔を擽る。
ずずっと音を立てて啜るシドにティファが微笑みながら、もう一つのカップを俺に向けた。

「はい。クラウドはこれ」
「ああ」

取っ手を掴みトレイから受け取る。

「ティファは?紅茶?」
「うん。ミルクティー。ちょうど茶葉があったから淹れさせてもらったの」

カップの取っ手を指先に乗せ、空になったトレイを外すティファと一緒に一口啜る。
身体の中を流れていく温かさにほっと溜息が出た。

「あったかいな」
「あったかいね」

二人同時に出た言葉。

「………」
「………」

ふと顔を見合わせた。

「………」
「………あっ」

途端、真っ赤な顔で俯いてしまったティファに、俺も慌てて目線を外した。

「ごめん」
「う、ううん。私こそ、ごめんなさい…」
「……いや、……」
「……、……」

別に何か悪いことをした訳じゃない。
けれど、勝手に出てくる言葉に余計に焦ってしまって落ち着かない。

「……?」

その時、前方から視線を感じて顔を上げた。

「何笑ってるんだ、あんた」
「ふうん……なるほどねえ」
「……?」

眼の前で厭らしくニヤニヤと笑うシドに眉間に皺を寄せる。

「あ……私」

不意に、隣にいたティファがトレイを抱えさっと背を向けた。

「他の皆に飲み物配って来るね」
「ティファ?」
「おう、じゃあな」

あっという間にティファの背中が遠ざかる。

「………」

再び給湯室に消えた彼女の姿に、相変わらず笑顔で見送っていたシドを睨んだ。

「おい、シド…」
「おおーっといけねえ!オレ様ションベン行きたくなっちまったぜい!ちょっくら行ってくっからよ、お前はここで待ってろよ!」
「え?あ、おい!」

ワザとらしくそう言うなり、手にしたコーヒーを一気に飲み干しそそくさと眼の前からいなくなってしまった。

「………何なんだよ、二人とも」

一人その場に残されて、思わず悪態を吐いてしまう。


「……」

仕方なくそのままシドを待つことにした。
傍の壁に背中を凭れながら熱いコーヒーを一口啜る。
ほろ苦いそれを喉で転がしていると、給湯室の中からポットと人数分のカップを乗せたトレイを手にティファが出てきた。
テーブルの脇に立ち、手際よくそれぞれのカップに湯を注いでいく。
それを仲間達に配りつつ、ユフィが散らかした菓子の片付けもこなしていく。

(………)

一人一人に声を掛け、時に眉を寄せながらも、その都度笑顔を絶やさず明るく接する彼女の姿に先程のティファとのやり取りを反芻する。


───ごめん。

───う、ううん。私こそ、ごめんなさい…。

───……いや、……。


普段何気ない会話はこなすものの………ふとした瞬間、不自然に途切れる会話。

ミディールで目覚めた後、ティファといると度々今までとは違う感覚に捕らわれる。



一言で言えば───心がざわつく。



でもそれは、決して居心地の悪いものではなくて………ふわりと足が宙に浮くような感覚。


原因は判ってる。


(………アレ、だよな)


ミディールで起きたライフストリームの噴出。


ティファと二人で落ちたその先、満点の星々が煌めく想い出の中で目の当たりにした俺の過去と真実。


虚栄心に閉じ込められていた、秘めた想い。


それに真正面から向き合う事が出来た時、初めて本当の自分を取り戻す事が出来たんだ。



『ああ、クラウド……! 本当にクラウドなんだね!』



(……ティファ……)



視線の向こう、重なった紅茶色の瞳がふるりと瞬く。



(………、俺は───………)




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