2016-07-24(Sun)

Your Heart 11

こんにちは、ももこです。

本編SS第11話UPします。
今回は初のクラウド視点に挑戦してみました!
次に書くクラ誕をクラウド視点で書こうかな~と思っていたので、練習がてら書いてみましたが……イメージ壊れてないだろうか(^_^;)
クラウド視点で書くとクラウドの本心の部分に触れるので、ティファ視点よりクラティ感がより増すというか、私が書いても全体的に甘い感じになるという新たな発見…!!
うん、これから甘いお話を書きたくなったらクラウドに任せよう(*^^)v
この本編SSは、タイトルの通りキャラクターの気持ちを書きたかったものなので、これからもちょくちょく視点が変わると思います。
次もクラウドかな~ティファ眠っちゃったしね(^_^;)
完結までまだまだ遠い……間にクラ誕やらイラストやら、違う更新を挟みますのでラストまで何か月(何年?)越しになるか不明ですが、途中で飽きなければお付き合い頂けたらと思います(^_^;)

それではまた来ますね!
拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*)
あ、あと30000HITもありがとうございました!
これからもリメイクを楽しみに頑張ります(*^^)v

【Warning!】本編SS11話です。今回はサイト初のクラウド視点でお贈りします(^^)ティファのネガティブさが無いので、いつもより甘め仕様となっております。クラティっぽいと感じて頂けたら幸いです(*^_^*)今回召喚魔法使いますが、召喚時の台詞は当サイトのオリジナルですのでご注意下さい。公式には魔法&召喚発動時の台詞はありません。リメイクではどうなるんだろう…楽しみです(*^_^*)続きます。





『ねえ、約束しない?』


『クラウドが有名になって、もし、私が困っていたら……』


『クラウド、私を助けに来てね』




───七年前の給水塔。


初めて交わした、二人だけの約束。


俺の中に唯一ある、君との想い出。


今はもう無くなってしまった七番街のあの店で。


幼い記憶を語った俺に……君は、ほんの少し驚いた表情で、けれどすぐに嬉しそうに微笑って、そうだったね、と頷いてくれた。






今ではもう、数える程しか見なくなった、俺に向ける君の笑顔。


最後に見たのはいつだっただろうか。


そんな風に思う程に………懐かしささえ感じる程に。


それは幻だったと。


いつか、想い出の中だけの存在になってしまうのだろうか。






あの時君がくれた笑顔は、ずっと心の中に大切に仕舞ってある。


今だって、瞼を閉じれば、すぐ眼の前に───ほら。






なあ、ティファ。


いつも不安そうに震える君の瞳は、一体俺の何を映してる?


何をそんなに怯えてる?


俺の何が、どこが、君から笑顔を奪っているんだ?


俺が近づこうとすればする程、君は離れて行ってしまうから。


これ以上、どうすれば良いのか判らなくて、イライラして、不安になる。


それは、出口の無い迷路を彷徨うのに似ている。


君の心が見えないまま、きっと俺はおかしくなってしまう。






俺はもう一度、君の笑顔が見たいんだ。


偽りのそれは、もうたくさんだ。


どう願えばそれが叶う?


どう話せば君を満足させられる?


どうすれば、君は俺を見てくれる?









君が引いた一線が決定的なものになる前に。





頼むから………どうか。






君の心を教えてくれないか───ティファ。








Your Heart 11








「ティファ!」

高く上がる炎の向こう側でティファが辛そうに膝を着くのが見えた。
それからすぐに、彼女の悲鳴を聞く。

「クラウド!ティファが…!」
「ああ、分かってる!」

エアリスがすぐ傍まで走り寄ってきて、眼の前の光景に息を呑んだ。
まるで炎の壁だ。
最初は小さな炎でも、戦闘で巻き起こった風によって、それは天高くそびえ建つ城塞のように思えた。
勿論、走っての突破は自殺行為に等しく、かといって簡単に飛び越えられるような高さではない。
けれどこのままでは炎は更に勢いを増し、終いには彼女をも飲み込んでしまうだろう。

「くそ…っ、だから無茶するなって言ったんだ…!」
「クラウド…」

思慮深いティファにしては、今回の行動は彼女らしからぬものだった。
もっとも、ここ最近は戦闘で一緒になる事は無かったから、少し前の記憶によるけれど。

(ティファは、一体何を考えている?)

それは、この旅の最中いつも感じていた疑問だった。
もしかしたら、俺が離れている間も彼女はこんな無茶をしてきたのだろうか……。

日を追うごとに、ティファの事が解らなくなる。
さっきまで笑っていたかと思えば、急に深刻な表情で黙りこくったり、不安な表情を見せる彼女。
それは決まって、俺と眼を合わせた後だ。
最初は俺が何か気に障る事でもしたんだろうと思ったけれど……。


「どうしよう、クラウド」

エアリスが不安げな眼差しで俺を見る。
そんな彼女を安心させるように、少しだけ口角を和らげた。

「エアリス、MPは後どれくらい残ってる?」
「え?あっ…と、半分くらい、かな」
「十分だ」

言いながら、剣に嵌めてあったマテリアを一つ外した。

「今すぐこれを呼んでくれ」

エアリスに渡したのは"シヴァ"のマテリア。
全てが凍てつく氷に覆われた永久凍土を支配する氷結の女王。

「これであの炎を消し飛ばす。地上にいるモンスターも動けなくなるはずだ。その間に俺がティファを助けに行く」
「うん!わかった!」

口早に指示を出し、彼女が詠唱に入るのを確認する。

「ユフィ!」

そして、姿が見えないもう一人を呼んだ。

「何!?こっちは忙しいんだよっ!ティファが…!」

声がしてその方向を見ると、炎を挟んだ反対側でユフィが数匹の怪奇虫を相手に刃を揮(ふる)っていた。

「そのティファの事だ!今から俺が助けに行く!その間お前はエアリスを頼む!」
「え!?何!?エアリス!?」
「ああ。頼んだぞ!」
「わかった!」

最後の一匹を地に落とし、ユフィが空を跨ぎ飛んでくる。
すぐに詠唱を続けるエアリスをモンスターから守るように背に庇い、刃を飛ばして応戦を始めた。

普段は生意気で自分勝手で図々しくて煩い奴だけれど、こういう時はちゃんと状況を弁えてくれるから助かる。

刃を縦横無尽に走らせる少女と肩を並べながら自分の装備を確認する。

「ユフィ、アイテムはどうだ?」
「多分間に合うと思う。エーテルはティファにあげちゃったけど、ポーションなら予備があるはず」
「分かった。俺が戻るまで手持ちで何とか凌いでくれ。無駄遣いはするな」
「言われなくてもわかってるっつの!アンタこそツいてんだったらティファをちゃんと連れて帰りなよね!」
「……言われなくてもそのつもりだ」

こんな状況でも相変わらずなユフィの返事にふっと息を零した。


「……美しき氷原の女王、シヴァ!」

詠唱を終え、エアリスのロッドが天を突いた。
一瞬、空が暗くなり、天から一筋の光が舞い降りる。
空気の流れがぴたりと止まり、瞬間、大気に散らばる全ての水分が凍結した。
光の集まる中心に現れた氷の女王。
その吐く息に、モンスターと魔法の熱が一瞬にして氷の結晶と化した。
そして、眼の前に聳え立っていた炎の壁も巨大な氷柱に変わる。

「───はっ!!」

その巨大な氷の壁に向かい、溜めた気で破晄撃を繰り出した。
大きな衝撃音が響き渡り、分厚い氷の壁がガラガラと音を立てて崩れていく。

「ティファ…!」

大きく開いたそこから氷の瓦礫を飛び越え中に入る。
瓦礫が円を描くようにぽっかりと空いたその中心にティファはいた。

「ティファ!」

手に持った剣を背中に仕舞い、仰向けで横たわる彼女を抱き起す。
けれど、意識が無いのかピクリとも動かない。
見れば、いつも桜色に艶めいていた唇に色が無い。
顔色も血の気が引いたように青ざめていた。

(……っ)

一瞬、嫌な感覚が頭を過る。
けれど、それを首を振ってやり過ごし、彼女の唇に耳を近付けた。

極微少だけれど、微かな呼吸が皮膚を揺らすのを感じた。

「…っ…」

安堵に、ざっと身体の中から緊張が落ちる。
それから彼女の身体を確認して、背中の傷を発見した。

しなやかな背中の上部に穿たれた二つの穴。

(…っ)

さっと周りを見渡せば、彼女のすぐ傍で二体の足斬草が口を大きく開けたまま、凍結し絶命していた。
そのモンスターに強く噛まれたのだろう傷跡は、黒々とした歪な円を描き、固まりかけた血が無残にこびり付いていた。

「ティファ!しっかりしろ、ティファ…!」

声を掛けながら彼女のサイドバッグからポーションの瓶を取り出す。
彼女の頭を膝の上で横にしながら、傷ついた背中に癒しのそれを垂らした。
じんわりと淡い光を放ちながら、穏やかに傷が塞がっていく。
薬液を半分まで使い、残りの半分は再び仰向けにして気道を確保した彼女の口元にそっと流し込んだ。

細い喉がこくりと動く。

(これで何とか大丈夫だろうか…)

ほっと安堵が広がり溜め息が零れた。
それからざっと辺りを見回し、モンスターが近くにいないか確認する。
氷漬けにされた多くのモンスター達。
シヴァの影響はまだ続いているようだが、もうそろそろ解ける頃だろう。
そうなれば、また新たな敵が現れるとも限らない。
いや、この分だとその確率の方が高い。


「行こう、ティファ」

未だ意識の無いティファを両腕に抱きかかえ、立ち上がる。

(…!)

少し、驚いた。
元々華奢だと思っていたけれど……。

(軽い…)

こんなに細いとは思っても見なかった。

(女、だもんな)


───そうだ。

彼女だってエアリスと同じ、本来ならば守られるべき立場の人間なのだ。


だらりと腕を下げ、ぐったりと力の抜けたその身体を改めて見た。

所々破け、赤黒い血に染まる服。
白く柔らかい肌に刻まれた、無数の傷がそこから覗く。
整った顔には、モンスターの黒い血を擦った跡がべったりと残っていた。




『ねえ、約束しない?』

『クラウドが有名になって、もし、私が困っていたら……』

『クラウド、私を助けに来てね』




脳裏に蘇る、幼い約束。


(五年前と同じだな…)


たった今だって俺は………君をちゃんと守ってやれないんだな。




腕の中の彼女を見つめる。


「……ごめん」


無意識に、零れた言葉。

彼女を抱く手に力を込める。


それから視線を前に向け、一気に瓦礫の外へ駆け出した。



Next...Your Heart 12

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