七つ星 -NANATSUBOSHI-

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SWEET DISTANCE 5 - Cloud Birthday 2016 -

こんにちは、ももこです。

遅くなりましたがクラ誕SS5話UPします。
………が!なんだか中途半端で切れたので後程書き足す予定です……またしてもすみません(^_^;)
この回で回想終わらせたいんじゃ~~~(>_<)
今回もオールキャラでシドが出張ってます。
だってハイウィンドの中はシドが仕切って当然かなと(^^)
この回の後半からいよいよクラティにスポット当てていく予定です。
後半UPまでもう少々お待ち下さいませ!
この連休中にUP出来るように頑張ります(*^_^*)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
pixivでも評価やブクマありがとうございます(>_<)
新参者の拙いクラティですが受け入れて下さって本当に嬉しいです(*^_^*)

【Warning!】クラ誕SS5話です。クラウド視点。前回に引き続きオールキャラです。シド多めで後半クラティ予定また後程書き足します。続きます。10/11後半UP。二人の過去についてオリジナル設定有ります。







SWEET DISTANCE 5





「……ィ!オイッ!」

「!!」


突然、耳元で大きな怒鳴り声がしてはっと意識が明けた。
それと同時に脚に衝撃が走り、思わず手に持っていたカップの中身を零しそうになる。

「…っ!」

何とか零さないよう踏み留まりながら声のした方を見れば、いつの間に戻ったのか、顰め面をしたシドが腕を組んで立っていた。

「何だよ、シドか…」
「ケッ!"シドか…"、じゃねえよ!何ボーっとしてんだあ?」

口に咥えた煙草を盛大にふかしながら隣に並び文句を言う。
ドン、と背中を壁に凭れさせ新たな煙草に火を点けるそれを横目に、鈍い痛みの残る脚を軽く振った。

「……、……」

……先程の衝撃はシドの足蹴りだったらしい。

人を待たせておいてそれは無いだろうと思うが……言えば面倒だ、敢えて口にしないでおこう。

「……別に。あんたを待っていただけだ」
「へえ、そうかよ」

ちら、とシドの眼が奥のテーブルへと走る。

「………」

それを見ないふりで、湯気が薄くなったコーヒーを一口啜った。



「艇長!出ました!」
「おう!やっと来やがったな」

数分後、先程のクルーが作戦室へ戻って来た。
その場で手招きするシドの傍へ行くと、手に持つ数枚の資料を見せながら報告を始めた。

「で、どうだった?」
「……ですから、……です」
「ん~、……」

「………」

彼らの遣り取りを傍らで聞きながら残りのコーヒーを口へ運ぶ。

「……以上です」
「おし!ご苦労さんよ。持ち場に戻って良いぜ」
「はっ。では失礼します」

ちょうど飲み終えた時、報告を終えたクルーの背中を見送ったシドが向き直った。
資料を俺の眼の前に差し出し片眉を上げる。

「出たぜ」
「ああ。それで?」
「ん~……そうだな。すっ飛ばしてあと三時間って所か?」
「三時間か……」

シドの手から資料を受け取り、ざっと眼を通す。
航路図と細かな数値が打ち出されたそれに一通り目線を走らせた後、もう一度仲間の様子を見渡した。

「どうした?」
「いや……」

新たな煙草をふかしながら首を傾げるシドへ曖昧に答えながら、しばし思案する。


………今すぐに出発しても大丈夫だろうか。


俺が離れていた間、メテオやヒュージマテリア以外にも色々あった事も聞いている。

神羅の拘束と脱出、ウェポンという新たな脅威の襲来……魔晄中毒になった俺の看護とチームの分断。
肉体的にも精神的にも、その疲労は容易に想像出来る。
………本当ならもう少し余裕を持たせた方が良いのかもしれない。
しかし、万一神羅の手に完全に渡ってしまったら、それこそ取り返しがつかなくなるかもしれないという不安もある。

(………)

皆には申し訳ないが………やはり、今は一刻も早くヒュージマテリアを確保するべきだ。


「分かった。ありがとう、シド」
「おう」

顔を上げ、資料を礼と共にシドへ返す。

「で、行くのか?」
「ああ」

頷きながら、向こうで寛いでいる仲間の方へと踏み出した。


「皆、ちょっと話があるんだ。こっちに来てくれ」

空のカップをテーブルに預けながら号令を掛ける。
皆の視線が一斉にこちらへ向いた。

「なになに?どうしたの?」

真っ先に傍へ飛んで来たナナキが首を傾げる。
きょとんとして俺を見つめるナナキに軽く表情を和らげながら、皆がテーブルへ落ち着くのを待った。
給湯室で一人片づけをしていたティファも、皆の様子に気付いてそこから出てきた。
彼女が最後にテーブルに着いたのを確認して口を開いた。

「これからの事を考えていたんだが……ジュノンに向かおうと思う」
「ジュノン…って、またぁ!?なんで?」

後ろ向きにした椅子に跨るように座るユフィが声を上げる。
ついこの前も神羅と一悶着あった場所だからか、その声は少々不服そうだ。
それに小さく苦笑しながら肩を竦めた。

「仕方ないだろ。ヒュージマテリアがそこにあるんだから」
「ヒュージマテリア!?うそっ!どこどこ!?」

マテリアと聞いてユフィの瞳が明るく輝く。

「あれ?でもジュノンに魔晄炉なんてないよ?」

椅子を揺らしてはしゃぐユフィの横でナナキが不思議そうに呟いた。

「………海底魔晄炉か」

ナナキに言葉に、窓際の壁に寄りかかって聞いていたヴィンセントが静かに答えた。

「流石は元タークスですな~。アタリですわ」
「ああ。ケットからの情報だ。間違いない」

ケット・シーと共に頷いて確認すると、ユフィが椅子から身体を浮かせガッツポーズを決めた。

「で?で?いつ行くの?早くでっかーいマテリアゲットしようよ!」
「ああ。それなんだが……」

一旦言葉を切り、皆の様子を見渡した。

一見すれば元気そうに見えるけれど……。

「……出来れば、今すぐにでも出発したいと思ってる。神羅が行動を起こす前に手に入れておきたいんだ。ただ……」
「あん?何だ?」
「皆、体調の方は大丈夫か?俺の所為で最近ロクに休めていないんじゃないかと思って……」

言いながら窺うようにして目線を動かすと、バレットがおもむろに溜め息を吐いた。
黒い瞳が呆れたように細まる。

「おいおい。今は非常事態なんだぜ。そんな弱音吐いてられっかよ」

ポリポリと顎を掻きながら肩を竦めて言うその傍で、今度はティファが口を開いた。

「そうよ、クラウド。今は自分達の事より神羅を…メテオを何とかしないといけないと思うわ」
「ティファ…」
「私達なら大丈夫。行きましょう、クラウド」

ぐっと握り拳を作り明るい笑顔を見せる彼女に眼を瞬かせていると、仲間が次々と表情を崩し始めた。

「そうだそうだ!姉ちゃんの言う通りだぜ。ボヤボヤしてっと出来るモンも出来ねえぞい!」
「後悔先に立たず……だな」
「もしどーしてもアカンかったらちゃんと言いますよって。もっと仲間を信頼してや~」
「てめえがそれを言うかよ……」
「オイラならヘッチャラだよ!なんたって戦士セトの息子だからね!」
「ど~~~でも良いけど早くマテリア探そ~~~!」

それぞれ言葉は違うけれど、言いたい事は皆同じらしい。

余計な心配をするな───そういう事だ。


「………」

眼を閉じ、ふっと小さく息を吐く。

「クラウド?」
「……ん」

すぐ傍で聴こえる柔らかな声が鼓膜を擽り、閉じた瞼を開ける。
きょとんとして見つめる紅茶色の瞳に頷いて前を向いた。

「────分かった。それじゃ、今から出発しよう!」
「おう!」
「さんせー!」

声を上げ大きく頷くと、再び室内が明るい活気に溢れた。
その様子に胸を撫で下ろす。
自然と張った顔の筋肉が解れていくのが判って、いつの間にか緊張に縛られていた自分に苦笑した。

「ジュノンに着くまであと三時間あるそうだ。それまで自由時間にしようと思う。部屋で休んでも良いし艇内を見学しても良い。ジュノンに着く頃になったら艇内放送で集合を掛ける。おそらく、ジュノンに着いたらすぐに戦闘になるだろうから、それまで各自身体を休めておいてくれ」

僅かだがまだ時間に余裕がある事を伝えると、仲間達も頷いてそれぞれに足を踏み出した。
その背中を見送ってシドの元へと歩み寄る。

「シド、早速で悪いんだがジュノンまで頼む」
「おうよ!そうと決まればこのまま一気にジュノンだぜ!行くぜ、おめえら!!」

ニヤリと大きな弧を描いた口で、シドが扉の前に待機していたクルー達に号令をかけた。

「い、行くですか?」
「たりめ~よ。オラッ!」
「はわわ~!」

艇長であるシドの叱咤を皮切りに、一斉に操舵室へと散らばっていくクルー達。

「凄いね、シド。張り切ってる」
「ああ」

その様子にティファが感嘆の声を上げた。
けれど、すぐに今度は小さく苦笑する。

「でも、飛空艇の人達ちょっと可哀想かな。もう少し優しく言ってあげればいいのにって思っちゃう」
「艇長だからな。……リーダーにはああいう強引さも必要なのかもな」

ティファの言葉に肩を竦めると、彼女の唇がふっと息を零した。
それから一瞬だけ笑みを交わして───けれどすぐに逸らされてしまった。

じっと床を見つめたままになった彼女に首を傾げた。

「ティファ?」
「……クラウドは今のままで良いよ?」
「え?」
「う、ううん。……なんでもない」

もごもごと言葉を口の中で転がしながら、今度こそ反対側へと逸らされるティファの表情。
けれど、照れたように仄かに色付く丸い頬はしっかりと眼に焼き付いた。
そんな彼女の仕草に、何だかこっちまで照れてしまう。


「あ……そろそろ出発するみたいね」

ティファの言葉に窓の外を見ると、地上固定用のワイヤーを格納するのだろうか、複数のクルーが作業している姿が眼に入った。

「………」

ちら、と横目で隣に佇むティファを見る。
窓の縁に手を掛けガラスの向こう側を眺める彼女は、雄大に広がる外の景色に眼を輝かせている。
そのまま後ろを見れば、他の仲間達の姿もシドとナナキ以外見当たらなかった。
もう一度、隣に視線を戻す。

(………)

………彼女は───ティファはどうするのだろうか。


ミディールで目覚めた後、これまでの報告は受けたけれど二人でゆっくりと話す時間は無かった。
いや、目覚める前だって、七番街でティファと再会してから二人きりになる事はあったけれど───お互いに色々あって、落ち着いて話す機会は敢えて持たなかったように思う。


(……チャンスなんじゃないのか?)


頭の中で心の声が木霊する。




目覚める前から……いや、旅を始める前からずっと思ってきた。


───ティファと、もっとちゃんと話がしたい。


どんな内容でも良い。


ティファの言葉を、聴きたい。





「……、……」

勝手に不規則になっていく鼓動を抑えるように、腹にぐっと力を込める。
彼女から窓の外へと目線を戻し、一拍の後、腹に溜めた息を吐き出し静かに口を開いた。

「……なあ、ティファ」
「ん~?」
「ティファはこの後どうする?」
「え?」

心の声に従うまま問うと、窓の外を眺めていた彼女の瞳がぱっと振り向いた。
同じように俺も彼女へと向き直る。

「ジュノンに着くまでの間さ」
「あ……えっと……」

軽く肩を竦めてみせると、大きく開いた瞳を瞬かせた後、顎に手を当てて悩みだした。

「どうしようかな……今はそんなに休まなきゃって感じでもないのよね」
「そうか」
「飛空艇の中を見学させてもらおうかな。しばらくはここにお世話になるんだし、何がどこにあるか知っておかなくちゃ」

ティファの言葉に頷くと、今度は彼女が同じ質問を口にした。

「クラウドはどうするの?」
「俺は………俺も、見学するつもりだよ。この飛空艇に乗るの初めてだからな。こんな機会滅多に無いだろうし興味もある」

言いながら、部屋の中にあるモニターや剥き出しの配管、見慣れない機械類をぐるりと見渡した。
そんな俺を見てティファが小さく笑う。

「ティファ?」
「ふふっ。男の人って割とこういう乗り物とか機械とか好きだよね」
「ティファは興味ない?」
「うーん。詳しくは無いけど、乗り物は好きよ」
「へえ……知らなかったな」

同じようにぐるりと室内を見渡す紅茶色の瞳が楽しそうに煌めくのを眺めながら、今まで知らなかった彼女の意外な一面に触れる。

そういえば、ティファは小さい頃よくトラックの荷台の上に乗って遊んでいたっけ。
父親の運転するトラックの助手席に乗って出かけていく姿も度々見かけたような気がする。
長い髪を開けた窓から靡かせながら眼の前を通り過ぎていく彼女の瞳は、今と同じようにキラキラと輝いていた。

(ティファ、車好きだったんだな……)

ふと、少し前の光景を思い出した。

深夜のミッドガルを疾走する一台の三輪トラック。
猛追する神羅のバイク部隊を右へ左へと躱しながら、ハイウェイを風の如く駆け抜けていく。

「……そういえば、神羅ビルを脱出する時にあの車運転してたのティファだろ?」
「そうよ」
「運転、上手いんだな。正直、あんなに走れるなんて驚いた」
「え…そ、そうかな?」
「ああ。相手は訓練された神羅兵だったのに良く振り切ったよ」
「そんな…クラウドが守ってくれたお蔭じゃない。それに、あの時は私しか運転出来なかったんだもの。実際は無我夢中だったのよ」
「そうだったのか?」
「うん。……意外だった?」
「少し」

バツが悪そうに頬を赤らめるティファに笑みが零れる。
彼女は謙遜するけれど、実際彼女のテクニックが無ければあのスピードで無事に走り切るのは難しいだろう。
俺だって全てをカバーし切れた訳じゃない……ティファに感謝しないといけないな。

(今度バギーを動かす時はティファに任せてみるか?)

そう一人ごちながら、長く艶やかな黒髪を風に靡かせ颯爽とハンドルを握るティファの姿を脳裏に描いた。


「それより、クラウドだって」
「ん?」
「あんな大きなバイク乗りこなしちゃうなんて驚いたわ」

頬を赤らめたまま、ちらりとティファの視線が上向いた。

「意外だった?」
「うん。少しね」

その視線に肩を竦めながら首を傾げると、ティファも先程と同じ遣り取りで笑みを浮かべた。

「神羅の訓練所でみっちり叩き込まれたからな。ある程度のライセンスは持ってる」

頷きながら当時を思い出す。
神羅に入社した軍属希望の新人社員は、どんな任務もこなせるように大概のドライビングライセンスを取らされる決まりになっていた。
一般市民は年齢制限があり、16歳から地元のスクールに通うのが通例だが、神羅は特別に優遇されていて、年齢制限を受ける事も無くどんなライセンスも必要に応じて取得出来た。
俺はその時14歳だったけれど、優遇措置のお蔭で軍用の訓練所に通う事が出来た。
……訓練の中身は暴力と暴言が飛び交う思い出したくもない酷い内容だったけれど。
それでも、素質があったのか、ただ運が良かったのか、他の仲間より随分早く終える事が出来たのはラッキーだった。

「ふうん。じゃあこの飛空艇も操縦出来るの?」

会話の流れに乗るように、ティファが期待するように室内を見渡した。

「これは……流石に無理だ。飛空艇や航空機は特別なライセンスが必要なんだ。俺が持ってるのは"地上を走るものに限る"、だ」
「地上を走るもの?」
「ああ。一般的な乗用車から大型トラック、二輪や軍用の装甲車まで大概は持ってる。勿論デイトナみたいなエンジンのでかいヤツも乗れる」
「へえ。凄いのね」

大きな瞳を瞬かせながらティファが素直に感嘆の声を上げる。
それに小さく苦笑して両手を上げた。

「もう期限切れだけどな」
「え?」
「……最後に更新したのは五年前だから」
「あ……」

途端、ティファの表情が曇り、眉がきゅっと寄った。
言葉の意味を理解した彼女が小さな声でごめんなさいと口にする。
それに首を横に振って笑顔を向けた。

「だから今はノーライセンス。捕まったら罰金が待ってる。……皆には内緒にしてくれよ?」
「…もう、クラウドったら」

片眉を上げ、わざと大袈裟に肩を竦める。
そんな俺に、彼女も穏やかな笑みを浮かべ、作った華奢な拳でコツンと腕をノックした。




窓際の僅かな空間をクスクスと小さな笑い声が包み込んでいく。


こんな他愛のない会話だけれど……どうしてこんなにも胸が温かくなるんだろう。


今まで、こんなに自然に穏やかに彼女と触れ合えた事があっただろうか。


もっと、ずっと───こうやって二人で話していたい。


今まで俺が知らなかった彼女を………もっと知ってみたい。




「そういうティファは?いつライセンス取ったんだ?」
「……えっ」

何気なく繋いだ言葉に、ティファが大きく反応した。
眼の前の笑みが急速に萎んでいく。
それから程なくして、ふい、と目線が遠ざかった。

「ティファ?」
「…………持ってないの」

小さな声でぽつりと呟く唇。
その声音に、前を向いた彼女へと首を傾げた。

「持ってない?」
「うん。本当は16歳になったら隣町のスクールに通う予定だったんだけど……」
「………」
「その前に、村があんな事になっちゃったし……」
「……ごめん」


───余計な事を聞いてしまった。

咄嗟に後悔する。


一般市民がライセンスを取得できるのは16歳からだ。

五年前に俺が村へ派遣された時、ティファはまだ15歳だった。

………ティファが持っていないのも当然だ。


「………」

黙ってしまった俺の横で、彼女の微かに笑う声が聴こえた。

「やだ、クラウド。気にしないで。お互い様じゃない」
「……ティファ」

優しく響くその声に促されて顔を上げれば、穏やかな表情で窓の外を見つめるティファがいた。

「スクールには通えなかったけど……でもね、スラムで暮らすようになってからジェシーが教えてくれたの」
「ジェシーが?」
「うん。バレットもそのうち必要になるだろうって言ってくれて。スラムにあるボロボロの小さいトラックで、警察の眼を盗んでこっそり練習したの」
「村にあったヤツみたいな?」
「うん。村にいた頃もパパの運転いつも見てたから操作の方法は大体解ってたしね。これでも覚えは良かったのよ。ジェシーにも太鼓判押されたんだから」
「……そうか」

ほら見て、と、明るい笑顔を浮かべ、ハンドルを握る振りをするティファ。
そんな彼女に小さな笑みで返しながら、同じように窓の外を見つめた。

「……なあ、ティファ」
「うん?」

窓から臨む景色に眼をやりながら彼女を呼ぶ。
隣から聴こえるティファの声はとても静かだ。

「今度、一緒に受けにいかないか?」
「えっ?」

驚いたように小さく声を跳ねさせ、ティファが振り向く。

「それって……ライセンス?」
「ああ」
「でも……」

じっと見つめる視線に彼女の戸惑いが滲んでいる。
それを横で感じながら、ふ、と息を零した。

「勿論、今すぐっていう話じゃない。セフィロスを何とかしてからだけどな」

彼女に向かい、口角を上げ肩を竦めてみせる。

「ティファが嫌じゃなければ、だけど」
「クラウド……」

一瞬の後、眼の前にある紅茶色の双眸が優しく弧を描いた。

「……うん」

小さく───本当に小さく、ティファが頷く。

それから嬉しそうに笑顔を見せた。


(───)

指先がピクリと跳ねる。

今日何度目かのそれ。

心に広がる一つの感情に従い、身体が勝手に動いてしまう。


「………」

気付かれないよう、跳ねた指先をそっと握り込んだ。



「オイ、お二人さん暇か?」
「!」

その時、シドが後ろから声を掛けてきた。



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