2017-06-13(Tue)
INVISIBLE STARS 2
こんにちは、ももこです。
ダークSS第2話UPします。
今回は回想のみ、「だったら部屋で飲んでよ!」の少し前です。
まだこの段階ではクラウドとティファの間に深刻さはさほどありませんので、苦手な方も幾らか安心して読めるかな(^_^;)
公式小説片手に書いていますが………本当、何度読んでも苦しいなコレ(ノ_<)
クラティはくっついた後も色んな困難が立ち塞がるから、見てるこっちが気が休まる時無いです((((;´・ω・`)))
せめてACC後は本当の家族として平穏な人生を送ってほしいな……(っω・`。)
見直しまだなので近いうちに修正すると思います。
その時はお知らせしますね(^^)
それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
【Warning!】ダークSS第2話です。ティファ視点。今回の時間軸は前回の少し前になります。ティファとマリンの母娘中心で割とほのぼの。あまりダーク感はありません。クラウドの寝室はティファと一緒です(*^^)v続きます。
INVISIBLE STARS 2
「クラウドがね、さいきんなんだかおかしいの」
そうマリンから報告を受けたのは一昨日の事。
夜の営業が一段落して一緒に並んで洗い物をしていた時、ぽつりと零されたその言葉に私はスポンジを持つ手を止めた。
「何かあったの?」
隣へと視線を下げると、マリンが唇を尖らせて頷いた。
「マリンがお話してもぼんやりして、ちっとも聞いてくれないの」
「………」
クラウドがデリバリーの仕事を始めてからその評判が広がり、ここ最近の彼は深夜近くの帰宅が続いている。
私もクラウドとまともに顔を合わせるのは朝くらいで、彼から遅くなると連絡が入った時には帰宅を待たずにベッドに入る時もあった。
今日だって、朝起きたらいつの間にかクラウドが隣で眠っていて、昼近くになって起きてきたと思ったらまたすぐに夕方の配達に行かなきゃって……。
………だから、きっと。
「……クラウドは、疲れているんじゃないのかな」
「クラウド、疲れてるの?」
「うん。だってほら、昨日もこの前も、朝から夜までずっとお仕事でしょ?流石のクラウドも、一人でぼんやりしたい時、あるんじゃないかな」
明るく言いながら蛇口を締めタオルで水気を払う。
ふと、マリンの動きが止まった。
「マリン?」
「……マリンのこと、嫌いになってない?」
「そんなこと……」
大きな瞳を不安そうに歪ませて見上げてくる娘の頭をそっと撫でてやる。
膝を折り、同じ目線になって小さな身体を抱き締めた。
「大丈夫だよ。クラウドは、マリンの事そんな風に思ってない。私が保証する」
「……ほんと?」
「ん。なんなら私、後でクラウドにお説教しておこうか。"人の話は最後までちゃんと聞かなきゃダメよ"って」
「それ!クラウドがよく父ちゃんに言ってた!」
「うん。自分が言った言葉にはちゃんと責任持ってもらわないとね」
「あはは」
ようやく笑顔になった娘にほっとしながら、ちらりと時計を見た。
時刻は夜の9時を回ろうとしていた。
「マリン、お手伝い御苦労さま。後は一人で大丈夫だから休んで良いわよ」
「うん。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
マリンの手から布巾を受け取り、おやすみなさいのキスをする。
小さな足音が二階へ消えたのを確認して、もう一度時計を見た。
(……クラウド、今日も遅いのかしら……)
知らず、溜め息が出た。
その重さに、先程のマリンとの会話で感じたつかえを反芻する。
(私も……クラウドとちゃんと話してないな……)
「おはよう」だとか「おかえりなさい」だとか、日常生活での最低限の会話はするものの、お互いの忙しさから以前ほどのコミュニケーションは失われつつあった。
家族なのに……ずっと傍で彼を見てきたのに、クラウドの変化に気付かなかった。
それが───とてもショックだった。
(何でもいい、今夜クラウドと話したい……)
そう心に決めて、作業に戻る。
『ごめん……もう少しかかりそうなんだ。先に休んでてくれるか?』
そうクラウドから連絡があったのは、日付が変わろうとした頃だった。
………結局、彼が帰宅したのは日付を跨いで深夜遅く。
私は既にベッドに入っていたけれど、彼の気配に身体を起こした。
「おかえりなさい……遅かったね」
「ティファ…起きてたのか」
「今起きたの」
「ああ、そうか……ただいま」
少し驚いた様子で、けれどすぐに隣に身を横たえ優しく抱き締めてくれた。
シャワー後の少し湿り気のある身体が、しっとりと吸い付くように心地良い。
数日振りに肌で感じるクラウドの温もりが愛おしくて、その背中に腕を回した。
「ん…」
唇が触れる。
二、三度深く触れ合って───けれど、不意に。
「……クラウド?」
力が抜けたように軽くなったと思ったら、すぐ傍で寝息が聴こえてきた。
驚いて見上げれば、彼の瞳は瞼の奥にしっかりと閉じ込められていた。
「………」
思わず溜め息が零れた。
(……しょうがないよね。疲れてるんだもの……)
深く息を吐きながら、身体の力を抜く。
シーツに沈み込むその感覚は、まるで自分の気持ちを代弁しているような気がした。
穏やかな呼吸を繰り返す、あどけない寝顔を見つめる。
ふと、長い睫毛に覆われた目元に、深い影を見付けた。
起こさないよう、そっと指先を添えてつ…と滑らす。
そこに感じる頬の輪郭も、自分が知っているより薄く細い。
(クラウド……少し…痩せたね……)
やっと知った彼の変化に、胸の奥がきゅっと痛んだ。
(あんまり無理しないで……)
身体を寄せ、そっと重ねて想いを伝える。
それからまたしばらく彼の寝顔を見つめていたけれど。
(…、……───)
いつの間にか意識が薄れ───気が付けば、そのまま朝を迎えていた。
「わ~、すっごい散らかってる。クラウド、ぜんぜん片付けないんだね。子供みたい!」
「ふふ、そうだね」
次の日の午後、再び仕事に出かけたクラウドの了解を得て、彼の仕事部屋の掃除をする事にした。
結局昨日はクラウドと話すことは出来なかった。
それでも、今日は早く帰れるという彼の言葉を信じ笑顔を作る。
「さて、いっちょ頑張りますか!」
「りょうかい!」
手伝ってくれるというマリンと一緒に散らかり放題の部屋を一望する。
「なんでタイヤが落ちてるの?」
「あ、それはクラウドの大事なものだから、あんまり触っちゃダメよ」
「は~い。変なの」
「マリン、まずは一緒に机の上片付けようか」
「うん!」
普段滅多に入る事の無いクラウドのオフィスで興味津々のマリンに苦笑しつつ、デスクに向かう。
一面に散らばった大量の伝票や資料を一つ一つ確認しながら整理していく。
「ティファ、これは?」
「これは…そうね、こっちかな」
「これは?」
「それはあっち」
数が多い伝票は日付ごとに、地域や支払いの種類に分けて仕分けていく。
中には破れていたり酷く汚れたりしている物もあって読み解くのに手こずる事もあった。
「これすっごい泥だらけ。クラウド、転んだのかな?」
「そうかもね。こっちは半分破れてるわ」
「それも転んだのかな?」
「多分ね」
マリンと二人、その時のクラウドを想像して吹き出してしまう。
そうやって、しばらく大量の紙と格闘していた時。
「ねえ、これは?」
「ん?どれどれ?」
マリンが差し出した一枚の伝票を手に取る。
「お花だって。いいな、マリンもほしいな」
「じゃあ今度クラウドにお願い───」
その瞬間、息が止まった。
同時に───マリンが感じたクラウドへの違和感も理解した。
そっと、伝票の束に置く。
「ティファ?どうしたの?」
「……なんでもないよ」
それからやっと、呼吸した。
"依頼者 エルミナ・ゲインズブール"
"荷物 花束"
"届け先 忘らるる都"
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ダークSS第2話UPします。
今回は回想のみ、「だったら部屋で飲んでよ!」の少し前です。
まだこの段階ではクラウドとティファの間に深刻さはさほどありませんので、苦手な方も幾らか安心して読めるかな(^_^;)
公式小説片手に書いていますが………本当、何度読んでも苦しいなコレ(ノ_<)
クラティはくっついた後も色んな困難が立ち塞がるから、見てるこっちが気が休まる時無いです((((;´・ω・`)))
せめてACC後は本当の家族として平穏な人生を送ってほしいな……(っω・`。)
見直しまだなので近いうちに修正すると思います。
その時はお知らせしますね(^^)
それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
【Warning!】ダークSS第2話です。ティファ視点。今回の時間軸は前回の少し前になります。ティファとマリンの母娘中心で割とほのぼの。あまりダーク感はありません。クラウドの寝室はティファと一緒です(*^^)v続きます。
INVISIBLE STARS 2
「クラウドがね、さいきんなんだかおかしいの」
そうマリンから報告を受けたのは一昨日の事。
夜の営業が一段落して一緒に並んで洗い物をしていた時、ぽつりと零されたその言葉に私はスポンジを持つ手を止めた。
「何かあったの?」
隣へと視線を下げると、マリンが唇を尖らせて頷いた。
「マリンがお話してもぼんやりして、ちっとも聞いてくれないの」
「………」
クラウドがデリバリーの仕事を始めてからその評判が広がり、ここ最近の彼は深夜近くの帰宅が続いている。
私もクラウドとまともに顔を合わせるのは朝くらいで、彼から遅くなると連絡が入った時には帰宅を待たずにベッドに入る時もあった。
今日だって、朝起きたらいつの間にかクラウドが隣で眠っていて、昼近くになって起きてきたと思ったらまたすぐに夕方の配達に行かなきゃって……。
………だから、きっと。
「……クラウドは、疲れているんじゃないのかな」
「クラウド、疲れてるの?」
「うん。だってほら、昨日もこの前も、朝から夜までずっとお仕事でしょ?流石のクラウドも、一人でぼんやりしたい時、あるんじゃないかな」
明るく言いながら蛇口を締めタオルで水気を払う。
ふと、マリンの動きが止まった。
「マリン?」
「……マリンのこと、嫌いになってない?」
「そんなこと……」
大きな瞳を不安そうに歪ませて見上げてくる娘の頭をそっと撫でてやる。
膝を折り、同じ目線になって小さな身体を抱き締めた。
「大丈夫だよ。クラウドは、マリンの事そんな風に思ってない。私が保証する」
「……ほんと?」
「ん。なんなら私、後でクラウドにお説教しておこうか。"人の話は最後までちゃんと聞かなきゃダメよ"って」
「それ!クラウドがよく父ちゃんに言ってた!」
「うん。自分が言った言葉にはちゃんと責任持ってもらわないとね」
「あはは」
ようやく笑顔になった娘にほっとしながら、ちらりと時計を見た。
時刻は夜の9時を回ろうとしていた。
「マリン、お手伝い御苦労さま。後は一人で大丈夫だから休んで良いわよ」
「うん。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
マリンの手から布巾を受け取り、おやすみなさいのキスをする。
小さな足音が二階へ消えたのを確認して、もう一度時計を見た。
(……クラウド、今日も遅いのかしら……)
知らず、溜め息が出た。
その重さに、先程のマリンとの会話で感じたつかえを反芻する。
(私も……クラウドとちゃんと話してないな……)
「おはよう」だとか「おかえりなさい」だとか、日常生活での最低限の会話はするものの、お互いの忙しさから以前ほどのコミュニケーションは失われつつあった。
家族なのに……ずっと傍で彼を見てきたのに、クラウドの変化に気付かなかった。
それが───とてもショックだった。
(何でもいい、今夜クラウドと話したい……)
そう心に決めて、作業に戻る。
『ごめん……もう少しかかりそうなんだ。先に休んでてくれるか?』
そうクラウドから連絡があったのは、日付が変わろうとした頃だった。
………結局、彼が帰宅したのは日付を跨いで深夜遅く。
私は既にベッドに入っていたけれど、彼の気配に身体を起こした。
「おかえりなさい……遅かったね」
「ティファ…起きてたのか」
「今起きたの」
「ああ、そうか……ただいま」
少し驚いた様子で、けれどすぐに隣に身を横たえ優しく抱き締めてくれた。
シャワー後の少し湿り気のある身体が、しっとりと吸い付くように心地良い。
数日振りに肌で感じるクラウドの温もりが愛おしくて、その背中に腕を回した。
「ん…」
唇が触れる。
二、三度深く触れ合って───けれど、不意に。
「……クラウド?」
力が抜けたように軽くなったと思ったら、すぐ傍で寝息が聴こえてきた。
驚いて見上げれば、彼の瞳は瞼の奥にしっかりと閉じ込められていた。
「………」
思わず溜め息が零れた。
(……しょうがないよね。疲れてるんだもの……)
深く息を吐きながら、身体の力を抜く。
シーツに沈み込むその感覚は、まるで自分の気持ちを代弁しているような気がした。
穏やかな呼吸を繰り返す、あどけない寝顔を見つめる。
ふと、長い睫毛に覆われた目元に、深い影を見付けた。
起こさないよう、そっと指先を添えてつ…と滑らす。
そこに感じる頬の輪郭も、自分が知っているより薄く細い。
(クラウド……少し…痩せたね……)
やっと知った彼の変化に、胸の奥がきゅっと痛んだ。
(あんまり無理しないで……)
身体を寄せ、そっと重ねて想いを伝える。
それからまたしばらく彼の寝顔を見つめていたけれど。
(…、……───)
いつの間にか意識が薄れ───気が付けば、そのまま朝を迎えていた。
「わ~、すっごい散らかってる。クラウド、ぜんぜん片付けないんだね。子供みたい!」
「ふふ、そうだね」
次の日の午後、再び仕事に出かけたクラウドの了解を得て、彼の仕事部屋の掃除をする事にした。
結局昨日はクラウドと話すことは出来なかった。
それでも、今日は早く帰れるという彼の言葉を信じ笑顔を作る。
「さて、いっちょ頑張りますか!」
「りょうかい!」
手伝ってくれるというマリンと一緒に散らかり放題の部屋を一望する。
「なんでタイヤが落ちてるの?」
「あ、それはクラウドの大事なものだから、あんまり触っちゃダメよ」
「は~い。変なの」
「マリン、まずは一緒に机の上片付けようか」
「うん!」
普段滅多に入る事の無いクラウドのオフィスで興味津々のマリンに苦笑しつつ、デスクに向かう。
一面に散らばった大量の伝票や資料を一つ一つ確認しながら整理していく。
「ティファ、これは?」
「これは…そうね、こっちかな」
「これは?」
「それはあっち」
数が多い伝票は日付ごとに、地域や支払いの種類に分けて仕分けていく。
中には破れていたり酷く汚れたりしている物もあって読み解くのに手こずる事もあった。
「これすっごい泥だらけ。クラウド、転んだのかな?」
「そうかもね。こっちは半分破れてるわ」
「それも転んだのかな?」
「多分ね」
マリンと二人、その時のクラウドを想像して吹き出してしまう。
そうやって、しばらく大量の紙と格闘していた時。
「ねえ、これは?」
「ん?どれどれ?」
マリンが差し出した一枚の伝票を手に取る。
「お花だって。いいな、マリンもほしいな」
「じゃあ今度クラウドにお願い───」
その瞬間、息が止まった。
同時に───マリンが感じたクラウドへの違和感も理解した。
そっと、伝票の束に置く。
「ティファ?どうしたの?」
「……なんでもないよ」
それからやっと、呼吸した。
"依頼者 エルミナ・ゲインズブール"
"荷物 花束"
"届け先 忘らるる都"
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