2018-06-19(Tue)
Your Heart 19
こんにちは、ももこです。
本編SS第19話UPします。
今回からクラウド視点再開です(*^_^*)
クラウド視点だと甘め要素多くなるのでいつもより萌えて頂けるだろうかと思うのですが、今回はお兄ちゃんが出張っているので甘さは次回の方が多いかもしれません(^_^;)
クールなクラウドの無意識なクラ→ティが好き(* ´ ▽ ` *)
時間が無くて見直しまだの上、クラウドの心理描写をかなり書き足すと思うので、修正終わりましたらお知らせします。
それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
【Warning!】本編SS第19話です。クラウド視点。今回からまたクラウドが語ります。クラ→ティ表現多くなりますのでお好きな方はお楽しみに(ノ´▽`*)b☆あと過保護なお兄ちゃんも健在です(^_^;)続きます。
先を照らす街灯は、決して明るいとは言えない。
町から離れた小道、目的地へと続くその足元は舗装なんてされてなくて歩きにくい。
けれど、それを踏み締める足取りはとても落ち着いていて、むしろ心地良いとさえ思ってしまう。
腕の中にある重み、揺れる黒髪。
時折皮膚に触れる呼吸。
夜に浮かぶ肌がこれ程白く柔らかなのだと、初めて知った。
知らず、腕に力が入る。
踏み出す一歩が重くなる。
そしてこのまま立ち止まってしまいそうになる。
時が止まってしまえばいい───そう、想う程に。
けれど、もうすぐそれは終わりを告げる。
どんなに不謹慎に想おうとも、理性に押し出された足が止まる事はない。
数十メートル先、大きな明かりが小道の先を照らしていた。
「───」
安堵と何かの入り混じる心の内を揉み消すように、一つ大きく息を吐いた。
そして、薄く震える瞼の奥、彼女の瞳に教える。
なあティファ、見てみろよ。
今、俺達の頭上には───あの時と同じ、満天の星空が拡がっているんだ。
Your Heart 19
「……成る程。足斬草の毒による昏睡のようですね」
診察台に寝かせたティファの背中にある傷口を眺めながらそう言うのは、既に診療時間を過ぎていたにも関わらず俺達を見てすぐに診療に応じてくれた、この町でたった一人だという医者だ。
歳は初老に入る頃だろうか、白髪の混じるそれを後ろへ流し短く整えられた髭を蓄えた男は、眼鏡の奥の細い眼を緩ませて「心配ない」と穏やかに言った。
「大丈夫なのか?意識を失ってから随分経つが……」
ティファを看護師に任せ何かを指示しながらカルテに書き込む医者に問うと、ペンを走らせる手を止めて笑いながら肩を竦めた。
「そんなに心配しなくても大丈夫。確かに足斬草の毒は強力ですが、これまでの例を見る限り直接死に至るケースは極稀です。それに、噛まれた後の応急処置が良かったのでね。傷口は化膿していないようですし顔色も悪くない。先程血液を調べて見ましたが、毒の成分も規定値内に収まっていますし脳や内臓に影響の出る可能性は低いでしょう」
「そう……なのか。良かった」
医者の詳しい説明に、やっと安堵の溜息が零れた。
良かった……本当に。
知らず握り締めていた拳を解き、ティファの方を見る。
看護師が清潔なタオルで彼女の顔や身体の汚れを丁寧に拭ってくれていた。
未だ目覚めはしないが、医者の言葉通り、その顔色は先程より回復しているように見える。
「解毒剤を打っておきましたから明日になれば意識も回復するでしょう。念の為、今夜一晩入院して頂きますが……宜しいでしょうか?」
「ああ、頼む」
「では、これにサインを」
医者から渡された入院手続きの書類にサインを入れる。
同意書の他に入院費用の詳細が眼に入り手持ちのギルを確認する。
何とか間に合いそうだ。
足りなくなったらマテリアで補填すればいい。
「では、部屋の用意が出来ましたらティファさんをお連れしますね」
「頼む」
「あなたはどうされます?」
「?」
「付き添われますか?」
「……」
(付き添い……)
さて、どうする。
いつもメンバーの誰かが倒れたら看病するのはティファやエアリスの役目だった。
特に決めた訳ではないけれど、世話好きな彼女達が率先してやってくれていた。
咄嗟にエアリスを思い浮かべたが、皮肉な事に今彼女はここには居ない。
「まあ、看護師が居ますので無理しなくても大丈夫ですが……」
無理……という訳じゃないが、ここに俺が残ってもやれる事は無いように思う。
それに………。
「あらまあ、女の子がこんなに掠り傷作って。可哀想に」
看護師に包帯を巻かれるティファ。
血や汚れに隠れて見えなかったが、服の下から覗くそれと看護師の言葉で思った以上に傷付いている事が見て取れた。
(………)
傍にいてやりたい───本心ではそう思う。
けれど、それを彼女は望んでいるのだろうかと考えると………。
"ppppppppp"
「……!」
突然モバイルの呼び出し音が高らかに鳴った。
慌ててズボンのポケットから取り出し確認すると、液晶画面には「B」の文字。
バレットからだ。
「すまない、仲間からだ」
「ではロビーでどうぞ」
急いで椅子から立ち上がり、診察室を後にする。
ロビーに人の気配が無いのを確認し、ソファの隅に腰を降ろした。
画面をタップし耳に当てた途端、大きなガナリ声に鼓膜を揺さぶられ顔を顰めた。
『おい、クラウドか!?オレだけどよ!』
「分かってる。もっと静かに話せ。病院の中だ」
『おお、わりぃわりぃ。……で、どうだったんだ!?』
「ティファは……大丈夫だ。解毒剤を打って貰った。明日には目覚めるそうだ」
『そうか……良かったぜ。ったくよ、お前がさっさと連絡寄越さねえから飯もロクに食えなかったぜ』
「それは悪かったな」
『へっ!』
画面の向こうで悪態を吐きながら、それでもまだ酒場のテーブルには着いているらしく、周りで酒やら肉やらを注文する声が聴こえている。
「皆はどうしてる?」
『食い足りねえ奴等はまだここに居る。女子供はとっくに上で休んでるけどよ』
「そうか」
どうやら今夜の宿は酒場の二階らしい。
多少煩いだろうが、外に出なくていいだけ安心か。
『お前はどうすんだ?』
「俺は……そうだな……」
『何だ?何かあんのか?』
バレットに先程の医者の言葉を伝えると、途端に呆れたような溜息が聴こえてきた。
『馬鹿、そんな事悩む必要ねえだろ!ティファを一人に出来っかよ!』
「…っ、怒鳴るな、耳が痛い」
『うるせえ!とにかくお前はティファの傍に居ろ。オレ等の事は気にすんな。何かあったらすぐに言え』
「……明日戻ると皆に伝えておいてくれ。分かっているとは思うが、くれぐれも面倒は起こすなよ」
『へっ!お前こそティファに変な気起こすんじゃねえぞ』
「……切るぞ。じゃあな」
『おい!分かっ……』
言葉を遮るように乱暴に通話を切った。
苛つく気分をモバイルと一緒にポケットへと無理矢理押し込み、腰を上げる。
「……言われなくても解ってる」
「話は終わりましたか?」
「ああ。さっきの件だが……やはり彼女に付き添いたい」
「では簡易ベッドを用意しましょう。君、そちらは終わったかね?」
「はい、先生」
医者が目線で促す先、ガウンに着替えたティファがいた。
彼女の装備を入れた籠を手に持ち、看護師が頭を下げる。
「汚れたままでは可哀想でしょう。ごめんなさい、勝手に着替えさせて貰いました」
「いや……むしろ有難い」
「良かった」
ほっと安堵の表情を浮かべた看護師に、医者が大きく頷いた。
「それではご案内します。ティファさんは車椅子で……」
「いや、大丈夫だ。俺が運ぶ」
「では、お願いします」
ティファの元へ歩み寄り、手を差し入れ慎重に抱き起こす。
薄手のそれは、この時期では少々寒そうだ。
腕に抱え、体温が染み込むように抱き寄せる。
「さ、こちらです。参りましょう」
Next...Your Heart 20
本編SS第19話UPします。
今回からクラウド視点再開です(*^_^*)
クラウド視点だと甘め要素多くなるのでいつもより萌えて頂けるだろうかと思うのですが、今回はお兄ちゃんが出張っているので甘さは次回の方が多いかもしれません(^_^;)
クールなクラウドの無意識なクラ→ティが好き(* ´ ▽ ` *)
時間が無くて見直しまだの上、クラウドの心理描写をかなり書き足すと思うので、修正終わりましたらお知らせします。
それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
【Warning!】本編SS第19話です。クラウド視点。今回からまたクラウドが語ります。クラ→ティ表現多くなりますのでお好きな方はお楽しみに(ノ´▽`*)b☆あと過保護なお兄ちゃんも健在です(^_^;)続きます。
先を照らす街灯は、決して明るいとは言えない。
町から離れた小道、目的地へと続くその足元は舗装なんてされてなくて歩きにくい。
けれど、それを踏み締める足取りはとても落ち着いていて、むしろ心地良いとさえ思ってしまう。
腕の中にある重み、揺れる黒髪。
時折皮膚に触れる呼吸。
夜に浮かぶ肌がこれ程白く柔らかなのだと、初めて知った。
知らず、腕に力が入る。
踏み出す一歩が重くなる。
そしてこのまま立ち止まってしまいそうになる。
時が止まってしまえばいい───そう、想う程に。
けれど、もうすぐそれは終わりを告げる。
どんなに不謹慎に想おうとも、理性に押し出された足が止まる事はない。
数十メートル先、大きな明かりが小道の先を照らしていた。
「───」
安堵と何かの入り混じる心の内を揉み消すように、一つ大きく息を吐いた。
そして、薄く震える瞼の奥、彼女の瞳に教える。
なあティファ、見てみろよ。
今、俺達の頭上には───あの時と同じ、満天の星空が拡がっているんだ。
Your Heart 19
「……成る程。足斬草の毒による昏睡のようですね」
診察台に寝かせたティファの背中にある傷口を眺めながらそう言うのは、既に診療時間を過ぎていたにも関わらず俺達を見てすぐに診療に応じてくれた、この町でたった一人だという医者だ。
歳は初老に入る頃だろうか、白髪の混じるそれを後ろへ流し短く整えられた髭を蓄えた男は、眼鏡の奥の細い眼を緩ませて「心配ない」と穏やかに言った。
「大丈夫なのか?意識を失ってから随分経つが……」
ティファを看護師に任せ何かを指示しながらカルテに書き込む医者に問うと、ペンを走らせる手を止めて笑いながら肩を竦めた。
「そんなに心配しなくても大丈夫。確かに足斬草の毒は強力ですが、これまでの例を見る限り直接死に至るケースは極稀です。それに、噛まれた後の応急処置が良かったのでね。傷口は化膿していないようですし顔色も悪くない。先程血液を調べて見ましたが、毒の成分も規定値内に収まっていますし脳や内臓に影響の出る可能性は低いでしょう」
「そう……なのか。良かった」
医者の詳しい説明に、やっと安堵の溜息が零れた。
良かった……本当に。
知らず握り締めていた拳を解き、ティファの方を見る。
看護師が清潔なタオルで彼女の顔や身体の汚れを丁寧に拭ってくれていた。
未だ目覚めはしないが、医者の言葉通り、その顔色は先程より回復しているように見える。
「解毒剤を打っておきましたから明日になれば意識も回復するでしょう。念の為、今夜一晩入院して頂きますが……宜しいでしょうか?」
「ああ、頼む」
「では、これにサインを」
医者から渡された入院手続きの書類にサインを入れる。
同意書の他に入院費用の詳細が眼に入り手持ちのギルを確認する。
何とか間に合いそうだ。
足りなくなったらマテリアで補填すればいい。
「では、部屋の用意が出来ましたらティファさんをお連れしますね」
「頼む」
「あなたはどうされます?」
「?」
「付き添われますか?」
「……」
(付き添い……)
さて、どうする。
いつもメンバーの誰かが倒れたら看病するのはティファやエアリスの役目だった。
特に決めた訳ではないけれど、世話好きな彼女達が率先してやってくれていた。
咄嗟にエアリスを思い浮かべたが、皮肉な事に今彼女はここには居ない。
「まあ、看護師が居ますので無理しなくても大丈夫ですが……」
無理……という訳じゃないが、ここに俺が残ってもやれる事は無いように思う。
それに………。
「あらまあ、女の子がこんなに掠り傷作って。可哀想に」
看護師に包帯を巻かれるティファ。
血や汚れに隠れて見えなかったが、服の下から覗くそれと看護師の言葉で思った以上に傷付いている事が見て取れた。
(………)
傍にいてやりたい───本心ではそう思う。
けれど、それを彼女は望んでいるのだろうかと考えると………。
"ppppppppp"
「……!」
突然モバイルの呼び出し音が高らかに鳴った。
慌ててズボンのポケットから取り出し確認すると、液晶画面には「B」の文字。
バレットからだ。
「すまない、仲間からだ」
「ではロビーでどうぞ」
急いで椅子から立ち上がり、診察室を後にする。
ロビーに人の気配が無いのを確認し、ソファの隅に腰を降ろした。
画面をタップし耳に当てた途端、大きなガナリ声に鼓膜を揺さぶられ顔を顰めた。
『おい、クラウドか!?オレだけどよ!』
「分かってる。もっと静かに話せ。病院の中だ」
『おお、わりぃわりぃ。……で、どうだったんだ!?』
「ティファは……大丈夫だ。解毒剤を打って貰った。明日には目覚めるそうだ」
『そうか……良かったぜ。ったくよ、お前がさっさと連絡寄越さねえから飯もロクに食えなかったぜ』
「それは悪かったな」
『へっ!』
画面の向こうで悪態を吐きながら、それでもまだ酒場のテーブルには着いているらしく、周りで酒やら肉やらを注文する声が聴こえている。
「皆はどうしてる?」
『食い足りねえ奴等はまだここに居る。女子供はとっくに上で休んでるけどよ』
「そうか」
どうやら今夜の宿は酒場の二階らしい。
多少煩いだろうが、外に出なくていいだけ安心か。
『お前はどうすんだ?』
「俺は……そうだな……」
『何だ?何かあんのか?』
バレットに先程の医者の言葉を伝えると、途端に呆れたような溜息が聴こえてきた。
『馬鹿、そんな事悩む必要ねえだろ!ティファを一人に出来っかよ!』
「…っ、怒鳴るな、耳が痛い」
『うるせえ!とにかくお前はティファの傍に居ろ。オレ等の事は気にすんな。何かあったらすぐに言え』
「……明日戻ると皆に伝えておいてくれ。分かっているとは思うが、くれぐれも面倒は起こすなよ」
『へっ!お前こそティファに変な気起こすんじゃねえぞ』
「……切るぞ。じゃあな」
『おい!分かっ……』
言葉を遮るように乱暴に通話を切った。
苛つく気分をモバイルと一緒にポケットへと無理矢理押し込み、腰を上げる。
「……言われなくても解ってる」
「話は終わりましたか?」
「ああ。さっきの件だが……やはり彼女に付き添いたい」
「では簡易ベッドを用意しましょう。君、そちらは終わったかね?」
「はい、先生」
医者が目線で促す先、ガウンに着替えたティファがいた。
彼女の装備を入れた籠を手に持ち、看護師が頭を下げる。
「汚れたままでは可哀想でしょう。ごめんなさい、勝手に着替えさせて貰いました」
「いや……むしろ有難い」
「良かった」
ほっと安堵の表情を浮かべた看護師に、医者が大きく頷いた。
「それではご案内します。ティファさんは車椅子で……」
「いや、大丈夫だ。俺が運ぶ」
「では、お願いします」
ティファの元へ歩み寄り、手を差し入れ慎重に抱き起こす。
薄手のそれは、この時期では少々寒そうだ。
腕に抱え、体温が染み込むように抱き寄せる。
「さ、こちらです。参りましょう」
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