Your Heart 152016-09-09 Fri 23:23
こんにちは、ももこです。
本編SS15話、 エアリス視点はCC絡みが多いので、時間が無くて再プレイ出来ない分、分厚いコンプリートガイドを参考にしながら書かないといけなくて時間がかかってしまいます(^_^;) 次話に繋げても良かったんですが、あんまり過去話長くすると書きたかった要点がずれそうな気がするので、長くても次話くらいまでで抑えたい気持ちでいます……15話内で終われたら終わりたいんですけどね(^_^;) 苦手な方には本当に申し訳ないですが、クラティまでもう少々お待ち下さいませ(>_<) 一応、私の妄想内にあるエアリスの心の変遷(エアリス→ザックス~エアリス→クラウド&クラウドを巡るティファへの想い)を書いておかないとと思いまして……先に完結してあるAC小説に繋げる形で書いていきたいと思ってます。 今回、エアリスの幼少時代も出てきますが、それは本当に私の妄想しかない部分ですので皆様のイメージを壊してしまったらすみません(>_<) エアリスがお花を育てるきっかけ……こんな感じかなと思いまして(^_^;) ちなみに、花の種類は見た目で勝手に決めました。 そしてツォンの描写も初書きゆえに、もしかしたらCCと整合性が取れていない可能性があるかもしれません。 時間が出来たら後でCCをもう一度プレイしてみようと思っています(^_^;) それではまた来ますね! 拍手&閲覧ありがとうございました(*^_^*) また、35000HITもありがとうございました! これからも一ファンとして妄想に励みます(*^^)v 【Warning!】本編SS15話です。エアリス視点で過去話。 一度目は偶然。 二度目は必然。 鮮やかな空色に再び巡り合えたこの運命は───きっと、わたしの"必然"だったと。 今は………そう強く感じてる。 Your Heart 15 伍番街スラムの外れ。 今はもう殆ど忘れ去られたような、朽ちかけた古い教会。 外壁は剥がれ屋根は落ち、けれど内部の椅子や祭壇はかろうじてかつての名残を残している。 その片隅、天井から射し込む柔らかな陽光に暖められて、そこは幾つもの花が咲き誇る小さな花畑が広がっていた。 この教会を初めて訪れた当時は無かった、ささやかな花壇。 今の母と一緒に暮らすようになって間も無く、散歩がてら初めて連れて来られた教会の片隅に、一輪だけぽつんと咲いていた黄色い花。 それを見つけた時、母は驚いて、けれどとても懐かしそうに眼を優しく細めて言った。 『それは"ユリ"と言って、この辺りに昔たくさん咲いていたんだ。だけど、神羅カンパニーがミッドガルに出来てからはその数も眼に見えて減っていってね……最後に見たのは、お父さんとの結婚式の時さ。この教会で挙げたんだ。ほら、外に小さな花壇の跡があるだろう?その頃も今と同じ、花なんて高級品でね。神父さんのご好意で、花壇のユリをお裾分けしてもらって小さなブーケを手作りしてね……』 不意に、母の言葉が途切れた。 『おかあさん?』 『……っ』 ぽたりと、頬を伝う雫がそこに落ちる。 一緒に暮らし始めて、初めて眼にした母の涙。 嗚咽を堪えながら震える口元。 幼いながら、わたしにも彼女の心の内が伝わってきた。 この突き刺すような胸の痛みは、きっと母の痛みと同じものだ。 伍番街スラムの駅で、眼の前で息を引き取った実の母。 遠い戦地に赴いたまま、安否の知れない夫。 一緒に過ごした想い出に、切なくて苦しくて、胸がはち切れそうになる。 どうしたって、心の奥底では寂しいのだ───母も、わたしも。 『ねえ、おかあさん、泣かないで』 『エアリス…』 『わたし、おとうさんが早く帰ってくるように、毎日ここで神様にお願いしてみる』 『……ありがとう。優しい子だね、お前は』 母の手がわたしの頭を優しく撫でる。 涙に濡れた目元をくしゃくしゃにしながら……何度も、何度も。 『おかあさん……』 その温もりが温か過ぎて、溢れてくる気持ちが追い付かなくて。 『エアリス?どうしたんだい?』 『ううん。なんでもないの』 泣きながらぎゅっとしがみ付くわたしに、母が小さく微笑みながら。 『ごめんね……ありがとう』 そう言って、そっと抱き締めてくれた。 その時、ここを沢山の花で一杯にしようと決めた。 父が帰って来るまで、母が寂しくないように。 想い出の花達と一緒に、父の帰りを待とう───そう、心に決めた。 結局、父は戦死し戻る事は無かったけれど、その心はライフストリームとなって母の元に帰ってきた。 母と一緒に植え替えた一輪の花は今、幾つもの可憐な花弁を開き、小さな花畑となってわたしの眼の前でたわわに咲き誇っている。 『今度は、あなたの番だよ』 花畑の袖にしゃがみ、仄かな芳香を纏う一輪に触れる。 『そうでしょ?ザックス』 彼が姿を消してから五年───わたしは花を育てながら、今もここで彼の帰りを待っている。 彼と初めて出逢ったこの場所で、小さな花達に願いを託して。 何となく、ここにいればいつか彼がひょっこり現れるんじゃないか、そんな気がしたから。 『わたしのカン、よく当たるんだから。…ね?』 同意を求めるように、手の中の花びらを撫でた。 五年前、神羅が発表したソルジャー二名と一般兵二名の殉職。 英雄セフィロス死亡の知らせは、瞬く間にミッドガル中を駆け廻った。 しばらくはどこへ行ってもその話題で持ち切りだった。 その陰で、残りの三名については氏名の公表はされず、ただソルジャーの欄には"クラス1st"とだけ記されていた。 それが五年前。 ザックスが消息を絶った時と一致している……。 だけど、神羅の言う事なんて信用出来ない。 『ううん、違う。絶対』 ………そんな信用、したくない。 きゅっと、唇を噛み締める。 幼い頃からわたしの監視を命じられているツォンなら、彼の行方を知っているのかもしれない。 それを期待して、ザックスに宛てた手紙を預けていた。 けれど、ザックスからの連絡は未だ一回も届いていない。 数か月前、ツォンがわたしの家を訪ねて来た時、彼は言った。 『現在も鋭意捜索中だ』って。 ツォンは神羅だけれど、約束を破ったり嘘を吐いたりする人じゃない。 わたしだって、幼い頃から彼を見てきた。 ツォンがどういう人か、判っているつもり。 ………わたしは今も、彼の言葉に縋っている。 『………』 ふと、昨日の夜に八番街で出会った彼を思い出した。 彼───ザックスと同じ、綺麗な空色の瞳をしていた。 『……また、会えないかな』 今夜も八番街に行けば、またあの彼と会えるだろうか。 もし彼がソルジャーなら、今まで辿れなかったザックスの跡を知ることが出来るかもしれない。 『…よし!やっぱり、行ってみよう』 花から手を離し立ち上がる。 ワンピースのポケットの中から一枚のコインを取り出し、プレートの隙間から覗く細い陽の光に当てた。 銀色に輝くそれは、昨夜の売り上げ、たったの1ギル。 空色の瞳の彼へと繋がる、たった一つの道標。 (神様……どうか金髪さんと会えますように) 眼を閉じ祈れば、脳裏に鮮やかな金色が広がった。 その時だ。 彼と再び出逢ったのは。 『きゃっ!』 突然、ドサリと音がして眼を開けた。 ふわりと舞う幾つもの花びら。 驚いて一歩引いた先、上がる土煙の中から現れたのは。 『え…!?』 たった今、瞳の奥に描いていた人物───金色の髪を持つ彼だった。 『───』 突然眼の前に現れた探し人に、一瞬何が起こったのか把握出来ないまま呆然と見つめる。 暖かな陽の射す花畑の真ん中に現れた一人の青年。 それはまるで、ザックスと初めて出逢ったあの時のよう。 いつかの記憶が眼の前でデジャヴする。 (でも……) ───どうして、彼がここに? 『…っ』 はっとして天井を見上げた。 ぽっかりと、丸く切り取ったような暗灰色の空が見える屋根の穴。 彼は、あそこから落ちてきたのだろうか? 急いで花畑へ駆け寄る。 『あなた、だいじょぶ?』 膝を着き、声を掛ける。 花畑の縁から身体を伸ばして顔を確認すれば、やっぱり昨日の彼に間違いなかった。 けれど、反応は全く無く、意識も無いようで……。 『……』 手を伸ばし、怪我は無いか恐る恐る確認してみる。 所々擦り切れていて血が滲んだ白い肌。 特徴的な金の髪は埃を被り萎れている。 昨日見た大きな武器は背中から剥がれ、向こうの木の床に転がっていた。 けれど、見たところ致命傷になりそうな出血や傷は無く、胸の辺りに眼をやれば僅かに上下していて、最悪な状態では無い事にほっと胸を撫で下ろした。 壊れた屋根を覗けば、大きく開いた穴からはミッドガル市内を支えるプレートが埃の混じる靄の中でうっすらと伺える。 自然の空を隠し、このスラムを眼下に塞ぐようどこまでも広がる暗灰色の巨大な蓋───ミッドガルプレート。 地上50mもの高さを誇るそれから落ちたのだとしたら、普通の人間なら間違いなくひとたまりもないだろう。 だけど、今眼の前に眠るこの人は生きている。 まるで、五年前の彼と同じように───。 (やっぱり、この人もソルジャー……?) 半ば確信に変わった思い。 でも……。 『こんな偶然、あるのかな…?』 立て続けに起きる偶然に、思考が追い付いていかない。 『どうしよう……』 落ちてきてから未だ眼を覚まさない彼を見つめる。 (怪我はなさそうだし……) 少し考え、取り敢えず暫く様子を見てみる事にした。 『…っと、ごめんね』 衝撃に無事だった花達を踏まないように花畑の中に入り、その真ん中で未だ眠る彼の傍に座り込む。 陽だまりが温めたその場所で、膝を抱え頬杖をついた。 それから静かに、その寝顔を見つめた。 (…………) ザックスと初めて出逢った教会で、ザックスと同じように空から落ちてきた人。 肌は白く、髪は金色。 背格好も雰囲気も全く違うけれど。 目覚めた彼の瞳は、きっと間違いなくあの人と同じ空色なのだ。 (ザックスと、同じ……) なぜだろう───そう思うだけで胸が高鳴ってしまうのは。 (……呼んだら、起きるかな?) 『……もしもし』 あの時と同じように、でもそっと声をかけてみる。 『……ダメ?』 ピクリとも動かない身体。 もう一度、今度は少し大きめに声を出した。 『もしも~し』 『……、……』 『……ダメ、ね』 このまま彼が目覚めるまでずっと待っていようか? 『ううん、ダメ。明日になったら困るもの』 それに………彼と早く話してみたい。 色々と聞きたい事、あるから。 『もしも~し、もしも~し』 『………』 『も~』 何度か呼びかけるけれど全く反応を示さない彼に小さく文句が飛び出る。 だったら、今度は耳元で。 身体を傾け、彼の耳を覆うように手を当てて口元を近付けた。 すうぅっと、息を吸い込む。 『もしも~し!!』 『……っ……』 何度目かの呼びかけに、やっと閉じた瞼の表面が僅かに動いた。 『あっ!動いた!もしも~し!』 続いて呼びかけると、今度は形の良い眉が寄り、色素の薄い睫毛がふるりと震えた。 それを確認して身体を起こし、急いで元の体勢へと直す。 ゆっくりと、瞼が持ち上がっていく。 『だいじょぶ?』 安堵と少しの緊張に胸を押さえながら、様子を見ようと彼の顔を覗き込んだ。 その瞬間、開かれた瞳と交差する。 『………』 『………』 現れた瞳が、茫洋としてわたしを見つめる。 ソルジャーの証、魔晄の瞳がわたしを捉える。 彼と同じ───吸い込まれそうな、綺麗な青空が広がっていく。 (ザックス……) どうしよう───眼が離せない。 まるで眼の前に焦がれた彼がいるような錯覚に、胸が大きく鳴っているのを頭の片隅で聴くだけで。 ───天国? ───残念。スラムの教会。 ───天使? 想い出の淵に浮かぶ、彼の言葉が木霊する。 ───彼と重なるこの人は、どんな言葉でわたしに語りかけるだろう。 『ここ、スラムの教会。伍番街よ』 真っ直ぐに交わるそこから眼が離せないまま、言葉を紡ぐ。 一度目は偶然。 二度目は必然。 鮮やかな空色に再び巡り合えたこの運命は───もう一度あの人に出逢う為の、わたしの"必然"なのかもしれない。 ………うん、きっと、そう。 『いきなり、落ちてくるんだもん。驚いちゃった』 不思議そうにゆっくりと瞬きする瞳に小さく微笑んだ。 眩しそうに細まる空色が、降り注ぐ光を反射し艶やかに煌めく。 『………、』 そうして、色素の薄い唇が僅かに開いた。 光の中に、微かな吐息がすぅっと溶ける。 春のような陽だまりの中、ふわりと柔らかな風が通り抜けるのを頬に感じながら、続く彼の言葉を静かに待った。 Next... ![]() |
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