2016-02-22(Mon)

Your Heart 7

こんにちは、ももこです。

"Your Heart 7"書いたのでUPします(^^)
今回でやっと回想終わった~!
長かった~疲れた~~ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3
前回のシリアスから引き続いてのシリアスなので、書くのも読むのも疲れるかもしれません(^_^;)
でもこれで次からやっと時間軸を戻せるので、お話が一気に進みそうです(^^)
早くクラティ萌え書きた~いヽ(≧∀≦)ノ
今回はいつもより文字数が多いので、後で見直して手直し入るかもしれません。
その際はまたお知らせします(*^_^*)

それから、バレンタインクラティSSのアンケート、無事集計終わりました!
どちらが多かったかは実際にSSをUPしてお知らせします。
お時間頂きますが、気長に待ってやって下さい(*^_^*)

それからそれから!
今日2月22日はシドのお誕生日ですね!
おめでとうシド!永遠の32歳!
初めてシドを見た時、実のところ40~50代くらいだろうと思っていたんですが、まさかバレットより若いとは…!!
人は見かけによらない、ですね(^_^;)
いつまでもシエラさんとお幸せに、そして我らがⅦの頼れるアニキでいて下さい(*^^*)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました~(*^_^*)


【Warning!】"Your Heart 6"の続きです。本編沿いのティファ視点。前回に引き続きシリアスです。少しだけエアティ気味かもしれません。続きます。





Your Heart 7



静まり返る空気の中、長い髪を波打たせ、ヴィンセントがクラウドの横を通り抜けた。
クラウドはじっとその場を動かない。
表情も変わらない。
ただ、前を見据えたまま。

だけど。

『………』

握り込んだ指先が、分厚いグローブに食い込んでいるのが見えた。

コツ…と硬質に響く足音と共に、ヴィンセントの赤い背中が奥の扉に向かっていく。
そこから覗く掌がドアノブを鳴らした音にはっとする。

『ヴィンセント?どこに行く気?』

慌てて彼に声を掛けた。
ドアノブに掛けた手の動きが止まり、けれど振り向きはせずに、長い前髪から覗く唇で言葉にする。

『……話が纏まったのなら、もうここには用は無いのだろう。時間は限られている。…早々に出立すべきだ』

そう言うと、ドアノブを押しやり続く空間への道を開いた。
外へと通じるそこから、一陣の風がさあっと通り抜けて保たれていた部屋の温度が変わる。
その変化に剥き出しの肌がふるりと震えた。
その時。

『待て、ヴィンセント』

クラウドが静かに口を開いた。
その声にヴィンセントの足が止まる。

『……』

ドアは開けたまま、伺うように怜悧な目線をクラウドへと向けるヴィンセント。
その視線を背中に浴びたまま、クラウドの唇が動く。

『ヴィンセント、あんたの言いたい事は分かった』
『……』
『確かに、三人だろうが四人だろうが……変わらないかもしれないな』
『えっ?それじゃあ…!』

それまでやり取りを見守っていたエアリスが、口元に手を当て大きな瞳をキラリと揺らす。

『ああ。今日のメンバーは俺とエアリスとユフィ、ティファで行く』

クラウドのその言葉に、エアリスがきゃあっと歓声を上げながら私をぎゅっと抱き締めた。

『良かった~!やったね、ティファ!一緒、一緒!』
『エアリス…』

華奢だけれど力強い腕に包まれて驚くと共に、無心で喜んでくれる彼女がとても尊く思えた。
その背中に腕を回してそうっと抱き返す。
ふわりと湧き立つ甘い香り。
心に沁み入るように優しく包み込まれ、目頭が熱くなる。

けれど、やっぱり───涙は出なかった。

『………』

そっと瞬き、目を向ける。

エアリスの背中越しに見える彼の姿。

その表情は、何時になく固く引き結ばれていた。


──そうだよね。

ごめんね、クラウド。


彼の本心はきっと、エアリスとは違う。

彼は…クラウドは、ヴィンセントやエアリスの言葉をただ聞いただけ。

リーダーとしての責任感、皆の足並みを揃えるのはあなたの役目だから。

そうでしょ?クラウド……。



『ヴィンセント、あんたもそれで良いな』

クラウドが振り向き、扉に向かうヴィンセントに確認する。

『………』

問われて数秒、その場に佇んだ彼の足が踵を返した。
カチャリと扉の閉まる音を聞く。
ドアノブを離した腕でマントを躱し、ゆっくりとこちらへ歩み寄る彼の感情はマントに覆われた口元ではっきりと分からないけれど。
クラウドの前で静かに足を止めた彼の瞳は……冷たさを隠して、穏やかに見えた。
碧と紅、二つの異なる色彩が真ん中で交差する。

『…私はお前の指示に従うだけだ』
『…ああ、そうだったな』

短く言葉を交わし、そのままクラウドをすり抜ける。
静かに元いた場所まで戻ると、壁際に背中を預け話の流れに耳を傾けるいつもの彼の姿になった。
それを確認した後、クラウドの蒼い瞳ががぐるりと仲間に回される。

『皆も、それで良いな』
『は~い!クラウド、見直しちゃった』
『りょーか~い』
『おお!』
『うん!オイラも賛成』
『クラウドはん、助かりますわ~』
『よっしゃあ、そうこなくっちゃあな!』

確認を求めるクラウドの声に皆が一斉に反応する。

『…ティファも』

最後に、クラウドが私に向けて意志を問う。

『クラウドが、良いなら…私は、大丈夫だよ…』
『…分かった。それじゃ各自、準備が出来次第出発する』

何度目かの確認、お互いに視線の先はずれたまま、クラウドが皆に指示を出す。
一斉に動き出す仲間たち。
皆の軽やかな表情とは裏腹に、気持ちが落ち着く様子は無かった。

(クラウドと、一緒…)

心の中で言葉にした途端、鼓動の速度が増す。

結局、クラウドとは一度も目線を合わせる事は出来なかった。
私も彼も、お互いにどう接すれば良いか分からないでいるのは明らかだ。
こんな状況で、今日一日一緒だなんて……。

(どうしよう…)

不安が心を満たし落ち着かなくさせる。


『ティファ、行こっ!』

エアリスの軽やかな声がしてはっと目を瞠った。
目の前で嬉しそうに笑顔を輝かす彼女の掌が私の腕を取り、続くドアへと連れて行く。

『あ、待って…』

弾むような足取りで続くドアへと誘われて、急いで後を追いかける。
部屋を出る間際、何かと目が合った気がして振り返った。

(あっ…)

そこに見たのは、差し込む陽射しを受けて艶やかに煌めくサファイアブルー。

(クラウド…!)

視線の先、初めてそれが交わったまま静止する。
なぜ、視線を外せなかったのか───。

『……』

彼の瞳が、これまでとは違う色をしていたから。
この旅を始める前……七番街の駅で再会したあの時と同じ色。
何のわだかまりも無く、純粋に私を映してくれていた……あの時の温かな碧。

(………っ)

久しぶりに感じた懐かしさに、心がぐっと締め付けられた。


………けれど、それもほんの短い間の事。


『ティファ?』

動きを止めた私に引っ張られたエアリスの呼ぶ声で我に返った。

『どうしたの?早く行かないと、みんな、行っちゃうわよ?』
『あ…っ、ごめんなさい』

不思議そうに向けてくる大きな瞳に謝りながら、ちらりと元の場所へ意識を移す。
そこにはもう、さっきの懐かしさは無く、代わりに大剣を背負う彼の後ろ姿があった。
ちらりと見えた瞳に、もう私は映っていない。

(………)

落胆に漏れる溜め息。

『行きましょう、エアリス』

苦いそれをぐっと飲み込んで、エアリスと共に部屋を出た。




久しぶりに見た、懐かしい瞳。

向けられることの無いと思っていた、その輝き。

嬉しかった。

だけど。

もしかしたら、見間違いだったのかもしれない。

温かなあの碧色は………私の願望、だったのかもしれない。




『皆揃ったな。これから次の町まで移動するが、各自準備は良いか?』

宿屋を後にし、仲間の点呼をするクラウド。
いつもと変わらない彼の後ろ姿を見つめながら思う。

(今は余計は事考えないで、皆の力になれるように頑張ろう)

今までのやり取りから気まずさは拭えないけれど、これ以上皆に迷惑が掛からないように頑張ろう。
クラウドの負担にならないように、私に出来る事をやろう。

『それじゃ、皆また後で。くれぐれも面倒事に巻き込まれないでくれよ』
『おう!そっちこそ両手に花抱えて狼になるなよ~』
『……言ってろ』

冷やかすシドたちに背を向けてクラウドが歩き出す。
それを追いかけるようにして、私たちも三人揃って後に続く。

『ね、ね、ティファと一緒になるの、ニブルヘイム以来ね』
『そうね…もうそんなに経つのね』
『わたし、クラウドに言って、これからもティファと一緒のパーティーにしてもらおうかな』
『エアリスったら。それは流石に無理なんじゃない?』
『そお?クラウド、意外と、聞き分け良いよ?』
『…それはエアリスだからよ』
『分かる~!アイツ、さっきエアリスにタジタジだったし!ざまあってカンジ~?』
『ユフィ、それは言い過ぎ!クラウドに言いつけちゃうわよ』
『げっ!それ勘弁~』
『ふふふ』

久しぶりの笑い声が道行く木々に反射する。

『おい、三人共。あまりはしゃぎ過ぎてはぐれるなよ。いつモンスターが出てくるか…』
『はいは~い、分かってますよ~』

先に行くクラウドにエアリスが手を振りながら笑顔で答えた。
クラウドが呆れたように溜め息を吐きながらまた歩き出す。
そんなやり取りを眺めながら、私もそっと胸の辺りへ手を上げた。

(クラウド、ごめんね)

心に中で呟きながら、彼の背中へ小さく振った。



Next...Your Heart 8


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