Always Together 1 - Tifa Birthday 2017 -2017-05-01 Mon 00:39
こんにちは、ももこです。
突然ですが、今年のティファ誕SSをUPします。 1話という事はもちろん続き物です……だってどうしても短く纏められないんだもの(^_^;) 今回は以前にUPしていた去年のバレンタインSSのその後という設定で、二人とも最初からラブラブです(*^^)v 切ない要素やエアリス関連は一切出てこない予定ですので、苦手な方も安心して読んで頂けるのではないかなと思います(^^) 1話こそ真面目な雰囲気ですが、むしろ後半はギャグに走ってしまうかもしれません(^_^;) 更に、途中で選択肢等のお遊びも入れようかなと思っています。 ティファ誕のあるGW中にどんどん続きをUPしていきたいと思いますので、宜しければお付き合い下さいませ(*^_^*) そんなに長くならない予定です……去年のクラ誕もあるし(^_^;) それでは続きをUP出来たらまた来ますね! 拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*) 【Warning!】2017年ティファ誕SS第1話です。クラウド視点。以前にUPしたバレンタインSSの後日談です。繋がりはあまりありませんので、前作を読んでいなくても問題ないと思います。続きます。 4月も末の日曜日。 日曜とはいえ、配達業というものは時を選ばず依頼が来るものだ。 俺も同業者同様に例外なく、夜が更ける一歩手前まで一杯に時間を使い、やっと本日分の配達を終えて帰路に着こうとしている。 人通りも少なくなった路地は殊の外静かで暗い。 かつては世界中のエネルギー市場を一手に担う巨大な電力会社だった神羅カンパニーが崩壊した今、先の戦役から今に至るまでその供給は未だ安定しなかった。 「…は」 知らず、肺の奥から重く大きな息が零れる。 騒音を避ける為、整備不良な路地を規格外の重量と装備を備えたフェンリルを押して歩くのも結構しんどい。 特に、夜明けと共に一日中走り続けたこんな日には、流石の俺も溜まった疲れを持て余すのだから余計に。 ジャリ、と重いタイヤを引きずりながら角を曲がる。 その時、癖で俯きがちになる目線の端に仄かな光が見えた。 顔を上げ、先を見る。 (……灯りがついてる) 狭い路地の奥、一軒の店から小さな灯りが零れている。 温かなオレンジ色のそれは、彼女の店───ダイニング・バー"SEVENTH HEAVEN"の灯火。 すかさずグリップに掛けてあるモバイルを手に取り、真っ黒な画面をスライドさせた。 一瞬にしてぱっと明るく光る画面の中に確認するのは、現在の時刻"23:34"。 (何とか今日中に間に合ったな……) 胸に拡がる安堵と共に、自然と口角が上がるのが自分でも判った。 出来る限り早く、彼女の元へ。 「……、ティファ」 グリップを握る腕に力が入る。 前に進める一歩の幅が少しずつ広がっていく。 心に拡がる熱い願いが伝わるように、共に歩く相棒が羽根のように軽くなった気がした。 彼女の柔らかな笑顔に触れるまで───あと少し。 Always Together 1 - Tifa Birthday 2017 - 小気味よいドアベルの音を聴くと同時に足を一歩踏み入れると、小さく落とされた照明の中でメロウなピアノジャズが出迎えた。 それはいつも閉店間際にかけられる、彼女のお気に入りの一曲だ。 「お帰りなさい、クラウド」 揺蕩うような音色に乗せて、俺の意識は穏やかな彼女の声に拾われる。 「ただいま」 応えながら上げる目線の先。 ついさっきまで想像していた通り、カウンターの奥で洗い物をしているティファの笑顔に口角の端が更に上がった。 抜身の剣をドアの近くの壁に立て掛け、背負った荷物を床に下ろしながら素早く店内に眼を配る。 ……客の姿は、無い。 ほっと胸を撫で下ろした。 「今日はどうだった?」 分厚いグローブを脱ぎ、腰に巻いたソードホルスターのベルトを解きながら彼女の元へと進んでいく。 「うん、大丈夫。調子良いみたい……あ!クラウド」 カウンターの奥に繋がる蝶番の付いた跳ね上げ式の扉を抜けようとした所で呼び止められ、足が止まった。 「何?」 「悪いんだけど、入り口の鍵掛けてくれる?」 「…そうだった」 ごめんね、と言いながら泡だらけの指が差す先、背中の向こうにある扉を再び開けて誰の気配も無い事を確認する。 表に掛けられた"CLOSE"のプレートが夜風に煽られカタカタと音を鳴らしている。 店の傍に置いてあるブラックボードを見ると、彼女らしい丁寧な文字で"しばらくの間休業致します"と断りの一文があった。 静かに扉を閉め、カチリと鍵を掛ける。 目隠しのカーテンも忘れずに引いて再び彼女を見ると、嬉しそうにニコリと笑顔を浮かべてくれた。 カウンターの上に解いた装備を置き、彼女の元へと扉をくぐる。 「お疲れ様。お腹空いたでしょ?今すぐ何か…」 「それよりも先にこっち」 「え?…あ、ちょっと…」 洗い物を終え振り向こうとするティファを後ろから腕を廻して拘束すると、彼女の口から小さな抗議が上がる。 それを聴こえなかった振りで、艶めく黒髪に覗かせた白い肌に唇を埋めた。 「ん…」 甘やかに紡がれる、彼女の吐息に肌が震える。 「……ティファ」 ちゅ、と首筋から離した唇を色付いた耳元へと滑らせれば、そこを飾る雫を揺らして紅茶色の瞳が俺を捉えた。 薄く開いたそこに誘われるまま、唇を寄せる。 お互いが触れるか触れないか、その間際で彼女の人差し指が二人の隙間を阻んだ。 「……何?」 無粋な指を絡め取り、抗議する。 けれども、不服な声を上げる俺とは対照的に、彼女の瞳と口元はどこまでも穏やかだ。 「それよりも……"先にこっち"、でしょ?」 今しがたの台詞を反芻されて瞠目する間も無く、しっとりとしたティファの手が俺の手を取り導いていく。 その流れを任せるままに眼で追えば、灯された柔らかな光を受けてゆるりと煌めく二つの環が重なった。 そして辿り着く先───彼女の手が愛おしそうに撫でる先。 「あ…そうだったよな。ごめん」 「ふふっ。しっかりしてね。……お父さん」 柔らかに重なり合う二つの掌に包まれるのは、彼女に宿る小さな小さな命の在処だった。 Next... ![]() |
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