CHOCOLATE SOLDIERS 3 - Valentine's Day 2016 -2016-03-21 Mon 01:59
こんにちは、ももこです。
バレンタインSSの三話目UPします。 ………そして!! すみませんっ!!! 予告していた大人向け描写、都合により次回に持ち越しになってしまいました~~~っっっ(。Д゚; 三 ;゚Д゚) 本当はもっとさっくり展開する予定だったのですが、いつものごとく妄想を展開していったらなんか長くなってしまいまして……(>_<) 予告記事も置いたのに急きょ変更してしまって……お待ち下さった方には本当に申し訳ありませんでした・゚・(つД`)・゚・ 次回、がっつり頑張りますのでご期待(?)下さい(>_<) また、前回の記事は一旦下げました。 ですが、そこにあった通り、次回から大人向け作品のパスは定期的に変更する予定です。 次回更新時About内の【Secret】の項目からご確認下さい。 今回はかなり難産でした……ACクラウド、難しいな(>_<) まだACクラウドの性格や言い回しなどを掴み切れていないので違和感あるかもしれませんが、段々と馴れていきたいと思いますのでしばらく生暖かい目で見てやって下さい(^_^;) 予定より話数多くなって焦ってます…あと2~3話で終わりたいなあ(^_^;) では今度こそラブクラティ目指します!! 拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*) 【Warning!】バレンタインSS三話目です。DC後設定のティファ視点。今回はちょい甘クラティです。エアリス絡みなので苦手な方はご注意下さい。続きます。 "彼"を見つめる"彼女"の眼差しが、今でも瞼に焼き付いて忘れられないの。 だって、"彼女"が"彼"を想うように、"私"も"彼女"を想っているから。 そして、それ以上に。 "私"が"彼"を想ってしまったから。 CHOCOLATE SOLDIERS 3 脱衣所で衣服を掃い、シャワーブースのドアを開ける。 タイル張りの床に足を踏み入れた途端、足裏から季節に冷えた空気の流れが全身に伝わってきて肌が震えた。 急いでシャワーコックを捻る。 高い位置にあるノズルから熱いお湯が勢いよく滴り落ちて、瞬間、視界を乳白色に染め上げた。 立ち込める湯煙の中、全身にくまなく行き渡る温度に、ようやく安堵の溜め息が零れる。 「………」 熱い流れを頭から被りながらしばらく、次第に温まってきた身体が心地良くて目を瞑る。 耳元を鳴らす飛沫の音を聴きながらぼんやりしていると、さっき視た夢が瞼の裏に甦ってきた。 そして、その続きも。 春の陽射しのように温かで、穢れの無いエアリスの笑顔。 無垢な心そのもののようで、いつだって憧れだった。 そして、私はそれを見るのが大好きだった。 例えそれが、彼に向けられるものであっても。 胸の中を、小さな痛みが伴っていたとしても。 『でも…本当は、まだ迷ってるの』 僅かにトーンを落として、独り言のようにエアリスが呟いた。 笑みを浮かべる口元はそのままに、少しだけ伏せられた目元が長い前髪に隠れる。 『…どうして?』 そう聞けば。 『彼の気持ち、まだ良く解らないから。どうしようかな、って』 前髪から覗くのは、僅かに笑顔を抑えた彼女の横顔。 いつでも明るく朗らかな、笑顔を絶やさない彼女の心の揺れがそこから見えた気がした。 それはとても頼りなく儚げで、私の好きな彼女の輪郭をじわりと曖昧なものにしていくようで。 そんな彼女を見ていたくなくて。 『大丈夫、だと…思う』 『え?』 気付けば、勝手に言葉が喉から出ていた。 エアリスが振り向く。 きょとんとした眼差しを向ける彼女を見つめ返し、笑う。 『エアリスなら…きっと喜んでくれると思うよ』 ───クラウドも、きっと。 あの時の私の顔、どんなだっただろう。 ツキンと走った胸の痛みは、上手く誤魔化せていたのかな。 見て見ぬふりで必死に隠そうとしていた、私の本当の気持ち。 "私も本当は───クラウドが、好き" でも、やっぱり言い出せなかった。 『…ありがと、ティファ』 エアリスが目元を和らげ微笑みを見せる。 それがとても嬉しそうで……幸せそうで。 『どういたしまして』 頑張って、と。 私も彼女に微笑んだ。 それから間もなく、エアリスは星へと還ってしまった。 ……彼女の秘めた願いは、叶えられる事無く。 メテオが去った後、荒廃したミッドガルの復興の為にクラウド達と共にエッジへ移った。 それからしばらくして、私はそこで暮らしていく事を決めた。 家族と………クラウドと、共に。 「あんな事言っておいて、私…」 再び目元が熱くなる。 お湯と共に流れ落ちるそれは、いつだって私を現実に引き戻す。 例えば、家族と一緒に過ごしている時。 例えば、彼と共に安らぎを感じている時。 自分が幸せであればある程、それを意識した瞬間から訪れる。 それはすなわち───"彼女"への深い憧憬と……尽きる事の無い、後ろめたさ。 三日前。 彼からプロポーズを受けた。 信じられないくらい嬉しくて、今までの世界の色が変わる程に幸せで。 心がいっぱいになって……涙が止まらなかった。 このまま時が止まれば良いって、本気で思ったの。 そして、昨日。 忘らるる都へ、彼と共に訪れた。 ………眠る彼女へ、報告をする為に。 『エアリス…』 彼女の気配は、もうすでにそこには無かった。 『きっとまた、どこかで会えるさ。ライフストリームはいつだって世界中を巡っているんだから』 落胆する私にそう言って、クラウドは手に持つ花束を湖面に浮かべた。 『そう…だよね。いつかまた、会えるよね?』 湖面の中央へ、彼女の元へゆっくりと吸い込まれていく花達を見つめながら呟く。 『ああ。もしかしたら、今夜にでもあいつと一緒に俺達を脅かしに来るかもしれないしな』 『ふふ、何それ。エアリスはそんな事しないよ』 『ザックスならやりかねない』 『もう、クラウドったら』 苦笑しながら、真面目な顔で冗談を言うクラウドの背をとんと叩いた。 それに口元を少し緩めながら、すかさず彼も反撃に出る。 『やったな』 『…きゃっ!』 彼の手から逃げようとする腰を力強く引き寄せられ、胸に抱かれた。 そのまま逞しい両腕の中で拘束される。 『……』 『……あの、クラウド…?』 それから動こうとしないクラウド。 トクン、トクン、と、耳のすぐ傍で聴く彼の鼓動は幾分速い。 次第に恥ずかしくなってきて、身体を揺らしてみる。 けれど更に力が込められる彼の両腕が、それを拒んだ。 『ちょっと、クラウ』 『……なあ、ティファ』 不意に、低く穏やかな声が吐息と共に鼓膜を揺らした。 『あいつらの……二人の分まで』 『…クラウド?』 じんわりと染み入るようなクラウドの声が、唇と共に首筋を掠める。 もう一度力を込めて抱き寄せられ、それからふわりと緩まった。 そしてすぐに、世界が彼でいっぱいになる。 『俺は、ティファと一緒に未来を生きていくよ』 『──っ』 彼がくれる幸せに、眩暈がする。 『……、』 は…と、離れた唇の隙間を柔らかな風がすうっと通り抜けた。 その隙間を埋めるように、すぐに……また。 『クラウド……うん。私も、あなたと同じ…だよ』 『…うん』 『あなたと、生きていく』 『…ありがとう』 凪いだ湖面を映したような静寂の中、重なり合う二つの鼓動。 その瞬間、それだけが世界の全てだった。 『…そろそろ帰るか』 『うん』 彼の言葉に小さく頷き、抱擁を解く。 湖を後に、都の入り口に停めておいたフェンリルに跨ったクラウドに手を取られ、その背中に頬を寄せた。 スロットルが回され、重い唸りを上げて漆黒の機体が純白の都を駆けていく。 段々と遠のいて小さくなっていく、彼女の都。 何処までも澄んだ空に溶けていく。 『いつかまた、二人で来ような』 そう言って微笑んだ彼の背中で、想う。 ………ねえ、エアリス。 こんな私達を……あなたは今、どんな想いで見つめているのかな……? 「やだな…もう」 辿る記憶に、また涙腺が緩んでくる。 これ以上目元を腫らしたら、朝起きたクラウドに何を聞かれるか分からない。 涙を涙腺の奥へ閉じ込めるように一度深く目を瞑り、握り締めた拳を当ててぐっと息を詰めた。 「……うん、よし!」 振り切るように瞼を開き、それからシャワーヘッドを取って身体全体を手早くお湯で洗い流す。 最後に顔をざっと洗い、コックを閉じてシャワールームのドアを開けた。 脱衣所で身体と髪を丁寧に拭いて、予め用意しておいた洗い立てのバスローブに袖を通し、洗面台の鏡の前で顔色を確かめて脱衣所を後にした。 子供部屋の前を通り、そういえば、と、今日は久しぶりに休暇の取れたバレットと泊まりに出かけた事を思い出す。 こんな時でも普段の習慣をしようとする自分に苦笑した。 「………」 自室の前、クラウドが待つ部屋のドアに手を伸ばし、立ち止まる。 (ズルズル、ズルズル……か) いつか、彼に投げつけた言葉を思い出した。 「私もクラウドの事、言えない…かな」 自嘲に漏れた溜め息を喉の奥へ押し込める。 それから一呼吸置いた後、彼へと続くドアを開けた。 Next... ![]() |
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