SWEET DISTANCE 10 - Cloud Birthday 2016 -2017-03-27 Mon 01:27
こんにちは、ももこです。
クラ誕SS10話、 前半 だって面白いんだもん、アガサ・クリスティー(^^) 今回からティファ視点へと移ります。 ティファが髪を伸ばしている理由、私的にこんな感じかな~と思ったのですが、公式設定どこかにあったかな?? 格闘家で激しい動きをするのにも関わらず髪を伸ばすのは、相当の理由があっての事なんじゃないかと(>_<) それにしても、イルカヘアは戦闘時に邪魔にならないんだろうかといつも思います(^_^;) きっと魔法できつく縛っているんだろうと自己解釈してますが(^_^;) ティファの髪については後々また展開したいと思っています(^^) ティファ視点、妄想かなり出来たのでこれからどんどんUPしていきたいと思います(*^_^*) 当サイトのクラティでも萌えて頂ける方はお楽しみに~(*^^)v それではまた来ますね! 拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*) 【Warning!】クラ誕SS10話です。 「クラウド!!」 「う……あ、あ……!う……。ティファ……」 「ああ、クラウド……! 本当にクラウドなんだね!」 「ああ……。ティファ……やっとまた……会えたな……」 キラキラと輝く記憶の欠片が星空のように降り注ぐその中で。 私は、あなたに。 心から"おかえり"と言えたの。 SWEET DISTANCE 10 「……!」 階段を昇り、甲板へと続く扉に手を掛けた瞬間、息も出来ない程の空気の流れが全身を包み込んだ。 同時に、視界が陰に遮られて思わず眼を閉じた。 その正体、長い髪の毛束がバサバサと音を立てて宙を泳ぐ様を瞼の外側に見る。 「もう…っ」 風に遊ばれて好き勝手に暴れまわるそれに悪態を吐きながら片手でくしゃりと掻き分ける。 こういう時長くなり過ぎたそれを後悔したりするけれど……これは私の秘密の願掛けだから仕方ない。 5年前、アバランチの一員となったあの時から切らないと決めていた。 ………故郷と大切な人達を根こそぎ奪った神羅へ、復讐を遂げるまで。 「…くっ」 室内に流れ込む大量の空気に戻されそうになる身体を低く屈めて甲板へと一歩踏み出す。 「あっ」 その瞬間、片手に抱え込んだブランケットが強風に煽られてバサリと空に舞った。 慌てて手を伸ばし掴み取る。 身体を丸めて胸の中に抱え込み、閉まった扉へ背を付けた。 風から守るように、そのままで数秒。 「はあ……、……」 徐々に鮮明になる柔らかな布の感触に、ようやく安堵の息を吐いた。 「……、……」 そろそろと顔を上げ、辺りを見回す。 空の青と大地の緑のコントラストが磨かれた木の板張りの上に乗っかり、更に太陽の光を受けて視界を美しく彩っている。 その中で、目的のその人はすぐに見つかった。 「……やっぱり」 甲板の一番奥、私の捜し人は強い風を全身に受けながら、蹲るようにして床に身体を横たわらせていた。 時折、震えるように小さく揺れる見慣れた背中。 (クラウド……) 遠目にも彼の体調が思わしくないのが判ってきゅっと胸のブランケットを握り締めた。 微かに揺れる床にバランスを取られないように、一歩ずつ慎重に足を進める。 眼の前に映る背中はまだ動かない。 普段は他人の気配に敏い彼が私に気付かない筈はない。 よほど体調が悪いのだろうか、すぐ傍まで近付いてみたものの動く気配は無かった。 (……、……) あと一歩の距離まで来て暫く、呼吸に合わせて緩やかに上下するそこを見つめる。 (……、もしかして……寝てるのかな) もう少し様子を見てみようと、足音を立てないように少しの緊張を押してそぅっと上から覗き込んでみた。 「…っ」 髪の先端がファサリと揺れて彼の頬を掠めてしまったのを、慌てて掻き上げ耳に引っ掛ける。 ドキドキと鳴る心臓を抑えながら、露わになる彼の表情は………やはり動かない。 ほっと胸を撫で下ろしながら、もう少しだけ近付いてみた。 普段より青白く見える肌に乗る眉は少し寄せられていたけれど、そのすぐ下、彼の碧い瞳はしっかりと瞼に守られていた。 「クラウド…?寝てるの…?」 小さく声を掛けてみたものの、クラウドは微かな呼吸を繰り返したままピクリとも反応しない。 ………どうやら、彼は本当に眠っているようだ。 「……」 知れず、安堵の溜め息が零れた。 ミディールを出立してから暫く、シドの案内で艇内を歩いて回り一通りの設備を把握した後、遠くないうち来るであろう神羅との戦闘に備えて部屋で休む事にした。 個室へと続く通路の交差路で、送ってくれたシドにお礼を言う。 『送ってくれてありがとう。私も休むね』 『おう!ひと眠りしたらジュノンだからな。頼りにしてっからよ、しっかり身体休めておけよ!』 『うん。こっちだって頼りにしてるんだから、忙しいでしょうけどちゃんと休んでね』 『ケッ!オレ様の体力を見くびるない』 『ふふ、解ってる。はい、これ。送ってくれたお礼』 言いながら、ポシェットの中にある飴玉を一粒手渡した。 『甘いもの食べて頑張りましょう』 『おう、ありがとよ。じゃあな』 『うん』 飴玉を頬張り笑いながら背中を返すシドに手を振る。 『っ…と、いけねえ!忘れるとこだったぜ』 突然、シドが思い出したように足を止めた。 『どうしたの?』 『悪いんだけどよ、部屋戻る前にちいとばかしあいつの様子見てやってくれや』 『あいつって……クラウド?』 『あの様子じゃジュノンで使いモンになるか分かんねーからな。姉ちゃんの顔見りゃ、少しは良くなるんじゃねえかと思ってよ』 『……うん。分かった。シドが心配してたって伝えとくね』 『ケッ!余計なモン喋んじゃねえよ!ったくよ、船酔いなんざ酒でも煽りゃ一発だぜい』 『もうっ、お酒なんて呑んだら余計に具合悪くなっちゃうよ。体質だもの、仕方ないわ』 『体質ねえ……ケッ!とにかく頼んだぜ、姉ちゃん』 『うん』 乱暴な物言いだけれど、優しさの籠る背中を再び手を振って見送る。 『………』 姿が見えなくなって一拍の後、個室が並ぶ通路を見渡した。 クラウドの部屋は、確か───。 通路を進み、目的のドアの前に立つ。 (……クラウド) ……本当は、シドと同様に彼の体調はずっと気になっていた。 魔晄中毒から脱却してまだ間もない。 体力の回復も十分ではないだろう事は容易に想像出来た。 新たな戦いに備えて、そして彼自身の為にも、今は少しでも身体を休めてほしいと思う。 それなのに、追い打ちをかけるように船酔いだなんて……。 (大丈夫かな……) コックピットを出て行く彼の、余りに色を失くした顔色が脳裏に浮かぶ。 『……クラウド?具合はどう?』 小さくノックしてみた。 ……返事は無い。 『クラウド?』 もう一度声を掛けてみるけれど、相変わらず返事は返ってこない。 『……寝てるのかな』 そう思って耳を近付けてみたけれど物音一つ聴こえない……というより、人の気配がしない。 『クラウド……入るよ?』 心配になってそっとドアノブを捻ってみた。 少しばかり空いたドアの隙間から、中をそっと窺い見る。 『……あれ?』 そう大きくはない部屋の奥にあるベッドには彼の姿は無く、寝ていた形跡だけが乱れた皺となってシーツに刻まれていた。 『クラウド…?』 空っぽのそれに一気に不安が心に巻いた。 『クラウド…!』 ドアを大きく開け、部屋の中に入り洗面所も確認してみる。 備え付けの洗面台には水を流した跡があり、飛び散った飛沫が床を汚していた。 それに混じり、僅かな吐瀉物も確認する。 けれど、肝心のクラウドの姿はどこにもなかった。 『どこ行っちゃったの……?』 床の汚れをタオルで丁寧に拭き取りながら彼の安否を思う。 その時、轟々と風の鳴る音が大きく響いた。 顔を上げ小さな窓から外を見れば、澄み切った綺麗な青空が視界を彩っていた。 途端、部屋の籠った空気が鼻を衝いた。 『…っ』 新鮮な空気を求めるように、自然と身体が動く。 (そうだ……外……甲板に行ってみよう) もしかしたら、彼はそこにいるかもしれない。 立ち上がり、がらんどうの部屋を後にする。 急ごうと早足になるも、通路の窓から見えた雲の流れに、肌に刺す空気の冷たさを思い立ち止まる。 (クラウド……) 少しの逡巡の後、自室に寄り、荷物の中から洗い立てのブランケットを取り出して腕に抱えた。 ───そして現在、見つけた彼は私の眼の前で静かな寝息を立てている。 (良かった……落ち着いているみたい) もしかしたらまだ苦しんでいるかもしれないと心配していたけれど、杞憂に終わりほっと胸を撫でおろす。 それから一歩下がって手に持つブランケットを広げた。 折角の眠りを妨げないように、そっと彼の身体を覆う。 「…もう。こんな所で寝たら風邪引いちゃうよ」 あんまり心配させないで、と。 小さな文句を、自然と零れる笑みで包みながら。 Next... ![]() |
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